月別アーカイブ: 2009年1月

SVLの在籍機関車(その4: Steam軸配置別)

SVLの在籍車両ですが、最後にSteamの軸配置で分類してみます。2-8-2がトップに来ているのは、手軽に取り扱え、レイアウト上で安心して走らせられるということが大きいと思います。4-8-4の台数が2番目に来ているのは、私が貢献していました。4-8-8-2(Cab Forward)が4台もあるのは、やはりSouthern Pacificの人気を物語るといえるでしょうか。

9台 - 2-8-2
8台 - 4-8-4
6台 - 2-10-2
4台 - 4-6-2、4-8-8-2
3台 - 2-10-0、2-10-4、2-8-4、2-8-8-2、4-8-2、
2台 - 2-8-0
1台 - 0-6-0、0-8-0、2-6-6-0、2-6-6-2、4-4-4-4、4-6-0、4-6-4

メーカーでいえば、ここ数年のProto1000、Proto2000、BLIが多いですが、70年代を中心とした、PFM-UnitedやAkaneを中心とした日本製のブラスの機関車も在籍しています。これらの模型は、組み立てがしっかりしていて扱いが楽なため、価格も手ごろのため、いまだに人気があるようです。PFM-UnitedのSanta Feを多数持っているメンバーがいるのですが、その出来には満足しているようです。私の知っている日本のブラスの模型の歴史を教えてあげると、大変喜んでくれました。日本人としてはちょっぴり鼻が高い思いをしたのを記憶しています。

SVLの在籍機関車(その3:Diesel形式別)

前々回前回と鉄道別に紹介したSVLの在籍車両ですが、今度は車種別で分類してみます。

まず、動力で分類すると、約200台のうちSteamは1/4で、1台GG-1がある以外は、すべてはDieselです。私はSteam専門で、クラブの中では年齢的にはおそらく平均的なところだったと思うのですが、これだけDieselが多いというのがちょっと意外でした。ただ、よく考えてみれば、米国では私の年代のメンバーが物心つく前にSteamが全廃されたのですから、多くのメンバーにとっては、Dieselの方が身近な存在なんですね。

さて、私は、Dieselに関しては、ごくごく一部を除き、型番を聞いても形がほとんど思い浮かばないような状態で、お恥ずかしい限りですが、一番多いものから並べてみると、SD-9、Dash-8、SD-45の順となります。そのほか、F-7、E-7など、旅客用の機関車が続きます。

14台 - SD9
12台 - Dash-8
10台 - SD45
8台 - F-7
7台 - E-7
6台 - GP7、SD40
4台 - ES44、B23-7、U33C、GP38、GP40
3台 - GP9、RS3、SD60、E-8、AC4400、RSD15
2台 - GP60、S1、F3、F5、SD38、SD75、SD90、GP20、GP30
1台 - C30-7、C424、C425、C44-9W、CF7、F40PH、GP35、NW2、PB1
RDC2、RS1、RS11、S4、SD26

SVLの在籍機関車(その2:鉄道別の補足)

前回の記事では、SVL(Silicon Valley Lines)の在籍機関車の会社別の分類を紹介しました。その中で、「西部に限らず多岐に渡っていますが、これはメンバーが物心ついたころに住んでいた場所や、どういうきっかけでModel Railroading をはじめたか、によるところが大きいようです。」ということを書きましたが、その補足です。

たとえば、、、

(1) 私と同じセクションの建設を担当していたメンバーは、米国の東部と西部とをつなぐ鉄道の要所であるシカゴ出身です。日本風に言えば、年頃は定年間近の方ですが、物心ついたのが、米国の鉄道の黄金時代の最後のころで、当時の最新鋭の機関車や列車が全米の各都市から到着する、各都市へ発車する風景をしょっちゅう見ていたという、なんとも幸福な人です。普段は物静かで、控えめなジェントルマンなのですが、こういう話題を振ると、熱い声で雄弁に語りだします。

ということで、彼の機関車は、バーリントンのE7、サンタフェのF7、イリノイ・セントラルのE7といった機関車がメインです。ブロードウェイリミテッドが、カリフォルニア・ゼファーのセットを出したときに、真っ先にフルセットを購入したのも彼です。

(2) 私が最初にクラブを訪問したときに、クラブの説明をしてくれたメンバーは、カリフォルニア出身なのですが、彼の車両のメインはPenn Centralです。先日Penn Centralのビデオを紹介したとおり、この会社はそもそも発足時から経営に行き詰まった状態にあり、なんでまたそんな会社に興味があるのだろうと不思議な気分で彼に聞いてみました。「子供のころに最初に買ってもらったトレインセットがPenn-Centralだった。だから、それを追い続けている」とのこと。なんとも律儀な話です。

