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Yardの照明塔を設計する(2)

いつものように、Yardの照明塔がどう構成されるかを示します。この通りに組み立てるということを意図しているのではない点はこれまで通りです。

まず、支柱を構成する平行する側面の2枚が、土台に組付けられます。

支柱を構成する正面の平行する2枚が組付けられます。

途中には、補強の部材が3か所入ります。真ん中のところは踊り場となっていますので、網状の部品としています。

下段の梯子が組付けられます。

上段の梯子が組付けられます。

上部の構造物の床板が組付けられます。

上部の構造の正面、側面と、下段のライトを載せる台とが組付けられます。

上段のライトを載せる台が組付けられます

最後に、ライトが組付けられます。なお、この図では、すべてのライトが正面、水平方向を向いていますが、ライトを保持している部品をひねることで簡単に向きを変えられるようにしています。

こちらが、完成した図です。

Yardの照明塔を設計する(1)

Signal Bridgeができたところで、次はヤードの照明塔を作りたいとのお話をdda40xさんから頂きました。手持ちの詳しい資料はなく、ネット上を検索してもあまりまとまった資料もなく、Cheyenneに立っている次のものを参考にして設計することとしました。

この照明塔は、根元から見上げる角度で見ることができます。

もう一本、トラスの組み方が少し異なるものが近くに立っています。

博物館レイアウトは、蒸気の最盛期からディーゼルの第1~第2世代あたりをテーマとしていますので、この形の照明塔がその当時存在したか、という点については、事前に確認しておきました。私の持っているRobert Darwing氏の”History of the Union Pacific Railroad in Cheyenne: A Pictorial Odyssey to the Mecca of Steam” (978-0941421096)をめくってゆくと、1954年当時のCheyenneの写真があり、同型と思われる照明塔が写っています。

この他、出典がわからないので転載は控えますが、UP9000とこの形の照明塔とが写った写真もみつけることができ、時代的にも問題ないという確信が持てました。

今回も雰囲気を再現するということを主眼に、細かい寸法や形にはこだわらず、ただし実物としてありえない構成にならないように、という点に気を付けて設計を進めました。ALKEM Scale Modelsという会社が出しているものを参考にし、出来上がったのか下図です。なお、ライトのケースは挽物等で別パーツで用意することを想定しています。

プロトタイプと大きく異なるのは、梯子を2段にして、途中踊り場を設けた、という点でしょうか。靴のサイズが30センチくらいの人でも、破綻なく足を置けるように、ということを考慮して梯子の位置を決めました。

上部の構造物は2段とし、身長180cmらいの人が普通にできるあろう高さを想定して高さを決め、上段のランプの交換が簡単にできるように、下段の板は少し大きめにして足場が確保できるようにする、などの工夫をしました。模型とはいえ、このような理屈付けをしておいた方が、説得力のあるものができるだろう、と思っています。

もう一つ、塔の支柱の幅が25.4mmとなっている点に目が行った方もいらっしゃるかと思いますが、今回主要寸法はインチで設計しました。どう見ても実物の幅が4フィートに見え、丸めてもよかったのですが、今回高さのある構造物ですので、わずかの幅を丸めたとしても、高さ方向に影響があるだろうと思ったからです。作図の面でも、1/2、1/4、1/8と寸法を細かくしてゆけばよく、CADの中心線の機能を使えばよいので、却って楽な面もありました。

いつもの要領でレーザーカットのパターンを起したものが下記の図となります。

Cantilever Signal Bridgeを設計する(7)

C&O風のCantilever Signal Bridgeをどう組み立て行くか、の構成を示します。これまでに紹介した2つと大きくは変わりません。いつものように、この順番で組み立ててゆくということを意図しているわけでもありません。また、今回は設計したのみで、実際に組み立てた訳ではないので、想定外のことが起き、この通り行かない可能性がゼロではないことも念のためお伝えしておきます。

まずは台座の組立。

次に、Towerを構成する平行する2面の部品を差し込みます。

先ほど取り付けた部品と直交する2面の部品を取り付けます。

台座の構造を表現する部品を取り付けます。アンカーボルトを埋め込む穴の開いた部品は、台座のスリットに長手方向から滑り込ませ、その後、短手方向に細長い部品を取り付けます。

Cantileverの上下のトラス構造を表現しているb品を取り付けます。

ガセットを貼りつけ、

梯子を取り付け、信号を載せる構造物をCantilverの先端に取り付けます。

これが、最終的に完成した図です。Catwalk、手すりは別途取り付けることにしているのは、これまで同様です。

長々と続けてきましたが、Cantilever Signal Bridgeの設計のお話は今回が最終回となります。

Cantilever Signal Bridgeを設計する(6)

さて、これまでに、Santa Fe風のcantilever signal bridgeとUP風のcantilever signal bridgeとをご紹介いたしました。この2タイプで、博物館レイアウトに必要な数は揃ったのですが、もう一種、C&Oのプロタイプを参考にして設計だけ完了しているものがあります。

