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Signal Bridgeを設計する(2)

Signal Bridgeのプロタイプは決まりましたので、あとはその図面を元に粛々と設計するのみです。本物の寸法を参考にしつつ、レイアウトの建築限界や線路配置をもとに、妥当な寸法を決めてゆきました。

悩んだのが、ガセットの構造の表現です。実物では次のように、ガセットの両面に、L字鋼を互い違いにしてリベットで固定しているのが一般的と思われます。

街の中を見回してみると、送電線の鉄塔とか、携帯電話の基地局とか、いたるところにこの構造を見つけることができます。そして、この立体感はそれなりに目立つので、これを表現できないかと考えました。

しかしながら、レーザーカットでできるのは、板を寸法通りに切断することで、深さ方向の加工はできません。となると、このL字鋼の構造を表現するには、別に部品を切り出して、取り付ける必要があります。そこまですると、ガセットの表のL字鋼、ガセット、ガセット裏のL字鋼、という、立体的な構造を表現する必要があり、部品点数も増え、組み立ても面倒となります。

これは、もともとの方針の一つであった、「レーザーカットを使って簡単に作る」、ということに反します。L字鋼の表現はあきらめ、レーザーカットした板に、リベットを打ち出した板を貼り付ける、という簡略化した設計にする、という結論としました。

dda40xさんのレイアウトは、高効率の駆動システム、低抵抗車輪を中心とした、「走り」に関する様々な技法を総合的に統合したものを見せる、という点に一番の主眼が置かれていると思っています。そこで一番の主役となるのは、それらの技法を取り込んだ車輛群であり、今回作成するSignal Bridgeは、基本的には脇役だと考えます。その脇役に過度の労力をかけるのは得策ではないと考えます。

もちろん脇役だから手を抜いてよいということではなく、1)実物の構造や寸法に則った設計となっていること、2)簡単に作ることができ、頑丈であること、3)仕上がりがすっきりしており、レイアウトに置いたときにさりげない存在感を示すこと、が重要と考え、設計を進めました。