(3) 私がクラブに入るときに保証人になってくれたメンバーは、東部出身ということで、ニューヨークセントラルをメインに楽しんでいます。東部の実家のほうには、子供のときから集めたトレインセットがまだおいてあり、落ち着いたら取り寄せてクラブで走らせるんだ、と無邪気な顔で話してくれました。

ちなみに、私のように特定の鉄道によらず4-8-4が好き、というというのは、普通の米国人の感覚からは非常に例外的な存在です。とはいえ、皆、好みが違うのは承知の上で、互いの好みを尊重しています。たまに、西部対東部のキツーイ冗談が飛び交うこともありますが。

SVLの在籍機関車(その1:鉄道別)

ずっと書いていませんでしたが、私の所属していたクラブ(Silicon Valley Lines)のことを少し書き連ねてみたいと思います。

手始めに、クラブのメンバーがどんな機関車を持っているかを紹介します。特定の1クラブのデータですから、一般論を語ることはできませんが、彼の地のファンがどういうところに興味を持っているかの一端に触れることができれば、と思います。

古くデータで申し訳ありませんが、私が帰国する前の2006年4月の車籍簿(Roster)によれば、在籍機関車は200台弱です。ここでの在籍機関車というのは、車検をパスしたもの、車検を受ける予約をしたもの、を指します。これらの機関車を鉄道別に分類すると、トップ3は次のようになります。カリフォルニアという場所を考えると、西部の鉄道が上位を占めるのは妥当なところです。

Santa Fe 41
Southern Pacific 30
Union Pacific 16

とはいえ、Santa Feの台数のうち、3/4は一人のメンバーが保有しているものであるということ付け加えておく必要があるかもしれません。同様に、UPの2/3以上も一人のメンバーが保有しているものですので、この2社は偏っているといえるでしょうか。

SPも最古参のメンバーが一人で半分を所有しており、同様に偏っているのではありますが、SPの機関車を持っているメンバーの数では、一番です。サンフランシスコには、SPの本社が置かれていたこともあり、その近辺のサンフランシスコ・ベイエリアでModel Railroadingを楽しむには、SPは何かしらの形で話題となる、無くてはならない存在だと感じたものです。

SPがUPに買収された後、機関車全体はBloody Nose(鼻血)と称される灰色と赤のSP塗装のまま、ナンバーのところだけUPの黄色の地に赤のレタリングを採用した機関車が数多くあり、私のいたクラブでもこの塗装をしているメンバーがいました。しかし、シリコンバレーで暮らしてSPに愛着がわいてきた私にとっては、この塗装は、言葉は悪いですが戦争に負けて占領政策で抑圧されているような気分にさせるようで、あまり気持ちのよいものではありませんでした。ただ、SPも買収後10年を経て、少しずつ過去のものになりはじめたようにも感じますが。

その他の鉄道は、以下のようになります。
10台以上
Maine CentralBNSF(Burlington Northern Santa Fe)
NYC(New York Central)

5台以上
BN(Burlington Northern)DM&IR(Duluth, Missabe & Iron Range)
WP(Western Pacific)

5台未満
B&LE(Bessemer & Lake Erie)Boston&Maine
C&NW(Chicago & North Western)Caltrain
CB&Q(Chicago, Burlington & Quincy)
CP(Canadian Pacific)CSX
GN(Great Northern)IC(Illinois Central)
KCS(Kansas City Southern)
Ma&Pa(Maryland & Pennsylvania)
MKT(Missouri-Kansas-Texas)
N&W(Norfolk & Western)
NKP(Nickel Plate – New York, Chicago & St.Louis)
NP(Northern Pacific)Penn Central
PRR(Pennsylvania)Reading
SP&S(Spokane, Portland & Seattle)

西部に限らず多岐に渡っていますが、これはメンバーが物心ついたころに住んでいた場所や、どういうきっかけでModel Railroading をはじめたか、によるところが大きいようです。この話は次回に。

Glacier Park Modelsの新作はFrisco 4500

前からあちらこちらで話題になっていましたが、Glacier Park Models(以下、GPM)の次回作であるFRISCO(正式名称はSt. Louis-San Francisco Railway)のクラス4500(4-8-4)が、Webサイト上で正式に発表されました。4-8-4大好きな私としては、見逃せませんので、簡単に触れてみたいと思います。

まず実物の話からまとめてみます。以下はJoe Collias氏の”FRISCO POWER”を参考にしました。この本は、もうずいぶん前の出版で、再版もされていないようですが、FRISCOの蒸気~初期のディーゼルの概要を知るにはいまだに一級品の資料ではないかと思っています。

