月別アーカイブ: 2010年1月

UPの列車の試運転 (IDILBF-08)

米国の友人から、UPが数日前に行った、IDILBF-08という列車番号(?)がつけられた試運転の話を教えてもらいました。

この試運転、単なる通常の試運転ではなく、輸送効率を最大限に高めようという意図の下に、動力車を分散して配置して編成された、UP史上最長の列車だということです。

トレインオーダーズ・コムのこのスレッドや、ダラスの地元紙のこの記事に具体的な数字が書かれています。微妙に食い違っているところがあるのですが、トレインオーダーズ・コムの記述を優先すると、

(1) この列車は、618ヶのコンテナを、295台のトレーラーに載せて、テキサス州のダラスから、カリフォルニア州のロングビーチ、オークランドに運ぶものである。
(2) 機関車は全部で9台。先頭に3台、中間の2箇所に2台ずつ、最後尾に2台、で牽引。
(3) 総重量は、15498トン、全長は18,061フィート=約3.5マイル(5.6キロ)。
(4) 踏み切りの通過に5分くらいかかるので注意が必要。

とまぁ説明するよりは、Youtubeのビデオを見てもらった方が早いと思います。他にもYoutubeで「IDILBF」で検索すると何本か出てきますが、この2本が比較的綺麗に写っているかと思います。

こちらは撮影場所がわかりません。約9分ありますので、発車して間もないのか、坂になっているか、のいずれかでしょう。

こちらは、カリフォルニア州のモンテベロというロサンゼルスの南東10キロちょっとの街で撮ったとあります。約4分30秒。

延延と同じような光景が続きますので、見飽きてしまいそうですが。。。

LIFE誌の写真に記録された黄金時代のアメリカの鉄道

アメリカの鉄道の黄金時代に興味をお持ちの方であれば、ライフ(LIFE)という雑誌をご存知のことと思います。タイトル画像の赤いロゴを見て頂ければ、「あぁ、あれか」とわかっていただけるのではないでしょうか。以下に、Wikipediaの説明を引用してみます(注:下記の記載には「発行されている」とありますが、紙媒体としての発行は終わっています)。

ライフ(Life)はアメリカで発行されている雑誌。写真を中心とした誌面で「グラフ雑誌」と言われる。

フォトジャーナリズムという文章記事よりも写真を中心に報道・言論を構成しようという考え方はすでにヨーロッパ(特にドイツ)で試みられていた。ライフ誌はカメラマンをスタッフという専属的な所属とし、撮影から記事・レイアウト等の編集のスタイルを一貫させ、「フォト・エッセイ」と称した。第二次大戦前から戦後復興期、テレビの本格普及前までが黄金期で、アメリカの思想・政治・外交を世界に魅力的に伝える媒体であった。

さて、New York Central System Historical Societyのサイトを見ていて知ったのですが、グーグルが、このLIFE誌の未発表のネガを、デジタル化し、検索できるようにしています。この中に、数が多いとは言えませんが、黄金時代のアメリカの鉄道関係の写真が含まれています。ライフ誌の性格上、鉄道そのものではなく、当時の社会や人々の生活の記録の一部に鉄道が含まれている、と見たほうがよいと思いますが、逆に普段みることのない写真が多く、貴重な資料になっていると思います。なにより、プロのカメラマンが撮影したものですから、非常に質の高い写真ばかりです。

検索するには、このサイトでキーワードを入力するか、グーグルの画像検索サイト(英語版)で、キーワードを入力するときに、最後に「soure:life」というキーワードを追加するか、いずれかの方法をとります。日本語版のグーグルの画像検索サイトでも可能なのですが、この記事を書いている時点では、一回余計にクリックする必要があるので、おすすめしません。

少々注意が必要なのは、検索に使うキーワードです。残念ながらLIFEは一般向けの雑誌でしたので、我々が普段使っているキーワードを入力しても、所望のものが出てこない場合があります。例えば、ニューヨークセントラルの20世紀特急ですと、「20th century limited」と入れるでしょうが、実は、「20th century train」と入れた方が、検索結果が多く返ってきます。

