月別アーカイブ: 2009年3月

Bob Brown氏のレイアウト (2)

Bob Brownさんのレイアウトの紹介の続きです。あまりくどくど説明しても、ボロが出るだけですので、基本は写真をご覧になっていただこうと思います。
[2009/4/4追記: RAILTRUCKさん、ワークスKさんにコメントしていただいた内容を本文中に記載しました。お二人に感謝します。]

まずは大型のストラクチャーを3つ。
[2009/4/4追記: RAITRUCKさんによれば、これは『Western Scale Modelsの20-Stamp Gold Mill』とのこと。]

[2009/4/4追記: RAITRUCKさんによれば、『このストラクチャーのプロトタイプはコロラドのCrown Point & Virginia Mineで、Joe Creaさんの図面からスクラッチされた』、とのこと。]

この一角はちょっとした中華街という設定です。上手な漢字だったので、Bobさんに「いったいこの漢字はどうして書いたのか、既製品にこんなものがあるのか」と聞いてみましたが、「いや、知り合いの中国人の方に書いてもらったんだよ」との答えが返ってきました。
[2009/4/4追記: ワークスKさんによれば、『「文房四寶」とは、文人が愛でるべき筆、墨、硯、紙の4品をいうと教えていただいた記憶がある』、とのこと。]

別の街並みです。

これは、観光路線の終点と駅前のホテルという設定のようです。H&C Coffeeというネオンが見えますが、これはMiller Engineeringという会社の製品を使っているようです。近年この手のネオンサインがあちこちのレイアウトで使われていますが、とても効果的だと思います。

これは、リゾートホテルのかなり大きなストラクチャーです。アメリカのリゾート地のホテルとその雰囲気をよく再現していると感じました。

このレイアウトはDCC化されており、Easy-DCCを使って制御されていました。Shay、Climax、Heislerといろいろな機関車が走っていたのですが、どういう訳か、機関車の写真としては、唯一、形が面白かったこの機関車を写真に収めていたのみです。
[2009/4/4追記: RAILTRUCKさんによれば、『これはBackwoods Minatures社からからエッチングとホワイトメタルのキットが出ている』、とのこと。調べてみましたが、上記の会社のOn3/On30の製品紹介のページの下のほうにある”0-4-0 Vertical Boilered Steamer”という製品ですね。]

前回の記事のコメントで、RAILTRUCKさんに以下のサイトを教えていただきました。数多くの細かい写真が掲載されています。

http://www.polyweb.com/dans_rr/NarrowGauge2004/page0024.html

http://www.modvid.com.au/html/body_bob___irene_brown.html

Bob Brown氏のレイアウト (1)

レイアウトツアーで最初に向かったのは、Bob Brownさんのお宅です。On3(+On30)のレイアウトということで、ナローに関する知識が皆無の私は大きな期待をしていなかったのですが、28フィート(8.5m)四方の広さに繰り広げられる世界は見事なものでした。

それもそのはずで、Bob Brownさんにご挨拶し、お互いに自己紹介してわかったのは、氏はNarrow Gauge & Shortline Gazetteの編集長だということです。このレイアウトのストラクチャーやシーナリーなどは、当然、この雑誌のねたとして準備されたものが多いのでしょう。

まずは、レイアウトの全体の様子。左奥に移っているのがBob Brownさんで、その奥は工作スペースとなっています。タイトル画像は、工作スペースの壁に掲げられていたプレートを撮影したものです。

別の角度からレイアウトを見てみます。

次の2枚は、機関庫の写真です。

レイアウトにかけられた橋の写真。

次に製材所の写真。

上の製材所の隣にある、建物の残骸です。札のようなものがあるのにお気づきでしょうか。これには「1989年の地震の震源地」と書かれています。おそらくは「ロマ・プリータ地震」と呼ばれる地震と思われます。レイアウトツアーの説明の中には、「1989年の地震の爪あとも残したままにしている」と書かれていますので、何らかの被害にあったストラクチャーをこういった形で転用したのでしょうか。いかにもアメリカ人らしいユーモアだと感じました。

O-Scale West 2009 (4)

すでにO-Scale West 2009 (1)で簡単に紹介しましたが、O-Scale Westの参加登録を済ますと、タイトル画像に示したようなLayout Tourのリストを手渡されます。これには、スケジュールと、各レイアウトへの行き方の地図がまとめられています。

