月別アーカイブ: 2009年4月

Bill Brisko氏の3Dプリンタによるロストワックス技法 (1)


O-Scale West2009で、Bill Brisko氏の三次元プリンタによるロストワックス技法のクリニックに参加した、と書きましたが、氏が説明に使ったプレゼンテーションを送ってもらいました。転載許可を頂きましたので、簡単な説明をつけて紹介します。なお、私の専門外の部分も多々ありますので、間違い、説明不足、不適切な用語の使い方が多々あると思われます。お気づきの点は、遠慮なくご指摘ください。



コンピュータ技術の発展
・各種の真空管を使ったコンピュータ - 第二次世界大戦当時
・UNIVAC - 1950年代
・トランジスタの発明 - 1957
・クレイ1スーパーコンピュータ - 1970年代
・ホビーコンピュータ - 1970年代
・IBM PC - 1982


三次元プリンタという技法が可能となったのは、コンピュータの発達があったからこそで、このプレゼンは、コンピュータの歴史から始まっています。以下、いくつか補足を。
真空管を使った黎明期のコンピュータとして、最も有名なのは、ENIACでしょう。
UNIVACは、世界最初の商用のコンピュータです。
・真空管は、要するに白熱電球みたいなものですから、必ず寿命があります(切れます)。トランジスタは、寿命が半永久的で、真空管に比べてはるかに小型にできる、ということで、この後のコンピュータを含めたエレクトロニクス関係の急激な発展を支えてきた基本技術です。
クレイ1は、当時の常識をはるかに超える超高速の科学技術計算を行うことができるコンピュータでした。後述する3次元CADは、膨大な計算を必要としますので、このような高速の計算機によって進歩したといえると思います。当時の価格が500万ドル-800万ドルで、椅子にも見える形をしているので、「世界一高い椅子」とも呼ばれていました。今では、10万円でお釣りの来るパソコンのほうがはるかに高速な計算ができます。
・ホビーコンピュータというのは特定に何かを指すというわけではないのですが、たくさんのトランジスタを1つに集積したLSI技術の発達によって、個人でもコンピュータが持てる様になったということを説明しています。
IBM PCは、われわれが現在使っているパソコンの祖先になります。インテルのプロセッサとマイクロソフトのオペレーティングシステムが採用され、両者がコンピュータの世界を牛耳るようになり、現在に至っています。

コンピュータの歴史という観点では、他にも取り上げるべきものがあると思いますが、それが目的ではないので、ここまでということで。



製図とCAD
・Pencil and Linen – エジプト時代
・鉛筆と模造皮紙(べラム) - 1900年代
・メインフレーム大型コンピュータによるCAD - 1970年代
・CADシステム(AutoCAD) - 1980年代
・ソリッドモデリング - 1990年代
・STLファイルによるデータの出力 - 1990年代後半


続いて、製図に関する技術の発展が説明されています。
・エジプト時代、pencil and linenというのをどう訳してよいかわかりませんが、パピルスとペンと言った方が正しいでしょうか。
・Vellumというのは、辞書を引くと(上質の)羊皮紙という単語が出てきて、なぜ、と思いましたが、よく見ると、最後の方に「模造皮紙」単語を見つけました。これが正確に何を指すのかわかりませんが、製図などに使われ、半透明の紙を指すものと思われます。昔青焼きと言っていた複写を目的としたものです。ということで、とりあえずご容赦ください。
・コンピュータの発達で、コンピュータの力を使って「設計」という作業を行おうと言う動きが出てきました。これをCAD(Computer Aided Design)と呼びます。1970年代は、まだパーソナルコンピュータみたいなものはありませんでしたので、メインフレームと呼ばれる、大型の計算機を、大人数で共有しながら使うことから始まりました。
・1980年代になると、パーソナルコンピュータという商品の出現で、一人一台コンピュータを使うということが現実のものになりました。当然、この上でCADを行おうと考える人がいるわけで、AutoCADのようなパッケージソフトが出てきました。
・当初のCADソフトは、二次元CADが主体でした。手で図面を描くときは、作りたい物体を思い浮かべ、三面図と呼ばれる3方向からの3つの図面に頭の中で変換した上で、「製図」を行います。二次元CADは、このうちの「製図」の作業をコンピュータで置き換えるものでした。
・コンピュータの進化に伴い、三次元CADが登場します。二次元CADでは、手書きの場合と同様に、物体の形状を変更すると、三面図を書き換える必要があります。これに対し、三次元CADでは、頭に思い浮かべた物体の三次元形状を、モデルと呼ばれるデータとしてコンピュータ中に再現します。一旦モデルが構築されてしまえば、三面図を生成することはもちろん、好きな方向から見たときの物体の形状を確認することも可能となります。
・三次元CADのモデルの表現方法にはいくつかの方法がありますが、1990年代になると、ソリッドモデリングと呼ばれる手法が使われるようになりました。
・そして、そのモデリングした情報を交換するためにSTLというフォーマットのファイルが決められ、使われるようになりました。



