出張での買い物 (1)

日本に戻ってきてもうすぐ2年になりますが、戻ってくる前に、アメリカ型を楽しむのにどういう不都合があるか、ということをいろいろと想像していました。もちろん、クラブのレイアウトでガンガン走らせることができなくなる、というのが第一番で、これはこのとおりなのですが、それを除くと、実は一番困っているのは本を買うのが不便なことです。

入手性という意味では、日本にいることで著しい不都合があるわけではありません。西山洋書まで出かけて行きさえすれば豊富な在庫がありますし、インターネットを使えば米国から直接購入することも簡単です。ただ、私が本を買う時は、「気の向いたときにふらっと出かけて」、「目に付いた本を手にとってぱらぱらとめくって」、本を選ぶというスタイルをとっています。ずいぶん前にご紹介したP&LEのBerkshireの本NYCの本なども、こうやって見つけたものです。

模型の場合も、実物を見るまでは納得できないというのは一緒ですが、それでも、インターネット上にあふれ出てくる写真や紹介記事などを総合すれば、その模型に対する自分なりのイメージを事前にかなり正確に作り上げることが可能です。

ところが本の場合、インターネット上に書評が出たとしても、内容まで見ることが出来ません。印刷の質なども実際に手にとって見ないとわかりません。予算や置き場所に制約のある私の場合、良い本であっても自分の持っている本との内容の重複を考えてパスする、ということも多々ありますし、逆に、他の内容はどうでもいいけれど未発表の数枚の写真のために買うこともない訳ではありません。

ということで、出張で米国に行く際、空き時間に模型屋さんを覗く時は、何か新しい本がないかを探すのが一番の楽しみになっています。

前置きが長くなりましたが、今回はHundman Publishingの新作を買ってきました。

Norfolk & Western …Steam’s Last Stand
Mallory Hope Ferrell
Hundman Publishing
ISBN: 978-0-945434-60-3

N&Wといえば、Jクラス(4-8-4)が有名です。どの鉄道の4-8-4も、蒸気機関車の技術を集大成して作られおり、甲乙つけがたいのですが、人気投票を行なったならばN&WのJクラスは間違いなく上位に入ってきます。当初私はJクラスという機関車に興味があっただけなのですが、いろいろと本を読んでいるうちに、この鉄道の蒸気機関車の設計思想、技術力の高さ、更に言えば会社の経営方針の奥の深さを知ることとなり、今ではこの鉄道全体が興味の対象になっています。

この本は、N&Wの最後の15年の蒸気機関車の最後の活躍を写真集にしたものですが、私の知る限り未発表の写真が多く収められています。また、今までMainline Molderに発表された図面も収録されていて、お得度は高いと思います。

出張での買い物 (1)」への2件のフィードバック

  1. RAILTRUCK

    Mallory Hope Ferrellさん
    同氏はこんなメインラインものの本も出しているのですか?
    うちには同氏のナローものの本が4冊ほどありますが、彼の本はタイトルだけで買ってもハズレはないですね。
    また、On3モデラーとしても素晴らしい作品を作っていますよ。

    返信
  2. northerns484

    Ferrellさんはバージニア出身だそうです
    RAILTRUCKさん:

    情報ありがとうございます。私はナロー関連は疎いので、恥ずかしながらFerrellさんのことはよく知りませんでした。この本の中にもナロー関係の著作物が18も紹介されていますね。

    それはともかく、この本の前書きを見ると、Ferrellさんはバージニア州のN&W沿線で生まれ育った、と書かれています。更に、N&Wとの係わり合いのエピソードを紹介しつつ、「N&Wは自分の青春の一部になった(The N&W became an integral part of my youth)」とも書かれています。

    勝手な想像ですが、Ferrellさんは、単にメインラインの本を出そうと意図したというよりは、「自分の青春を振り返って形にしておきたい」という特別な思いでこの本を出版されたのではないでしょうか。

    返信

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