今年のLayout Tourは、会期の前後それぞれ1日を含めて、2009/1/29~2009/2/1の4日間行われ、28のレイアウトが公開されました。これだけの数が公開されている上に、多くのものは、4日間のうちの1日しか公開されず、下図にマップした通り、公開される場所も広く分散しています。ということは、4日間に見ることのできるレイアウトの数はかなり限られます。まぁ、多くのレイアウトは毎年公開されているようですので、要は「毎年来て少しずつ見てゆけ」、ということなのでしょう。

ちなみに、地図にマップして思ったことですが、中級~高級住宅街に位置しているものが多いですね。

次回から、何回かに分けて、私の見学したレイアウトをご紹介します。

※ピンクのピンで示した会場を起点として、
1)青色のマークは30分くらいで行けるところ、
2)赤色のマークは1時間以内で行けるところ、
3)緑色のマークは1時間ちょっとで行けるところ、
4)黄色のマークは1時間半から2時間かかるところ、
5)紫色のマークは3時間くらいかかるところ、
となっています。かなり感覚的ですし、渋滞などによって大きく変わりますので、あくまで参考程度にどうぞ。

 

O-Scale West 2009 (3)

Swap Meetの合間を縫って、4件のClinicに参加してみました。

まずはBill Brisko氏による”Creating Custom Casting Masters”。昨年紹介した三次元プリンタによる動輪輪芯のロストワックス製法の解説です。内容はBrisko氏のホームページに沿ったもので、私には目新しいものではなかったのですが、最後に触れられた「模型化のための設計」が印象に残りました。近年の機関車など、CADで設計していますので、仮にそのデータが使えたりすると、何もしなくても実物をそのまま縮尺して模型を作ることができると考えがちですが、そうすると、一部の寸法が細かくなりすぎ、プリントしたワックスの型が弱くなりすぎるとか、湯の流れが悪くなるといったことが起きます。

さて、この三次元プリンタに代表されるRapid Prototyping技術や、CNC制御での加工などを活用すれば、模型の作り方を大きく変えることができると考えているのですが、これらの機械の性能をフルに引き出して、満足すべき結果を得るには、段取りや機械の制約を良く考えた「設計」が決め手になると思います。特に、資金面、技術面の両面で、必要な設備を個人レベルで導入するのは困難な現状では、専門家に依頼することとなりますので、「何をどう作りたいか」をしっかりとイメージして言葉で伝えることができることが必要なのでは、といったことを感じました。

Dennis氏は、”Casting Your Custom Parts”と題し、ロストワックスの製造の全般プロセスの解説をされていました。プレゼンテーション資料無しで早口の説明をフォローするのは正直つらかったですが、マスターパターンを作る際に、プラスチックを使うことの利点を説明されていました。

dda40xさんは、ご自身が考案され、作られたLo-D車輪に関する講演を2回行われ、私もプレゼンテーションのお手伝い役も兼ねて参加させていただきました。RP25の問題点を指摘した上で、Lo-D車輪の設計思想を紹介され、論より証拠とばかりに披露されたUP9000が80両以上の客車を牽引するビデオは、聴衆にインパクトを与えたようです。

このほか行われたクリニックには、木の作り方、背景の描き方、コンピューターを使ったデカール作り、石垣削りだし、CMRI/JMRIを使ったレイアウトの配線と信号制御、プロトタイプに即した信号制御、Proto48、など、がありました。今改めてリストアップすると、もう少し聞いておけばよかった、と思います。

注:本記事の画像はBill Brisko氏の許可を頂いて転載したものです。

[2012/4/18追記: dda40xさんのビデオを埋め込んでおきます。]

O-Scale West 2009 (2)

O-Scale WestのSwap Meetでは、出展者のブースは毎年ほぼ同じ場所に割り当てられています。更に、ブースの名札も何年も同じものが使われています。合理的なアメリカ人らしいと思うのですが、熱心な人たちが継続的に参加しているということの裏返しでもあります。つまり常連さんは、「あのあたりに行けばあの人に会える」ということがわかるということで、dda40xさんは「まあ、Oスケール関係者の年に一回の同窓会みたいなもんだね」と形容されていました。

こう書くと、常連さんだけの敷居の高いイベントに思えるかもしれませんが、決してそのようなことはなく、私のような新参者にも暖かく接してくれます。もちろん、それなりの「コミュニケーション能力」が必要となりますが。

