月別アーカイブ: 2009年5月

図面を描くということ (4)

完成した図面をdda40xさんにお渡ししたところで、私の仕事は一区切りつきました。十分チェックを行ったので、あとは何もしなくてもよいはずでしたが、今振り返ってみると、現物ができあがるまでは、なんとも落ち着かない時間を過ごしていたように思います。その分、完成した車輪を見たときの感激はひとしおでした。

さて、今回感じたのは、図面を描くというのはなんと大変なことか、ということです。

以前、畳一畳以上はあろうかという実物のアメリカ型の蒸気機関車の図面の複製(青焼き)を見た時に、よくあれだけの精緻な図面を手書きで短時間で描いたものだと感心したことがあります。CADツールという文明の利器を使って尚、模型の車輪だけを描くのにこれだけ自分が悪戦苦闘したという事実を踏まえると、図面を描くという事の大変さが実感を伴って伝わってきました。

もう一つ、この青焼きの図面を見たときに、「芸術的な図面だなぁ」と感じた記憶があります。しかし、今回の経験で考えたのは、「図面」は工業的にモノを作るための手段である以上、そこで重視されるのは、「正確さ」と「スピード」であり、図面に芸術といった価値観が入り込むなどということはありえないということです。私が芸術的だと感じたのだとしたら、設計者の卓越した才能や技術が、「結果として」図面に入り込んだだけなのだろうと考え直した次第です。当時のAlco、Baldwin、Limaに、いかに優秀な設計者が集まっていたかを物語ると見るのは考えすぎでしょうか。

今回ご指導いただいた知人には、「図面とは、(設計者と製作者との)コミュニケーションの道具である」と言われました。つまりは、図面として守るべき最低限のルールを守るという前提の下、設計者が何を作りたいかが明確であり、それが製作者がわかる形に明確に表現されている図面が描ければ十分だということです。「要はわかってもらえればいいんだよ」という言葉が今でも耳に残っています。

最後に、今回図面を描くに当たって参考にした本をご紹介します。

この2冊組みは図解が豊富で、わかりやすく、参考になりました。今回描いた図面に必要な知識は、part1のみで十分でした。

図面って、どない描くねん!-現場設計者が教えるはじめての機械製図
山田 学
日刊工業新聞社
ISBN: 978-4-8445-2024-5

図面って、どない描くねん! LEVEL2-現場設計者が教えるはじめての幾何公差
山田 学
日刊工業新聞社
ISBN: 978-4-5260-5859-2

これは、いろいろな製図のルールとか、ネジの規格とかを知るのに重宝しました。

JISにもとづく機械設計製図便覧
大西 清
理工学社; 第11版版 (2009/01)
ISBN: 978-4844520245

図面を描くということ (3)

勢いとは恐ろしいもので、CADツールが自由に使えるようになると、一通りそれらしい図面ができました。そのうちの一枚が下の図面です。今振り返ると稚拙な図面ですが、これが限界でしたので、いろいろな人の意見を頂くこととしました。

特に参考になったのが、会社の先輩である知人からのコメントです。この方は、神奈川県の最高レベルの技能者に与えられる「卓越技能者」の称号をお持ちで、専門家の立場から、懇切丁寧な指摘をいただきました。要は、徹底的にダメ出しをくらったということなのですが。

まず開口一番言われたのは、「繰り返し作る可能性があるものなのだから、どこの加工業者に持っていっても、図面一式を渡すだけで見積もりしてもらえるものにしなさい」、ということです。

そのためには、図面として最低限の体裁を整えるように、と言われました。具体的には:
(1) 品名、図面番号、縮尺、材質、改版履歴など、必要事項を記入するための図面のフォーマットを決めて、それに描くこと。
(2) すべての図面に図面番号を振ること、そのためには、図面番号の振り方はしっかりと決めておくこと。
(3) 他の図面を参照する場合は、図面番号を明示すること。例えば、組立図には、使用する部品図の図面番号を、部品図中で拡大図を参照する場合は、拡大する範囲と拡大図の図面番号とを明示すること。
(4) 加工に際しての必要な指示は、簡潔な文で記入しておくこと。
(5) 図面の一覧表を作ること。

その上で、わかりやすい図面にすること、を言われました。これにはいろいろな技法があるのでしょうが、今回は
(6) (半)断面図をうまく活用すること、
を言われ、具体的にこうしたらどうか、という例を提示していただきました。