ソリッドモデリングを行うためのプログラム
・Mechanical Desktop - AutoCAD上のソリッドモデラー
・PTC Pro/Engineer - プロ仕様のグループ向けソリッドモデラーおよびアニメータ
・SolidWorks - プロ仕様の個人向け/グループ向けソリッドモデラーおよびアニメータ


ここでは、ソリッドモデリングを行える三次元CADプログラムが紹介されています。
AutoCADは、上にも書いたとおり、歴史のあるCADプログラムです。このAutoCADで、ソリッドモデリングを行えるようにするオプションがMechanical Desktopのようです。
・PCT社のPro/Engineer
・SolidWorks社のSolidWorks

Bill氏はSolidWorksを使っているとのことです。最終的に三次元プリンタで印刷する際にはSTLファイルを使うので、STLファイルを送れば受け付けるのかと聞いてみましたが、「修正するときのことを考えると、STLファイルでは修正が効かないので、SolidWorksのフォーマットか、IGSフォーマットにしてくれ」と言われました。

さて、お値段を調べてみましたが、いずれも一声100万円という価格で、なおかつ、これを動かすPCもそれなりのスペックのものを要求するようなので、個人で手を出すには(少なくとも私には)無理なようです。

黄金時代のアメリカの旅客列車のイラスト集


O-Scale West参加で訪米中に買った本をもう一冊紹介します。

American Passenger Trains and Locomotives Illustrated
Mark Wegman
Voyageur Press
ISBN 978-0-7603-3475-1

これは、全米の黄金時代の著名な旅客列車を精密なイラストで描いたものです。実物の写真や、当時の絵葉書などの資料も含まれており、説明文も詳しく書かれていますので、読み物としても意義のある本だと思います。

著者のMark Wegman氏は、幼少期をセントルイス近辺で過ごされ、物心ついたころから、近くを通るWabashやIllinois Centralの列車を見たり、夏休みには家族で全米各地に列車で旅行をされ、アメリカの旅客列車の時代の最後を経験されたそうです。本のそでに記載された紹介文の中には、「鉄道会社のオリジナルの図面や記録、塗料の見本」を「15年以上にわたって調査した」成果であると書かれており、アメリカの旅客列車の黄金時代を記録に残そうという意欲作だと感じました。

中身は、3つの年代に分け、その年代ごとに代表的な列車を紹介しています。下記に目次を転載します。わかる範囲でWikipediaへのリンクを振っておきました。3つの年代のいずれにも、NYCの20th Century LimitedとPRRのBroadway Limitedが乗っています。永遠のライバルという感じでしょうか。

Part one: 1890s-1920s
1. The Empire State Express, Pennsylvania Limited, Lake Shore Limited and 20th Century Limited
2. The 20th Centry Limited, Pennsylvania Limited and Broadway Limited
3. The North Coast Limited
4. The Oriental Limited
5. The Olympian
6. The Alton Limited
7. The Crescent Limited
8. The Empire Builder