私も昨年のブースの配置を思い出しつつ、なるほど同窓会とは言いえて妙だなと頷きながら会場を回っていました。

昨年紹介した、三次元プリンタを活用したロストワックス部品のビジネスを行っているBill Brisko氏。あいさつもそこそこに、「今年は何か新作はないの?」と聞いたのですが「うーん、去年とあんまり変わらないかな」との返事。

O-Scale Westの直前にレイアウトを訪問したLou Cross氏のRight O’ Wayブランドのブース、Louさんのお宅でお会いしたDennisさんご夫妻のロストワックス部品のブースにも寄り、お礼とご挨拶。

Glacier Park Modelsは、Oスケールの最新作を展示していました。先日、GPMの新作のFrisco 4500の記事を書いたときに写真の引用を許可してくれたことに改めて御礼。

Key Importsは、最新作のSPの4-8-4であるGS-1、GS-2を展示していましたが、非常に高価なのと、すでに多くが売り切れということで、横目で見て通過。

超細密なブラスの機関車のインポーターであるKohsは、私の知る限り数年ぶりの出展だったと思います。タイトル画像は最新作のPennsylvania Railroad FW-1/FD-2 Flatcar。このほか、UPのChallengerのパンフレットが置かれていました。Kohsのブースで私が一番関心を持って聞いたのは、何年もほとんど進捗のない、NYCのNiagaraのプロジェクトの状況でした。Niagaraは不思議と良い資料が少なく、Kohsも正確を期すにはどうしたらよいか苦しんでいたようですが、「New York Central Historical Societyが実物の図面を持っていることがわかって、商業利用についてつめている」とのことでした。

このほか、本やら、写真やら、新旧の模型やら、いろいろなものが売りに出されており、わくわくしながら会場を回っていました。その中で私の目を釘付けにしたものがあったのですが、これについてはまた別途。

O-Scale West 2009 (1)

2009年のO-Scale Westは、1月30日から1月31日まで、例年と同じくHyatt Regencey Santa Claraで開催されました。これまで2回参加したことがあるのですが、いずれもわずかな時間覗いただけでしたので、今回がはじめてのフルの参加となりました。

O-Scale Westでは、主として3つの催し物があります。

(1) まずはメインのイベントのSwap Meet。これは要するに売り買いの場です。日本の多くの模型関係のイベントと違うと思われるのは、誰でも売り手になれる、ということです。条件は、机一つ45ドル(事前に申し込めば割引あり)を支払うということと、OもしくはS Scale以外のものは扱わないことのみです。
したがって、純粋な個人もいれば、Lou Crossさんのような個人営業の人、小売店、有名なインポーターまで、様々な人が出展しており、時々オッと思うようなものが売られていたりします。
タイトル画像は、このSwap Meetの様子を撮ったものです。

(2) 2つ目はClinic。日本風に言うとセミナーといったほうがイメージが近いかもしれません。各分野の識者が各種の最新の技法や各種のノウハウを紹介するものです。当然すべて英語ですので、完璧に聞きとるのは至難の業ですが、興味深い話題を聞くことができます。

(3) 3つ目はレイアウト訪問(Layout Visits)。これは、O-Scale Westにあわせて参加者に公開される個人(一部クラブあり)のレイアウトを見に行くものです。参加登録時に、公開されるレイアウトの地図をまとめた分厚いリストが渡されますので、自分の好み、会場/ホテルからの距離、公開される時間帯とを勘案し、各人が個別のスケジュールをたてることができます。今年は30近くのO/On30/Sスケールのレイアウトが公開の対象となりました。

昨今の景気事情ですので、参加者がかなり減るのかと思いましたが、第一印象では、前2回比べて大きく減ったという印象はありませんでした。住所が書かれた参加者の名札を見ても、東海岸も含め、全米各地から愛好家が集まっており、ちょっと意外に感じました。dda40xさんも書かれているように、皆さんそれなりに余裕がある、ということでしょうか。

さて、今後何回かにわけて、私の興味を引いたものを書いてみたいと思います。私の書くものはかなり偏ると思うので、全体的な雰囲気を知るには、ワークスKさんのO-Scale West 2008の参加レポートをご覧になっていただければ、と思います。昨年のものではありますが、開催形態はここ数年変わっていませんので、参考になると思います。