最後に、機械図面で最も重要なのは寸法入れである、ということで、
(7) 今の寸法の入れ方はでたらめなので、もう一度考えて入れなおすこと、
(8) 公差を入れること、
を言われました。

(7)について補足すると、言われたのは、「機能的に重要な意味を持つ寸法を選んで入れるように」ということです。少し考えてもらうとすぐわかると思いますが、下の2つの図面は、「モノを作る」という観点では、意味することが違うということです。

CADツールで簡単に寸法が入れられるのをいいことに、あちこちに寸法を入れていたのが、裏目に出ました。実際にどの寸法が本当に重要かを考えるのは難しい作業でした。指導いただいた知人に、「寸法入れは難しい」と感想を言ったら、「自分が図面を描く時も、いまだに、これでいいのかと自問自答しながら寸法を入れている」との答えが返ってきました。

さて、これらのフィードバックを元に、描き直したのが下の図面です。先ほどの図面に比べるとかなり進歩したことが理解してもらえると思います。ただし、(7)の寸法の入れ方は、試行錯誤の状態で、(8)に至っては、手つかずに近い状態です。ということで、現在の図面の完成度は70%というところでしょうか。とは言っても、これ以上は自分の実力を超えるので、(8)については加工業者の判断を仰ぐという前提で、今回はこれにて完了ということとしました。描きあげた図面は、各種の組立図、部品図、拡大図、併せて25枚となりました。

図面を描くということ (2)

さて、ツールにも慣れ、LoD車輪の作図を進めて行きました。さすがにCADは便利だな、と思ったのが、以下の3点です。こういう機能があったからこそ短時間で図面が描けたのだな、と感じています。紙と鉛筆で製図していたら、いまだに完成していないかもしれません。

(1) 複雑な作図が簡単にできること
コンピュータが計算を代行してくれるので、複雑な作図があっという間にできます。例えば、下の図を見ていただければわかるように、車輪の断面には、小さな半径の2つの円を、大きな半径の円でつないでいる部分があります。これを紙の上で正確に描くには、複雑な計算や作図が必要になりますが、JW-CADでは、「接円」というメニューを選び、2つの小さな円と、接円の半径を指定すれば終わりです。

(2) 部品化ができること
上で説明した作図機能は、人間が紙の上で行う作業を効率化するものですが、CADの強みは、コンピュータならではの、紙の上では不可能なことが行えることです。
その一つが、一度作図したものを部品化し、再利用できることです。

例えば、今回、直径の違う車輪を3種類作ることとなりましたが、コンタはすべてに共通です。したがって、一度描いたコンタを、部品として登録しておけば、車輪を描く際は、複雑なコンタを改めて描くのではなく、登録した部品を呼び出し、位置決めすれば終わりです。飽きっぽく、根気の続かない私にはうってつけといえるでしょう。

このようにして描いた車輪を、更に部品として登録しておけば、組み立て図も簡単に描くことができます。今回はタイトル画像のような部品を用意しましたが、車輪の組立図は、車軸、絶縁ブッシュの部品を呼び出し、車輪の半分の部品を方向を変えながら4回書き込むだけでよく、慣れれば1分程度でできあがります(下図参照)。

ただし、何でもかんでも部品にすれば良いというものではなく、本当に使いやすい部品を作るのは難度が高く、知恵が必要なところです。私も何回か登録した部品をボツにしました。

(3) 寸法入れが容易なこと
CADで作図すると、すべての長さや位置関係の情報がコンピュータに入っていますので、”ここからここまでの寸法を記入してくれ”と指示すれば、瞬時に寸法を入れることができます。あまりに便利なので、検算の意味も含め、あちこちに寸法を入れておいたのですが、これは後で痛い目を見ることになりました。

図面を描くということ (1)

dda40xさんのLoD車輪の再生産にあたり、図面描きという形でお手伝いさせていただきました。私には、新しい発見が多く、貴重な経験でしたので、感じたことを書き連ねてみたいと思います。ただし、識者の皆さんにとっては当たり前のことで、何をいまさらという話ばかりだろうと思われます。素人のたわごとということで、読み流してください。

さて、dda40xさんとお話をしている中で、「図面を描いてみましょう」ということになりました。とは言ったのは良いものの、製図なんて中学校でほんの一時期習っただけで、専門的な教育など受けたことなどありません。「ええっと、確か図面は第三角法で描くんだったよな、そもそも三角法ってどんなだったけ」、と思いながら、あちこちのサイトを覗きながら、しばし復習。