Part Two: 1930s
9. The M-10000 and the Zephyr
10. The George M. Pullman
11. The City Streamliners (注: City of PortlandCity of Los Angeles等の総称)
12. The Green Diamond
13. The Royal Blue, Capitol Limited and Abraham Lincoln
14. The Rockets
15. The 20th Centry Limited and the Broadway Limited
16. The Chief and Super Chief
17. The Hiawatha and the 400s
18. The Silver Meteor
19. The Daylight

Part Three: 1940s-1950s
20. The Tennessean and the Southerner
21. The City of Miami and the Panama Limited
22. The Banner Blue and the Blue Bird
23. The Empire Builder
24. The North Coast Limited
25. The 20th Centry Limited and the Broadway Limited
26. The Meteor, Firefly and Texas Special
27. The Sunshine Special, Eagle and Texas Eagle
28. The California Zephyr
29. The Shasta Daylight
30. The Sunset Limited
31. The Powhatan Arrow
32. The Olympian Hiawatha
33. The Phoebe Snow and the Capitol Limited
34. The City Streamliners (注: City of PortlandCity of Los Angeles等の総称)
35. The Super Chief
36. El Capitan
37. The Silver Meteor

amazon.co.jpでも取り扱っています。また、(amazon.co.jpではなく)amazon.comの紹介ページからは、この本の中身の一部(NYCの999の写真やイラスト)を見ることができますので、興味のある方は覗いてみてはいかがでしょうか。

[2010/9/23追記: Amazon.co.jpでも本の中身の一部が見られるようになっています。]

The Railroad PressのNYCシリーズ

ずいぶん前になりますが、The Railroad PressNYCの2冊組みの本を紹介しました。この本は、Edward May氏という、有名なNYCの写真家のコレクションから、未発表の写真を中心に選んでまとめたものです。氏の友人で、ネガコレクションを引き継いだ、Richard Stoving氏が写真を選び、解説を加えています。

Edward May氏は、古くはAl StauferのNYC Steam Power、最近では、New York Central Historical Societyが出しているSteam Locomotives of the New York Central Linesに写真を提供しているとのこと。NYC Historical Societyのサイトに、氏のコレクションの簡単な紹介があります。

さて、このシリーズ、2冊で終わるのかと思っていたら、ゆっくりとではありますが、続刊が出ています。3冊目に出たHarlem and Putnam Divisionの前書きには、Stoving氏が、「会う人会う人に『もっとないの?(Is there More?)』と言われて3冊目を出すことにした」と書いています。

私も、出張時の合間等にゆっくりと買い揃えていたのですが、先日O-Scale Westに参加した時に、これまで出ている5冊をようやく揃えるまでに至りました。

それぞれを簡単に紹介すると、以下のようになります。

New York Central Power Along the Hudson(Vol.1 Harmon/Vol.2 Oscawana to Albany)
この2冊は、ハドソン川沿いのNYCの本線での機関車の活躍を収録しています。

New York Central on the Harlem and Putnam Division
これは、Harlem & Putnam Divisionという、ニューヨークからハドソン川の東を走る支線の写真を収録しています。小型の機関車でが多く、ローカル線の風情があふれる写真が多数掲載されています。Harlem Divisionは、現在のMTA(Metropolitan Transportation AuthorityMetro NorthのHarlem Lineに引き継がれていると思われます。

New York Central Steam Power West of Buffalo – Vol. 1
New York Central Steam Power West of Buffalo – Vol. 2
この2冊は、NYCの本線のニューヨーク州の一番西の拠点であるバッファローの西側での本線、支線、子会社の機関車が多数収録されています。ミズーリ、イリノイ、インディアナ、ミシガン、オハイオ、ペンシルバニア、ウェストバージニア、オンタリオ(カナダ)、ニューヨークと、州ごとにまとめられています。

前の記事にも書きましたが、このシリーズは、写真が大判で、印刷も良く、何よりソフトカバーで手ごろな値段なのが魅力です。蒸気時代のNYCファンの方にはお勧めできると思います。

さて、5冊そろったので、さすがにこれで終わりかと思ってこの記事を書きながら調べてみると、なんと次のNew Yrok Central Steam Power in the Empire Stateが出たとアナウンスされているではありませんか。今回は、ニューヨーク州での蒸気機関車の活躍を記録したとあります。こちらも楽しみです。