実物はこのような感じです。Signal Bridgeの先端に、信号を載せる構造物が張り出しているのが特徴的です。また、トラスがX字型になっているも印象的です。

C&O Cantilever Signal Bridge - Louisa KY - 100_1878.JPG

UP風のCantilever Signal Bridgeで紹介したのと同じ会社がプロトタイプに忠実な製品を出しています。

模型化設計したのが、次となります。プロトタイプより少し背が高い印象となっていますが、これは博物館レイアウトの建築限界に合わせて設計したためです。

この図面から起こした部品図、ガセットの図は次のようになります。

基本的は構成は、これまで紹介してきた2種類と同じですが、Bridgeの先端の構造物を確実に支持するところ、少々工夫しました。具体的には、上面のトラス構造を表現する部品から枝を2本伸ばし、この構造物を保持するとともに、この構造物の梯子の一本を伸ばし、Bridgeの本体に固定する、というものです。今回設計のみですので、この方法で本当に充分が強度が出せるかは、確認できていませんが、まぁ、一度設置してしまえば、頻繁に触るような場所でもないので、なんとかなるのではないか、と楽観的には考えています。

橋を設計する - 補遺(3)

つらつらと書き連ねてきた橋の設計の話題は今回が最終回です。

今回Blogの記事を書くにあたって、図面を描き始めたころのデータを確認したところ、2015年6月という日付が記録されていました。最終的に図面が完成したのが2016年10月なので、一年ちょっとかかったことになります。実力相応といえばそれまでですが、もう少しさっさと仕上げられれば、というところです。

週末にわずかな時間をとれるかとれないか、という状況が続いていたのがこれだけ時間がかかった根本的理由ですが、作図をするよりも基本的な橋の知識や実物を調査して考えている時間の方が長かったというのもあります。アイソメトリック図の作図も、門構のところの描き方を考えているのに時間がかかったというのもありました。

ただ、これだけ時間をかけていると、さすがの私でも隅から隅まで構造が頭の中に入ってきましたので、レーザーカットの部品ができ、だいたい組みあがった橋をdda40xさんに見せていただた時の第一印象は「あぁ、図面通りだ」ということでした。

以前平岡幸三氏のライブスチームに対する思想というエントリで紹介した氏の言葉の中に

ここまできっちり設計してしまうと、できあがった時の姿は細かいところまで想像できるという。

というくだりがありました。私ごときがこんなことを書くのもどうかと思いますが、この言葉の意味するところがちょっぴりわかったような気がしました。

 

橋を設計する - 補遺(2)

前回書いた通り、DXFデータをdda40xさんにお渡しして私の役目はほぼ終わったかなぁ、と呑気に構えていたのですが、加工業者からの連絡で次のような対応をすることになりました。

データファイルの分割

前回掲載した図の通り、加工する板の厚さごとにすべての部品をまとめた2つのDXFファイルを渡しました。材料の無駄を省くという意味もありましたが、加工業者の手間が省けるだろうと考えてのことでした。

ところが、「これだけ大きいと、加工機械で読みこめない」と言われました。そんなことがあるのかというのが第一印象でしたが、加工機械では一度に扱えるメモリ容量が違うのだろうと思い直し、部品ごとにデータを分けて改めて渡しました。結局最初からそのようにした方がよかった、ということですね。

レーザー加工の制約

すでにこちらに書いた通り、8mmの板に細いスリットを開けることはできないと言われました。詳しい理屈はわかりませんが、板の厚みがある場合は長時間レーザーを照射する必要があり、カットの幅が広がるため、ということのようです。

従って、この8mmの板については、接着ということになりました。時間があったら、もう少し位置決めを確実に行えるような構造を考えたかったところです。

そのほか、天板および門構の細かいトラスは、随分と加工に手間がかかったようです。レーザーカットは、外形をざっくりと切るのは得意でも、あまりに細かい部品を多数作るのには向いていないのかもしれません。

 

橋を設計する ー 補遺(1)

ここまでで書ききれなかったことをつらつらと連ねてみたいと思います。

部品の検証

技術の進展で、CADのデータを渡せばそのままのものを加工業者が作ることができるようになりました。今回も、DXFというフォーマットに落として加工業者に渡しました。こちらの意図をデータの中に完全に反映することができるため、便利な時代になったと言えばそのとおりなのですが、一方で渡すデータに設計側がすべて責任を持たなければならない、ということでもあります。

素人の設計の悲しさで、あちらを直してはこちらを直す、ということを繰り返しつつ作図してゆきましたので、設計した部品が最終的に正しく組み立てられるか、ということについて、神経を使って検証を進めました。組み立てを自分が行うのであれば、どこか間違いがあっても自分の責任で後始末すればよいのですが、今回はdda40xさんが組み立てられるので、なおさらです。