Collias, Joe G.
FRISCO POWER — Locomotives and Trains of the St. Louis-San Francisco Railway 1903-1953
1984 MM Books
ISBN 0-9612366-0-4

クラス4500は、1942年から1943年にかけてボールドウィンで製造されたFrisco最後の新製蒸気です。この機関車が計画された当時は、第二次世界大戦の真っ最中でしたので、新しい機関車の製造に際しては、使用目的、使える材料、など数多くの制約が課せられていました。その中の制約の一つである、「既存の設計を活用すること」を満たすべく、クラス4500は、CB&Qの4-8-4であるクラスO-5aの基本設計を流用することとしました。2つの機関車は、基本設計が同じとは思えないくらい印象が異なりますので、4500の設計チームはFRISCOの機関車としての独自性を出すのに成功したといえます。

クラス4500は、3つのグループで登場しました。

  1. 4500~4502は、セントルイス-オクラマホマ間で運行されていたFRISCOの看板列車Meteorの牽引専用で、1942年11月に落成。重油焚き。以下の4503~4514とはテンダーの形がかなり異なる。
  2. 4503~4514: 石炭焚きの貨物用機で、1942年8月に落成。
  3. 4514~4524は、4503~4514と同じ石炭焚きの貨物用機で、戦時中の輸送量の増加に対応すべく、1943年に増備。利用可能な材料等の関係で、4500~4514がディスク動輪を装備していたのに対しボックス動輪を装備。また、先輪はスポーク輪心で登場(後日ディスク輪心に交換)。このシリーズは牽引力を増やすためのブースターを装備しており、性能が良かったたため、4500~4514にも装備することとなった。

さて、クラス4500を特徴付けるのは、その塗装です。

  1. 貨物機用の4503~4524は、Frisco Faster Freight(フリスコの高速貨物)という大きなロゴと白と赤のストライプが印象的です。
  2. 旅客機の4500~4502は、機関車全体は青で、テンダーの真ん中に白い帯、テンダーの前方上半分に斜めにMeteorという赤の大きなレタリングという、アメリカの蒸気では考えられないような派手な塗装で登場しました。番号が若いにもかかわらず、4503~4514に遅れて登場したのは、戦時中にこんな派手な塗装をしてよいものだろうかという議論があり、機関車は完成したものの、塗装が決まるまで待たされたとのこと。

さて、この4500~4502の青ですが、「Zephyr Blue」と書かれているだけで、今一歩イメージがつかめません。インターネットで調べてみると、以下を見つけました。
1) 現役時代のカラー写真がこのページに掲載されています。
2) Joe Collias氏によるカラー写真が、FRISCOのファンサイトの中に一枚ポストされています(メンバー登録必要。無料)。
3) オクラホマ州のTulsa市に静態保存されているトップナンバーの4500号機の塗り替え作業を報告しているサイトがあります。

このほか、私の手持ちの資料の中化から、Locomotive Quarterlyの1995年の第4号の表紙を写したものを掲載します。絵なのでどれだけ参考になるかはわかりませんが。

さて、このような特徴的な塗装ではありましたが、1946年に社長に選ばれたHungerford氏のお気には召さなかったようで、社長のツルの一声で順次黒に塗り替えられてゆきました。趣味的には、こういうことに対して理解がない人だったと見てしまうかもしれませんが、FRISCOを立て直したという記述も見られますので、経営的には功労者なのかもしれません。この質素な塗装の時代ではありますが、1949年にのごく短い間、Will Rogers号を牽引するために、4519号機のテンダーに「The Will Rogers」というレタリングが入れられました。これは、「オクラホマの息子」と呼ばれ、映画俳優などとして活躍したWill Rogers氏の生誕70周年を記念してとのこと。

クラス4500は、この時代に製造された蒸気機関車の常として、活躍した期間は短かったのですが、安定した性能を発揮し、乗務員などからは信頼のおける機関車だったとの評価をされたようです。

模型の話ですが、ブラウン・ブックによれば3回製品化されたと記録があります。そのうちの2回はハンドメイドの特製品のため、一般に入手可能なのは、今はなきHallmark社向けに1980年ごろ(?)に韓国で製作されたものかと思われます。ただ、この模型は韓国の技術が安定する前の時代のものであり、出来は発展途上というべきでしょう。さらにはテンダーの寸法がスケールからかけ離れているという欠点があります。

今回GPMは、決定版を目指しているのでしょうか、なんと11種類を作り分けるという力の入れようです。製作を担当するのはBoo Rimですので、この点でも期待できます。ただ、前回作のSPの4-6-2は、最後の詰めがもう一歩だったという印象なので、今回は丁寧に仕上げてほしいなぁと思っています。

以下、GPMから許可をもらいましたので、GPMのサイトに掲載されている写真を転載します。

All of the 4500 prototype images are posted under permission from Glacier Park Models.