O-Scale West 2009参加録-目次

O-Scale West 2009参加記録、前回が最終回となりました。週末に少しずつ書くのが精一杯だったため、こんなに時間がかかってしまいました。気がつくと記事の数が20にもなってしまいましたので、記事一覧の目次を下記に用意しておきます。

Cajon Passにて
Pomonaへ
Fresnoへ
Lou Crossさんのレイアウトを訪問
Modestoへ
Stocktonへ
Santa Cruzにて
O-Scale West 2009 (1)
O-Scale West 2009 (2)
O-Scale West 2009 (3)
O-Scale West 2009 (4)
Bob Brown氏のレイアウト (1)
Bob Brown氏のレイアウト (2)
Ed Loizeaux氏のレイアウト (1)
Ed Loizeaux氏のレイアウト (2)
Bob Plageman氏とRod Miller氏のレイアウト
Alf Modine氏のレイアウト
Gary Schrader氏のレイアウト (1)
Gary Schrader氏のレイアウト (2)
Gary Schrader氏のレイアウト (3)

Gary Schrader氏のレイアウト (3)

Gary Schrader氏のレイアウトの紹介の最終回です。

まずは、前回紹介したSPのOwl風の列車とすれ違うSanta FeのSuper Chiefとがすれ違う場面です。

最後は、やっぱりこれでしょう。GS-4の重連が引くDaylightです。氏のレイアウトには、何本かの列車が置かれており、訪問者のリクエストに応じて、運転する列車を切り替えているのですが、このDaylightは、当然(?)私のリクエストで動かしてもらったものです。

Gary Schrader氏のレイアウト (2)

Gary Schrader氏のレイアウトの紹介の2回目です。とはいっても、もはや文章で書くことはなく、4本撮ってきた短いビデオクリップを2回に分けて紹介したいと思います。

まずはAC-12が牽引するPFE(Pacific Fruit Express)。機関車は、ナンバーボードにも照明が入れられるなど、細かいところまで手がかかっています。貨車も含めて、塗装、ウェザリングが丁寧に施されています。ただ、レイアウトの制約を考えても、貨車が20両程度というのは物足りない気もしますね。

続いて、GS-3が牽引する、Owl風のヘビーウェイト客車の旅客列車です。Owlは、オークランドとロサンゼルスをSan Joaquinルートを経由して結んでいた夜行列車です。昼行列車ではSPの看板列車である(Coast) Daylightを補完するためにSan Joaquinルート経由でSan Joaquin Daylightが運行されていたと同様に、夜行列車ではLarkを補完していたのが、Owlです。ただ、「当時のOwlの編成を完全に再現しているわけではないので」、あくまで「Owl風」なのだそうです。

黒塗りのGS-3と濃緑のヘビーウェイト客車の組み合わせは、一見地味であり、あまり目だたないなぁと思っていたのですが、良く見るとこれはこれで大変手のかかった模型であり、SPの旅客列車の黄金時代を再現しているようにも思え、見ているうちにどんどん引き込まれてしまいました。

Gary Schrader氏のレイアウト (1)

レイアウトツアー3日目、2番目に訪問したのは、Gary Schrader氏のレイアウトです。そして、これが今回の最後に訪問したレイアウトとなりました。

このレイアウトもすでにdda40xさんのblogに4回シリーズに分けて紹介されていますので、そちらもご覧になってください。シリーズの最初の記事は、こちらからアクセスできます。

このレイアウトはATSF&SP RAILROADという名前で、その名の通り、Santa FeとSPとが主体になっています。レイアウトの大きさは、21フィート1インチ(6.4メートル)×39フィート1インチ(11.9メートル)であり、不思議と大きなレイアウトだとは感じませんでした。これはレイアウトの構成にも起因しているかもしれません。タイトル画像のレイアウトプランを見ていただければわかるとおり、レイアウトの基本は、この部屋の壁に沿って走っている複線のメインラインで、このほかにヤードと機関庫のセクションがあるという、比較的単純な構成になっています。

