月別アーカイブ: 2014年1月

Omaha!

オマハ(Omaha)といえば、米国の鉄道ファンにとってはなじみの深い街です。UPの本社が置かれていることは言うまでもありません。アメリカの経済に詳しい方であれば、BNSFの経営権を保有するBerkshire HathawayのCEOである、Warren Buffett氏が暮らしている街であるということをご存知かと思います。しかしながら、オマハという街、一般的にはそれほど知名度のある街とは言えないと思います。

そのオマハ、ここ数週間、突然全米で注目を浴びることとなりました。アメリカンフットボール(NFL)の強豪チームである、デンバー・ブロンコスクォーターバックペイトン・マニングが、NFLの最終決戦、スーパーボウルに進出するチームを決めるためのプレイオフの最初の試合で、チームメイトに攻撃の指示を伝えるための掛け声の一つとして、「Omaha!」を連発したためです。

私が初めて米国に暮らした年のスーパーボウルの当日、買い物に出かけた家内が帰宅するなり、「こんなに道を車が走っていないのは初めて(注: 皆、自宅でTVでスーパーボウルを見ているため)。お店に行ってもお客はいないし、店員がスーパーボウルに見入っていて全然真面目にレジをしてくれなかった」とぼやいていたのをよく覚えています。

かくも人気の高いスポーツである上、ペイトン・マニングはこれまで圧倒的な成績を残してきた選手です。全米でもっとも有名なスポーツ選手の一人が「Omaha!」を連呼するのですから、大変な宣伝効果があったものと思われます。

 これに目を付けたのがオマハを拠点とする企業やオマハの商工会議所です。プレイオフ第二戦でペイトン・マニングが「Omaha!」を叫ぶ度、恵まれない子供を支援するために彼が設立した慈善団体であるPeyback Foundationに800ドルを寄付することにしたそうです。Omaha!は31回コールされ、$248,000が集まったとのことです。もちろん、この企業の中にはUPも含まれています。

デンバー・ブロンコスは、勝利をおさめ、スーパーボウルに進出しました。2月2日(現地時間)のスーパーボウルで、再びOmaha!の叫びを聞くことができるのでしょうか。

ちなみに、このOmahaをどういう意味で使っているかについては、ペイトン・マニングが自身で解説しています。アメリカンフットボールのルールがわかる人はご覧になってみてください。そんな大切な掛け声の本当の意味をこの場で明らかにする訳はなく、要は「なんでもあり」と煙に巻いているだけなのですが、真面目な顔をしてもっともらしく解説しているさまが笑えます。

 

米国での貨車の重さの設定の一例 ~RP20.1のとらえ方~

いつもお世話になっているワークスKさんのBlogに、モデルが脱線し易い4つの理由という記事が投稿されています。経験豊富かつ博学のワークスKさんらしく、さまざまな考察が加えられているのですが、私にはいささか手に余るようです。議論のポイントは貨車の重さと理解したので、長大編成を走らせる米国のレイアウト(HO)で貨車の重さに関し、どういうルールを採用しているか、というのを数人の知人に聞いてみました。

まず、私がメンバーだったSilicon Valley Linesですが、NMRA RP20.1(以下RPと略)の値の10%の範囲とすること、というルールとなっていました。ただし、これより重い分には車検は通っていましたし、むしろ「重いほうが推奨される」という雰囲気でした。これはずいぶん前に車検の話を書いたときに書きました。

別の知人が所有している個人所有のレイアウトの大型レイアウトでは、RPに従っているという、という答えが返ってきました。

もう一つ、近々紹介を予定しているCal Centralというクラブの主要メンバーに聞いたところ、厳密なルールは決めていないが、多くのメンバーはこうしている、という長文の説明が返ってきました。ざっくりポイントだけ紹介すると次のようになります。

・経験的にはNMRA RP20.1の値では若干軽いと思う。RP+1oz(1ozは約28.3グラム)以上とするようにしている。このルールにすることで脱線の可能性を大きく減らすことができる。40ftの貨車の場合だと、4.75oz(約135グラム)以上としている。話を単純にするために小数点以下を切り上げてしまうことも多い。40ftの貨車の場合だと、5oz(約142グラム)。

サンフランシスコベイエリア近辺の著名な大型レイアウト(床面積で100平方メートル前後、最大のもので約250平方メートル)でも同様(RP+1oz)のルールを採用している。これらのレイアウトにはアップダウンやカーブがあり、長編成を走らせるとカーブの急なところで軽い車両が脱線することが多い。ここで言っている長編成とは、15両~20両以上のものを指す。レイアウトによっては、40両以上とか100両以上の場合もある。

・あるレイアウトでは、貨車の重さがRP+1ozとなるように整備し、保線を完璧に行い、カプラーの高さを厳密に揃える、などの調整を行うことで、25両以上の貨車をフルスロットルで推進運転して脱線しなかったという実績がある。

・重さのばらつきにも注意が必要。編成中の相対的に軽い車両のほうが脱線しやすい。ただ、経験的には、上記のRP+1ozを守っておけば、2oz(約57g)程度のばらつきは許容できる。

「そもそもみんなRP20.1ってどうとらえているの」という質問を投げかけてみたところ、「RP25のような寸法に関する規格はちゃんと守るけれど、RP20.1のような規格はあくまで最初の拠り所と考えていて、自分たちが最善と考える数値を実験的に導き出している」という答えが返ってきました。

十分なサンプル数とは言えず、また、レイアウトの設計、走らせる列車の構成、走らせ方、などにも大きく左右されると思いますので、どれだけ有益な情報になるかはわかりませんが、少しでもご参考になればと思い紹介してみました。

最後に、Silicon Valley Linesでの長大編成の映像を紹介します。これは純粋にテスト目的で編成したもので、通常の運転会ではこの1/2~1/3の長さとなりますが、長大編成の雰囲気を味わっていただくにはよいかと思います。先頭5両で引っ張っていますが、補機を中間や最後に入れる構成とすると、一段と運転に注意が必要になると思います。