一例は、部品のはめ合わせのためのスリットとタブの位置の位置関係の検証があげられます。業者に渡すデータを作成した後、まっさらのCAD図面にタブとスリットで組み合わせる部品を置いて、位置関係が正しいかを確認する作業を行いました。集中力が必要な作業であったため、休み休み行いましたが、これだけで1日を費やしました。

部品をひとまとめに

dda40xさんほかと話をしている中で、小さな部品についてはひとまとめにしておいた方がよい、ということになり、そのようにしました。レーザーカットした後に、加工業者はそれらを「拾い集める」という作業が入り、これが一苦労なのだそうです。作る側いにとっても事情は同様で、部品が細かく分かれていると、作業の合間に行方不明になったりということあり得ると思います。

ということで、最終的に次のようなデータを作成して、渡しました。

まずこれは、t0.8の部材。

これは、t8.0の部材。中に見える四角いものは、路盤の格子を組むための治具です。

あとは、部品が出来上がるのを待っていればよかったのですが、そう簡単には行きませんでした。

 

橋を設計する(8)

ガセットを貼った最終的な完成は次のようになります。細部がわかるように、大きめの画像としていますので、ご興味のある方はクリックして拡大してみてください。

参考にした書籍を紹介しておきます。いずれもdda40xさんからお借りしました。


これは、鉄道模型における橋のバイブルとでもいうべき本です。橋の基本や、模型化した作り方が多く載せられています。お借りした本は赤い表紙で、ここに紹介されたものの旧い版と思われます。


悩んでいた路盤の構造は、この本に出ていた一枚の図解が大変参考になりました。

以下のサイトも参考としました。

bridgehunter.com
このサイトは、全米にある橋を記録しようという巨大なサイトで、今回参考にした橋も掲載されています。鉄道の橋だけでなく、道路の橋も含まれているため、検索時に工夫が必要です。

historicbridges.org
このサイトは、名前の通り、歴史的に価値のあると思われる橋を掲載しています。基本としたBlissfieldの橋もこの中に掲載されています。

このほか、Google Stree Viewが役立ちました。本来であれば現地に行かなければならないところ、橋の構造やディテールの解明に役にたちました。インターネット時代ならではの模型作りかもしれない、というようなことを思っています。

橋を設計する(7)

次は橋の側板を構成する部品です。縦の細かいトラスのみ表現し、あとは8ミリの厚板を切り抜いたのみです。実物はすべて細かいトラスの部材が使われていますが、そこまで表現しても組み立てが複雑となり、精度の両面からも不安があるため、模型化ということで単純にしました。

トラスははんだ付けで固定しますが、8ミリの厚板、次に説明する最後の部品については、接着とということとなりました。これは、設計の最終段階で変更した点です。もともと8ミリの厚板にもスリットを設ける設計をしていましたが、厚板に幅の小さなスリットをレーザーであけることはできません、という連絡が加工工場からあったためです。

これらが組み付けられた時点で、次のようになります。

最後に、外側の部品を貼り付けて、

橋の全容が現れます。

この後、ガセットを貼り付ければ、最終的な完成形となります。

 

橋を設計する(6)

路盤が完成したところで、鉄橋の全体を構成してゆきます。各々のパーツにはタブとスリットが切ってあり、レーザーカットでは1/10mmの精度が出せるとのことなので、差し込むだけで位置関係が正確に出るようになっています。また、部品を容易に差し込めるよう、タブは面取りがしてあり、またスリットはタブのサイズよりごくわずか大きめにしてあります。

なお、ここからの図は、部品の配置の関係をわかりやすいように示したものであり、実際の組立順序を示すものではありませんので、ご了承ください。

まずは、鉄橋の全体を構成する部品は次のようになっています。

これらが一体となると、橋の全体像が見え始めます。

次は、橋の天板のトラス構造と左右の柱をつなぐトラス構造です。後者については、立体感を持たせたかったのですが、レーザー加工で立体感を持たせる部品を作るのが困難であり、また、橋の中の構造となるので、シルエットだけ見えればよいかと思い、今回はここでとどめました。

 

組み付けた後です。

門構(ポータル)のトラス構造を組み付けます。橋の2つと中の2つのトラス構造はデザインを変えてあります。本来これらの2つのトラス構造は別々の部品を用意すべきなのですが、今回は簡略して、どちらについてもXを構成する部分については同じ部品で構成するようにしました。

ここまでの部品が構成された状態が下記となります。

余談ですが、この橋の奥に位置する門構部分のアイソメトリック図を描くのは非常に大変でした。一度すべての部品を同一のレイヤー上において作図し始めたのですが、途中から部品の上下関係がこんがらがってしまい、放棄しました。結果、すべての部品を異なるレイヤーに置き、特定の2つの部品のみを表示し、その上下関係に注目し不要な線を消してゆくという作業を丹念に行いました。従って、まだ間違いが潜んでいるものと思われます。

そうはいっても、実感的な図ができ、個人的には満足しています。本来は強力な3D-CADがあれば簡単なのでしょうが、あいにくとそれだけの投資をする余力もなく。。。