月別アーカイブ: 2008年3月

久しぶりのクラブにて – Akane DM&IR M4

以前も書きましたが、私が属していたクラブは、毎月の第一金曜日がクラブの運営方針や課題を議論する会議の日、最終金曜日が運転会の日と決まっていますが、それ以外の金曜日は皆自由に活動しています。レイアウトの建設を進める人もいれば、車両の調整をしたり、おしゃべりをしたり、人さまざまですが、どういうわけか機関車の試運転や調整をする日は重なることが多いようです。

New HavenのI-5を試運転させてもらった日も、多くのメンバーが機関車を持ち込んでいました。その中でも一番目立っていたのが、今回紹介するAkaneのDM&IRのM-4(2-8-8-4/Yellowstone)です。この機関車のオーナーはこの模型をeBayで入手し、DCC化し、車検を通したもので、正式にクラブの車籍簿に登録されています。先日の運転会では60両くらいのオアカー編成を引いて活躍したと聞きました。

The Brown Book of Brass Locomotives, 3rd editionによれば、この模型は1959年に米国に輸入されたことになっており、日本製の米国型ブラスモデルとしては初期のものになるかと思います。正確さ、精密さでは、最新の韓国製のブラスモデルに負けていますが、実物の「雰囲気」の捉え方はまずまずだと思いますし、がっちりとした造りがよい味を出していると思います。このことは、安心して取り扱うことができるということでもあり、ガンガン走らせるにはもってこいです。

e-Bayをご覧の方はご存知の方も多いかと思いますが、このDM&IRのM-4とか、SPのAC-12などのAkaneの製品は今でもぽつぽつと出品されており、だいたい$300~$400くらいで取引されているようです。このオーナーのように、古い模型を入手して手を入れたり走らせて楽しもうという人にとっては手ごろな価格ですし、米国にはそのような楽しみ方をする人が存在するということを示していると思います。

車齢50年になろうとするこの模型が、最新の機関車に伍して現役で活躍しているということは、この模型は骨董品ではなく、「模型としての価値」が変わらず維持されているということです。当時は資料も限られていたでしょうし、使える技術も限られていたと思うのですが、この模型には、よい模型を作ろうというひたむきさが伝わってくるかのようですし、そのひたむきさこそがこの模型の価値を維持しているのではないかと考えるのは、私の勝手な思い込みでしょうか。なによりも、一人の日本人として、日本の模型がこうやって愛されているということをとても誇らしく思いました。

こちらも走行シーンをデジカメのビデオ機能で撮ってきました。ひどい腕でお恥ずかしい限りですが、雰囲気でもわかってもらえれば、と思い、公開します。

出張での買い物 (2)


今回の出張では久しぶりにブロードウェイ(以下BLI)の機関車を購入しました。前から気になっていたNew Havenのハドソン I-5です。この形式は、ブラスとハイブリッドと呼ばれるタイプとで商品が出されています。BLIのサイトにあった記述が見つからないのでうろ覚えですが、ハイブリッドとは「金属や他の材質のパーツををうまく組み合わせることで精密さとコストとを両立する」というようなふれこみの製品だったと思います。当然、私の購入したのはお財布にやさしいハイブリッドの方です。

さて、こんなことを書くと、「お前は4-8-4専門ではなかったのか」という揶揄が飛んできそうですが、まあ、4-8-4は旅客用機関車が主体ですから、4-6-4もその仲間ということでここは大目にみていただきたく。言い訳をすると、この機種がアナウンスされたころから、そのちょっと渋い機種の選択に心惹かれ、またハイブリッドという製品がどんな製品か、という興味があり、買おうと考えていたのでした。

いつもの模型屋に行き、Hi, How have you been doing?と挨拶もそこそこに、店のオーナーが、「お前はこれを買いに来たんだろう」と棚から出してくれ、試運転をしてくれ、そのまま購入と相成りました。私の好みは見透かされているようです。

このI-5は、3種類のレタリングが用意されています。活字体で素っ気なくNEW HAVENと書かれたもの、流れるような筆記体で”New York, New Haven and Hartford”とかかれたものが、レタリングの大きさで2種類。ここは当然売れ筋と思われる大きな筆記体です。

ちょっと驚いたのは、箱がシースルーパッケージと呼べばよいのでしょうか、蓋の一部が開けられていて中が見えるようになっていることです。ここのところ、中の商品を見せるために、この手のパッケージが採用されることが増えたように思います。何かにつけ直接的な表現を好むアメリカの人々にはこのようなパッケージのほうがアピールするのでしょうか。これまで購入したBLIの機関車は、ブラスを思わせるような箱に入っていて、大げさだなぁと思っていたのですが、このようなパッケージを採用されると、逆に安っぽく感じてしまうのが、変な気分です。