図面を描くにあたっては、紙に作図する技量も根気も時間もないので、CADツールを使うこととしました。いくつか試したのですが、MS-DOS時代からの長い歴史があり、フリーの2次元CADソフトの定番と言ってもよいJW-CADを選定。

このソフトは、多くのユーザーのフィードバックを経て長い時間をかけ、洗練されただけあって、完成度は高いと感じました。ただ、MS-DOS時代からの操作方法を引き継いでいるからでしょうか、一般的なWindowsの操作方法と直感的に異なる場合があります。例えばマウスの右クリックの使い方が独特で、最初は馴染めず、悪戦苦闘していました。ただ、タイトル画面のコンタを描いた後は、この独特な操作体系にも慣れ、実はこの操作方法は、作図を効率的に行うにはどうしたらよいか、ということをつきつめた結果なのだろう、と思えるようになりました。

コンタを描いた後、練習の意味で少し複雑なものに挑戦しようと、AARの33インチ車輪の断面図を作図しました(下図参照)。これはかなり複雑な直線や曲線が組み合わさっており、この図を描き終わったころには、JW-CADも問題なく使えるようになり、その後はスムーズに作図を進めることができるようになりました。やはり、習うより慣れろ、ということでしょうか。

UP 844 at Niles Canyon

ワークスKさんの掲示板に、UP844のWestern Heritage Tourのことを紹介させていただきました。その後掲示板にも書き込みましたが、現地でも注目度合いは高かったようで、至る所に写真やビデオが投稿されています

このツアーの最中の2009年4月22日、UP844は、オークランドからストックトンに移動する途中、Niles CanyonのHearst Sidingと呼ばれる場所に一時停車しました。その際、Golden Gate Railroad Museumが保有しているサザン・パシフィクのパシフィック(4-6-2) 2472と、Pacific Locomotive Association/Niles Canyon Railwayが保有しているRobert Dollar Lumber Company No. 3とが出迎えるという、豪華なイベントになりました。

心憎いと思ったのは、この一時停車は、もともと計画されたものではなく、ツアー開始後に、上記のGolden Gate Railroad MuseumとPacific Locomotive WorksとUPとが、協議を行い、実現したものだそうです。事前のアナウンスがどれくらいされたのかはわかりませんが、それでも200人近くが集まったとのことです。

さて、知人の一人が、この時の写真を送ってくれました。掲載許可をもらいましたので、ご紹介します(写真は、クリックしていただければ拡大します)。

一番左に見えるのが、UP844です。その隣に、SPの2472、Robert Dollar Lumber Company No. 3、と並んでいます。

上記のクローズアップです。

UP844が少し前に出て停車したアングルです。1944年製ですから、65年を経ています。数年前に大改装を行ったというのもありますが、とてもそのような古さを感じさせないですね。

※ 上記3枚の写真の著作権は、David Griffy氏に帰属します。

このほか、Golden Gate Railroad Museumのホームページには、写真が掲載されており、このときのビデオも掲載されています。このビデオは高解像度で記録されていますので、インターネット回線に余裕のある方は「HD」と表示されている箇所をクリックしてみてください。

ご参考までに、停車した場所は以下のあたりになります。クリックするとGoogle Mapsが開きます。


大きな地図で見る

Model Railroad Hobbyist


Model Railroad Hobbyistという新しい季刊誌が、今年の1月に創刊されていることを教えてもらいました。タイトル画像はこの第一号の表紙ですが、こんな雑誌見たことないし、第一何で横長の雑誌なのだ?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。それもそもはずで、これはPDF形式のオンラインの雑誌で、なんと、購読料は完全無料です。更に大胆と思われるのは、著作権はクリエイティブ・コモンズ・ライセンスに準拠しているので、商用利用ではないこと、元記事へのリンクを記載すること、の2点を守れば、自由に引用してよい、という点です。

この他、ホームページ上のBlogとの連携なども図られており、インターネット時代の新しい雑誌の形態が提案されたという思いがあります。この試みがすんなり上手く行くかどうかは未知数であり、本当の成功には相当の試行錯誤が必要かと思いますが、新しいことへのチャレンジという点は、アメリカらしいなぁ、と感じました。

これまでに、第1号第2号とが発刊されています。いずれも記事のみで100ページ近くの大作です。Lite EditionとPremium Editionとがあり、コンテンツをフルに楽しむにはPremium Editionの方がよいのですが、こちらはPC(Windows)のみに限られており、ファイルサイズが巨大(100M近く)であり、またAdobe Reader 9のインストールが必要となります。もう一つ、ファイルのダウンロード時は、マウスの左クリックは使えません。右クリックで「対象をファイルに保存(Internet Explorer)」あるいは「名前を付けてリンク先を保存(Firefox)」を選択して保存してください。