これは、Meteor牽引機のオイル焚きの4502です。

これは貨物用に製造された石炭焚きの4503号機です。テンダーの形が上のオイル焚きのものとはずいぶん異なることがわかります。FFFのヘラルドの形がよくわかります。

これはWill Rogersのレタリングを施した4519号機です。これからこのレタリングを除くと、Hugerford氏社長就任後の「黒にテンダーに番号を書いただけ」のペイントスキームとなりまます。

これは増備したグループのトップナンバーです。先輪がスポークなのがよくわかります。

これは4500クラスの最後のナンバーです。スポークの先輪、そしてディスク動輪ではなくボックス動輪を装備しているのがよくわかります。

これが、Hugerford氏社長時代の簡素な塗装です。

Speedwitch社のTed Cullota氏

ずいぶん前になりますが、Broadway Limited Imports(以下BLI)のニュー・ヘヴンのハドソンI-5の紹介をしました。このときの記事にも書いたのですが、この機関車の仕上がり、特にコストパフォーマンスはなかなかのものでした。この話をクラブのメンバーとしていたところ、ニューイングランド地方の鉄道に詳しいメンバーの一人から、「I-5の製品化では、Ted Cullottaという人が考証にあたった。彼はSpeedwitchという会社もやっている」ということを教えてもらいました。

先日、私がYouTubeにアップロードしたビデオの紹介もかねてI-5の出来のすばらしさを伝えるメールを本人に送ったところ、「気に入ってくれて何よりだ。(考証など)物事が正しく行われるようにというBLIの姿勢には感銘した。どんな小さなアドバイスでもそれを聞き入れ、模型にすぐ反映してくれた。高品質の模型を作ることに興味のある会社と一緒に仕事をするのは非常に気持ち良い経験だった。」とのコメントが返ってきました。BLIが、このような機種を選び、なおかつ製品としてうまくまとめた裏にはこの人のサポートがあったのだと、納得した次第です。

そして、氏が経営しているのが、Speedwitch社です。あまり知られていないのではないかと思い、紹介したいと思います。サイトを見ていただければわかるとおり、1940年代前後を中心として、蒸気機関車時代の貨車のキットデカールを出しています。私は貨車は詳しくないのですが、時代を限定し、かなり綿密な考証を行っていると思います。ワークスKさんのTrans Pacific Blogの「お役立ちサイト」の中の一番下にある、Steam Era Freight Carsを主催しているのがTed Cullotta氏だということを説明すれば、納得してもらえる方もいらっしゃるかも知れません。

一例として、Ted氏はNew Havenが専門とのことで、ボックスカーとデカールのサンプル画像を載せておきます。

また、この時代の貨車に関する本も何冊か出版しています。いずれも資料的価値は高そうです。

Steam Era Freight Cars Reference Manual, Volume Two: Tank Cars
160ページ超のらせん綴じで、1940年代のタンク車の写真を数多く掲載している。掲載している会社は、American Car & Foundry, General American Transportation, Union Tank Car, Pressed Steel Car, Standard Tank Car, Pennsylvania Tank Car, and Chicago Steel Carを含む。


Steam Era Freight Cars Reference Manual, Volume One: Box & Automobile Cars
200ページ超で、20世紀前半のBox CarとAutomobile Carの写真を数多く含んでいる。

The American Railway Association Standard Box Car of 1932
by Theodore Culotta
1932年のARAで標準として制定されたボックスカーを解説した本で、決定版を狙ったもの。この標準はその後、1397年、1937年改、Potstwar AARボックスカーに引き継がれ、すべてあわせると15万両以上が生産されたもので、歴史的には意義の大きなものである。269ページのハードカバーで、285枚の写真、14枚の図面を含んでいる。

1月末に米国に行く予定があるので、時間があれば探してみたいと思います。

あけましておめでとうございます

皆様、あけましておめでとうございます。

昨年は、仕事的には多忙で目が回りそうでしたが、趣味的には、このBlogを続けていたことで、いろいろな出会いがあり、充実した一年でした。

このBlogも、内容はともかく、なんとか毎月1件をキープすることができました。お付き合いいただいた皆さん、特にコメントを頂いた皆さんに御礼申し上げます。今年は、できればもう少し頻度を増やせれば、と思っています。

経済の動向など、先行き不透明ではありますが、皆様にとりまして、2009年がすばらしい一年でありますように。