肝心の機関車の出来については、申し分ないというのが第一印象。まず塗装の艶、レタリング、装飾のストライプなど、フィニシュがそつなく仕上げられています。ディテールのでき、全体の組み立ても問題ないようです。もともと、BLIはツボを押さえつつ、製品のバランスをとってまとめるのが上手いように思うのですが、今回の製品は一段レベルが上がったような印象を受けました。

肝心の「ハイブリッド」という製品の仕様ですが、どこがどの材質でできているかはよくわかっていません。少なくとも、下手なブラスより良く出来ていると思います。価格が税込みで約$400ということを考えると、この値段でこれ以上求めるのは酷と言ってもいいのではないでしょうか。

購入後、クラブのレイアウトに持ち込んでお披露目をしました。DCCの設定をお願いし、運転させてもらった試運転の様子を30秒弱の短いクリップですが、YouTubeにアップロードしたので、ご覧ください。腕のない私が安いデジカメのビデオ機能で撮ったものですから、それなりの映りなのはご容赦を。

出張での買い物 (1)

日本に戻ってきてもうすぐ2年になりますが、戻ってくる前に、アメリカ型を楽しむのにどういう不都合があるか、ということをいろいろと想像していました。もちろん、クラブのレイアウトでガンガン走らせることができなくなる、というのが第一番で、これはこのとおりなのですが、それを除くと、実は一番困っているのは本を買うのが不便なことです。

入手性という意味では、日本にいることで著しい不都合があるわけではありません。西山洋書まで出かけて行きさえすれば豊富な在庫がありますし、インターネットを使えば米国から直接購入することも簡単です。ただ、私が本を買う時は、「気の向いたときにふらっと出かけて」、「目に付いた本を手にとってぱらぱらとめくって」、本を選ぶというスタイルをとっています。ずいぶん前にご紹介したP&LEのBerkshireの本NYCの本なども、こうやって見つけたものです。

模型の場合も、実物を見るまでは納得できないというのは一緒ですが、それでも、インターネット上にあふれ出てくる写真や紹介記事などを総合すれば、その模型に対する自分なりのイメージを事前にかなり正確に作り上げることが可能です。

ところが本の場合、インターネット上に書評が出たとしても、内容まで見ることが出来ません。印刷の質なども実際に手にとって見ないとわかりません。予算や置き場所に制約のある私の場合、良い本であっても自分の持っている本との内容の重複を考えてパスする、ということも多々ありますし、逆に、他の内容はどうでもいいけれど未発表の数枚の写真のために買うこともない訳ではありません。

ということで、出張で米国に行く際、空き時間に模型屋さんを覗く時は、何か新しい本がないかを探すのが一番の楽しみになっています。

前置きが長くなりましたが、今回はHundman Publishingの新作を買ってきました。

Norfolk & Western …Steam’s Last Stand
Mallory Hope Ferrell
Hundman Publishing
ISBN: 978-0-945434-60-3

N&Wといえば、Jクラス(4-8-4)が有名です。どの鉄道の4-8-4も、蒸気機関車の技術を集大成して作られおり、甲乙つけがたいのですが、人気投票を行なったならばN&WのJクラスは間違いなく上位に入ってきます。当初私はJクラスという機関車に興味があっただけなのですが、いろいろと本を読んでいるうちに、この鉄道の蒸気機関車の設計思想、技術力の高さ、更に言えば会社の経営方針の奥の深さを知ることとなり、今ではこの鉄道全体が興味の対象になっています。

この本は、N&Wの最後の15年の蒸気機関車の最後の活躍を写真集にしたものですが、私の知る限り未発表の写真が多く収められています。また、今までMainline Molderに発表された図面も収録されていて、お得度は高いと思います。

O-Scale West 2008 (4)

2回にわけて紹介したPacific Locomotive WorksのBill Brisko氏のロストワックス輪心とその製法ですが、dda40xさんのblogにあるとおり、2日目のセミナーでその詳細が紹介されたとのこと。私はすでに帰国の途についていたので、聞くことができませんでした。とても残念です。

それはともかく、ワークスKさんから、写真を送っていただきました。掲載してよいとのことですので、ご厚意に甘えて下記に掲載させていただきます。ワークスKさん、ありがとうございました。

上から
1) National B-1 truck sideframe – カタログによれば、これは非売品とのこと
2) Baldwin Disk Wheel の全景
3) 2)のアップ
となります。

さて、「約束どおりBlogで紹介したよ」とメールしたら、「日本で興味のあるモデラーがいれば、仕事を請けるから連絡してくれ、場合によってはお前が通訳やってくれ」と返事が来ました。万が一ご興味のある方は取り次ぎますので、ご連絡ください。もちろん、英語に困らない方は、直接連絡していただいても構わないと思います。ちなみに、Bill Brisko氏は、「小さいときに空手や剣道をやっていた」とのことで、日本に対する理解は深いようです。