氏の説明によると、「(入れ換えなど)実物に即した運転にはあまり興味がなく」、「自分の作った模型が、細密なシーナリーの中を走ってゆくのをいるのが好き」であり、「機関庫と駅にはこだわった」とのことです。確かにシーナリーなど、細かく作りこまれていて、実感的ではありますが、特定の場所にこだわったものではないようです。

レイアウトを作るに当たっては、「プロ用のCADで詳細な図面を完成させてから、1992年に着工した」とのことで、「線路はコード148もしくは125のレールを自分でスパイクし」、「給電線は、横から見えないようにレールの真下にハンダ付けした」とのことであり、氏の完璧主義を見ることができました。

この完璧主義が遺憾なく発揮されているのが、機関車や車両の車両群で、自身で作られたロストワックス部品も含めて、徹底的なディテールアップが行われた上で、塗装、ウェザリングが施されています。その工作力の確かさには脱帽です。

これは、ヤードの(ほぼ)全景です。右手前にNCEのキャブが置いてあるのがわかるでしょうか。このレイアウトはDCCで制御されており、デコーダーは「Digitraxを使ってきたが、最近はTsunamiが増えてきた」とのことです。

機関庫に停まっている機関車の数々です。これだけのコレクションはめったに見られるものではないと思います。ここに置かれている以外にも、これからディテールアップされるのか、棚にディスプレイされている機関車が何台もありました。正直なところ、ため息が出ました。

[2012/4/21追記: 写真を1枚追加しました。]

これは、PFEを引いていたSPのキャブフォワード。

ヤードにはUPのFEFが1台停まっていました。

これはDaylight編成を牽引していた重連のGS-4です。客車はブラスの客車ですので、かなりの重量があると思います。牽引力確保と、見た目の迫力(?)のため、重連にしているのでしょうか。

Alf Modine氏のレイアウト

レイアウトツアー三日目、まず向かったのは、Alf Modine氏のレイアウトです。氏のご自宅は、以前私が住んでいた家から、車で10分もかからないところにあり、あまりに近いのにちょっと驚きました。

さて、このレイアウトは、dda40xさんのblogに前編後編の2回に分けて紹介されています。また、International Model Railroadsの堀江さんが訪問されたときのビデオ、写真がこちらにありますので、あわせてご覧になっていただきたいと思います。

Alf氏のレイアウトは、前回紹介したBob Plageman氏のレイアウト同様、ガレージの中に設けられており、複線のメインラインのほぼ円形のループを基本としています。大きさは16フィート(4.9m)×13フィート(4.0m)と控えめのレイアウトです。ただし、こちらはガレージとして使うことは想定していないようで、Interurbanのラインを敷設したり、シーナリーが充実したりと、見ていて楽しいレイアウトでした。

Alf氏のレイアウトが他に比べて際立っているのは、C&NWをテーマとしていることです。上記dda40xさんのblogにも書かれているとおり、OスケールでC&NWの機関車はほとんど市販されていませんので、氏の車両の多くは自作によっています。O-Scale Westのコンテストに出品されたものもあり、2003年には4-6-2のクラスEが、2005年には4-8-4のH-1やInterurbanの車両が入賞しています。上に紹介した堀江さんのビデオを見ていただければわかるとおり、氏の機関車の走りはスムーズかつ安定しており、相当の工作の腕の持ち主だと思います。Sunset 3rd RailがH-1の製品化を計画しているのですが、ここにも氏のH-1の写真が掲載されていますので、この模型を参考にするということでしょうか。

さて、私はこのH-1を2005年に初めて見たのですが、Alf氏のレイアウト訪問の目的は、この機関車に再会することが主目的だったという方が正直なところです。ということで、気がつくと、写真に残していたのは、機関車ばかりでした。しかも、腕が?????な写真ばかりなのですが、恥を忍んでご紹介します。

まずこれは、私が一番見たかったH-1です。何度見てもすばらしい機関車です。

これは、H-1の前に置かれていたE-2a(?)です。

これは上にも書いた、2003年にO-Scale Westのコンテストで入賞したPacificです。応接のガラスケースの中に、大切に置かれていたのが印象的でした。

[2012/4/21追記: 写真を1枚追加しました。]