以下、WebサイトのFAQ(Frequent Asked Questions)の中から、読者向けのFAQ集と、Short Answerという部分を訳しておきます。いつものように、私の力不足に起因する訳の誤りや不適切な部分がある場合は、ご指摘ください。

この雑誌はいつも無料なのですか?
(注:著作権に関する記述がありますので、ここだけ、Long Answerを訳しておきます。)
Short Answer: はい、MRH誌は完全に無料ですし、今後も完全に無料です。
Long Answer: はい、Model Railroad Hobbyistは完全に無料の、リッチメディアの電子雑誌であり、ダウンロードすること、読むことは、ずっと完全に無料です。MRHのコンテンツは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスによって保護されています。これは、新しい形の著作権であり、コンテンツの派生利用が無料であるという条件のもとで、コンテンツの自由な配布を許容するものです。

つまり、我々は、皆さんの友人の全員にMRHのコピーを配布して欲しいと思っています。そしてMRHからのコンテンツを、ウェブサイトやフォーラムに掲載したり投稿して欲しいと、思っています。MRHのウェブサイトへのリンクを必ず含めていたくということを守っていただけるのであれば、我々は、皆さんに、MRHからのコンテンツを自由に掲載したり投稿したりする自由裁量権を与えます。

我々のクリエイティブ・コモンズ・ライセンスは、我々のコンテンツを掲載する場所が無償のものであるかぎり、我々のコンテンツへのアクセスは無料である、とうたっています。皆さんは、我々の許可なしに、MRHのコンテンツを、例えば、Model Railroader誌に掲載することはできません。なぜなら、我々のコンテンツをそのように使うことは、無料ではないからです。

どうしてそんなことができるのですか
簡単です。この雑誌は広告料によってまかなわれています。

わずらわしいポップアップ広告満載の無料の電子雑誌を誰が購読したいと思うのでしょうか
われわれはわずらわしい広告は掲載しません – 特にいやがらせのようなポップアップ広告は掲載しません。以上。

リッチメディアPDFマガジンとは何ですか?
リッチメディアであるということは、PDFがインタラクティブであるということです。 – PDF中に、ビデオクリップやオーディオクリップ、3次元バーチャルリアリティイメージを含んでいます。静止画が1000語での説明に値するなら、インタラクティブなビデオ、オーディオ、回転可能な3次元イメージは、100万語での説明の価値があるでしょう。ということで、リッチメディアという言葉なのです。

MRHの一分冊あたりの標準的なサイズはどれくらいになりますか
100ページ程度の記事やコラム、そして20ページの広告を含んだフルサイズのファイルが、100メガバイト近くとなります(第一号は約80メガバイトでした)。われわれは二つのバージョンを作っています – 最高品質のグラフィックスとすべてのリッチメディアを埋め込んだプレミアムエディション、そしてダイアルアップ環境や、マッキントッシュ、Linux用のライトバージョン(20メガバイト以下)。

この雑誌は、どのスケールに注力しますか
この趣味界は、新たなHO中心の雑誌を必要としていません – われわれの意図は、すべてのスケールをある程度カバーすることです。われわれがこのことを実行しているということを明らかにするために、目次には、各々の記事がどのスケールなのかを記しています。一覧すれば、われわれがどの程度上手くやっているかがわかります。

これはすごでいすね!どうしたら評判を広げることができますか
あなたの鉄道模型の友人にメールしてあげてください。掲示板やあなたのBlogにわれわれのことを投稿してください。バナー(注:FAQのページを見てくください)の一つを、あなたのウェブページやあなたの署名に含めてください。

雑誌が無料というのはわかりますが、どうして購読手続きが必要なのですか?
広告主になりそうなところに、ある程度の購読者数があるということを示せることは、無料の雑誌にとっては更に重要となります。これに加え、購読者のみがコメントを投稿できるので、匿名のスパムを減らすことができます。雑誌は無料ですので、講読も完全に無料です。

最後にバナーの1つを載せておきます。
Model Railroad Hobbyist magazine - Totally electronic, totally interactive, totally free - Each quarterly issue, 100+ pages!

Bill Brisko氏の3Dプリンタによるロストワックス技法 (目次)

7回に分けてO-Scale West 2009でのBill Brisko氏の3次元プリンタを使ったロストワックス技法を紹介してきました。以下に目次を用意しておきます。

(1) コンピュータと製図の発展
(2) 3次元CADによるソリッドモデリングの実例
(3) モデリング技術の発展
(4) ラピッドプロトタイピングの各種技法(SLA、SLS、FDM、3次元プリンタ)の紹介
(5) SolidScape T-66の概要
(6) T-66で印刷したワックス型とその鋳造のサンプル
(7) デザインルールなど

Bill Brisko氏の3Dプリンタによるロストワックス技法 (7)


Bill Brisko氏の3次元プリンタによるロストワックス技法の最終回です。



まだやることはいっぱい
これはキャスティングが終わった状態の輪芯です。「まだやることはいっぱいある(Lots of work to do!)」とあるとおり、基準面を出し、中心を出し、車軸の穴を開け、タイヤをはめる、などの車輪にしてゆく、という作業が残っています。



立体積層造形(ステレオリソグラフィー)のデザインルール
・ デザイン結果は、STLファイルで出力することができる。
・ 物体はどんな大きさにも拡大・縮小できる。
・ 厚みは、実物の大きさで1インチ(25.4ミリ)より厚くすること。
・ 重要でないところの角はすべてまるめること。
・ 小さなディテールは強調すること。
・ 旋盤加工用の支持部と湯口とを忘れないこと。


このスライドは、Bill氏がこれまでの経験を元にまとめたノウハウの一部だそうです。このほかにもいろいろと細かいことがたくさんあるのだと思われます。



コンタクト先
コンタクト先は左のとおりです。Bill氏は、日系の企業に勤めていたこともあり、親日家の方です。日本からの問い合わせも受け付けるとのことです。残念ながら英語のみですが。

Bill Brisko氏の3Dプリンタによるロストワックス技法 (6)


Bill Brisko氏の3次元プリンタによるロストワックスのクリニックの第6回です。今回は、3次元プリンタで印刷したワックスのパターンの例と、実際に鋳造したものの例となります。



これは、バージニアン鉄道電気機関車であるE-3(LE-3?)の駆動輪と動輪とです。



これは、チェサピーク・アンド・オハイオ鉄道のパシフィック(4-6-2)のF-17の動輪です。



これは、ニューヨークセントラル鉄道のJ-3aの動輪とありますが、ソリッドモデリングの例のところで書いたとおり、J-3aがスポーク動輪を装備していた例があるかどうかは不明です。



これは、ペンシルバニア鉄道のパシフィックK-4(4-6-2)に使われた80インチのスポーク動輪です。



再び、NYCのハドソン用のスポーク動輪です。先ほどのパターンを鋳造した結果です。大量生産する場合、この鋳造品をきれいに仕上げて、マスターパタンにすることとなります。何度も書きますが、J-3aがスポーク動輪を装備していた例があるかどうかは不明です。



これも、ペンシルバニア鉄道のパシフィックK-4(4-6-2)に使われた80インチのスポーク動輪です。上のスポーク動輪の補修用に使われたものとのことで、補強用のリブがついています。



最後は、これもペンシルバニア鉄道のI-1sa(2-10-0)の煙突です。この技法は、煙突やドームの裾の正確な再現にはもってこいだと思います。

余談ですが、タイトルがPennzyとなっています。ペンシルバニア鉄道は略して「ペンシー(Pennsy)」だと思っていたのですが、在米中、何人もの人が「ペンズィー」と濁って発音していましたので、こういう言い方もあるのか、と思った記憶があります。

Bill Brisko氏の3Dプリンタによるロストワックス技法 (5)


Bill Brisko氏の3次元プリンタによるロストワックスのクリニックの第3回目です。今回は、Bill氏が使っている3次元プリンタである、Solicscape T-66の概要と動作している様子の紹介となります。



まずは、SolidScape T-66の全景です。



これは、造形を行う台(ステージ)の写真です。



もう一枚ステージの全景の写真です。成形途中の車輪の輪芯を見ることができます。



これは、印刷を行っている様子。



印刷を行っている様子のクローズアップです。最終的にロストワックスのパターンになる青いワックスと、その造形が正確に行えるように、サポート材の赤いワックスが青いワックスを包むような形になっていることがわかると思います。



これは、3次元プリンタのヘッドのクローズアップです。



これは、一層印刷が終わった後、表面を削っている様子です。


そして削り終わった様子です。


姉妹機のSolidscape T-76のデモビデオを見つけましたので、紹介します。