Bob Plageman氏とRod Miller氏のレイアウト

レイアウトツアー2日目に訪問したのは、Bob Plageman氏のレイアウトと、Rod Miller氏のレイアウトとです。

Bob Plagemanさんのレイアウトは、自宅のガレージ内に設置されている、17フィート(5.2m)×18フィート(5.5m)のレイアウトです。ガレージの機能は活きているようなので、この面積をすべて使っているわけではなく、複線のメインラインがガレージの壁と奥とを走り、ガレージの入り口に取り外し可能な線路が設置されてほぼ円に近いエンドレスを構成するようになっていました。ということで、レイアウトを見る際は、ガレージの入り口の線路の下をくぐって、ぐるりと360度見渡す格好になります。

無意識のうちに、Oスケールのレイアウトは大きな面積が必要と思い込んでいたのですが、こういう小規模なレイアウトでも十分に楽しんでいる人がいるのだ、というのは意外な発見でした。もっとも、日本の住宅事情を考えれば、夢のように広い面積なのですが。

さて、Bob Plagemanさんは、熱烈なSPのファンです。O-Scale Westのコンテストでも、2003年2007年2008年と、SPの客車を出品され、入賞されています。ということで、レイアウトにおかれていたのは、ほとんどがSP関係の車両でした。

まず、これはSPのGP-9(と思います)。

[2012/4/21追記: 写真を2枚追加しました。]

続いてSPのマウンテン(MT-4)です。

[2012/4/21追記: 写真を1枚追加しました。]

SPといえば、はやりGS-4を外すわけにはいかないでしょう。

シーナリーはこれからということでしたが、このPacific Fruit Expressの積み込みの設備は、良いアクセントになっていました。ぐっとSPらしくなりますね。

Bob Plagemanさんのレイアウトを後にして向かったのは、Rod Miller氏のレイアウトです。氏は、O-Scale Westの主催者の一員であり、カスタムビルダーとしても活躍されています。
立派な工作機械が何台も置かれたワークショップを通り過ぎて、レイアウトルームに入っていったのですが、レイアウトの高さに面食らってしまいました。2階建て構造となっているのですが、氏のホームページの記述によると、2階部は69インチ(175センチ)とあります。私の身長を超えていたので、2階を走る列車を見るのが大変でした。

というようなこともあり、よくできたレイアウトだなぁと思いつつも、印象が薄く、気がつくと、機関車の写真を数枚取っただけでした。

これはTen WheelerのT-1です。

これは、マウンテンのMT-4です。San Joaquin Daylight牽引用に塗装された機関車です。カリフォルニアでは、SPのマウンテンは、GSシリーズに負けず劣らず人気があるように思います。

[2012/4/21追記: 似たようなアングルですが、写真を1枚追加しました。]

どのようなレイアウトかは、氏のホームページの写真を見ていただくのが良いと思いますので、リンクを記しておきます。
http://www.rodmiller.com/images/layout/double_deck1.jpg
http://www.rodmiller.com/images/layout/double_deck2.jpg
http://www.rodmiller.com/images/layout/double_deck3.jpg
http://www.rodmiller.com/images/layout/double_deck4.jpg

Ed Loizeaux氏のレイアウト (2)

Ed Loizeauxさんのレイアウトの紹介の続きです。

このレイアウトは、面積の割りにメインラインが長いと思うのですが、川や滝、橋をうまくレイアウトに組み込んで、同じ場所を高さを変えてメインラインを何回も通しているところに、設計の巧みさを感じました。

もう一つ橋の写真。

これは製油所のストラクチャーです。繊細によく作りこんでいます。

引込み線の先には、倉庫や穀物貯蔵庫があります。

これは、炭鉱。

メインラインの途中にある旅客の駅です。

ちょっとした街並みも表現されています。小さい面積の中に、アメリカの小さな町の雰囲気をうまく盛り込んでいると思いました。

信号が点灯されているのにお気づきでしょうか。一定間隔で信号が切り替わっていました。さすがに車は動かなかったですが。