いくつか、実例をあげてみます。以下、リンクつきのキーワード、簡単な説明、の組み合わせわせで列挙してゆきます。

まずは、この話が紹介されているNYCSHSのサイトに記載されているリンクを辿ってみます。
New York Central Railroad – ニューヨークセントラル鉄道。

ニューヨークセントラル(以下NYC)に関連する派生するキーワードで検索してみます。
20th Century Limited – NYCの看板列車の20世紀特急(20th century limited)
20th Century Train – 同上、キーワード違い
999 Empire State Express – 最近ワークスKさんのBlogで模型が紹介された、NYCの999号機が、1948年のシカゴ鉄道フェアで走行したときの写真。
Grand Central Station – NYCのメインの駅であり、NYCのシンボルでもある、グランドセントラルステーション。ここは、ニューヨーク市のシンボル的な場所でもありますので、例えばグレース・ケリーが列車に乗るところなど、鉄道以外を主題とした写真も数多く撮られています。

別の鉄道を検索してみます。
Pennsylvania Railroad – NYCで始めたので、ペンシルベニア鉄道をはずすわけにはいかないでしょう。ところが、NYCよりは記録されている写真の数が少ないようです。看板列車のブロードウェイ特急の写真も見あたりません。ペンシルベニアと言えば、流線型機関車をデザインしたレイモンド・ローウィーを検索してみたくなりますが、こちらも、本人のポートレート写真が出てくるばかりで、我々の期待する結果は返ってきません。
Norfolk Western – ノーフォーク・アンド・ウェスタン鉄道
Roanoke – ノーフォーク・アンド・ウェスタン鉄道については、その蒸気の大部分を製造した工場のあったRoanokeも検索すべきでしょう。
Santa Fe Railroad – サンタフェ。これは結構難しく、「Santa Fe」で探すと、ニューメキシコのサンタフェ市の写真がたくさん出てきます。「Atchison Topeka Santa Fe」で探すと何も結果がでません。サンタフェの正式名称は「Atchison Topeka & Santa Fe Railway」ですので、「Santa Fe Railway」を入れるとやはり何も結果がでず、「Santa Fe Railrod」と入れると、ある程度絞り込まれた結果が返ってきます。
Southern Pacific – サザンパシフィック鉄道。
Union Pacific – ユニオンパシフィック鉄道。意外なことに、これもあまり数がありません。

少し角度を変えて検索すると、
locomotive – 単純に「機関車(locomotive)」と入れてみると、面白い写真が出てきます。ペンシルベニア鉄道の、流線型デュプレックスS-1が、ニューヨークワールドフェアに展示された時の写真、C&Oのスチームタービン機関車の写真、など。

他にも、いろいろなキーワードが考えられると思いますが、きりがないので、このくらいに
しておきましょう。みなさんもお楽しみください。

ノーフォーク・サザンのバッテリー駆動スイッチャー999号機のお披露目

以前、ワークスKさんの掲示板に、ノーフォーク・サザン(Norfolk Southern)鉄道のバッテリー駆動のゼロ・エミッションの入れ換え用試作機999の紹介を書いたことがありましたが、この999のお披露目の式典のビデオをYoutubeで見つけましたので紹介します。

ただ、このビデオ、少々毛色が変わっていて、ペンシルべニア州第9区選出のBill Shuster下院議員の活動報告の一環として公開されているものです。このBlogをお読みになっている皆さんには、第9区というより、アルトゥーナ市を含む選挙区、と言ったほうがわかりやすいでしょう。ご存知の通り、アルトゥーナは、ペンシルべニア鉄道の聖地とでも言うべき場所で、ペンシルべニア鉄道の数々の名機関車を生み出したジュニアタ工場が置かれ、現在は、ノーフォーク・サザン鉄道の整備工場となっています。式典が行われたのは、まさしくこのジュニアタ工場の一角です。

さて、このビデオは上記のような目的で作られていますので、ビデオのほとんどはShuster議員のスピーチであり、我々の興味のあるNS999が主役なのは最初と最後のみです。更に、ワイド画面を4:3に押し込めたためか、縦横比が変になっています。ということで、NS999が活躍する場面を期待されるとがっかりされると思うのですが、まずは一見の価値はあるかと思います。

Shuster議員は、早口で、一部アドリブ的に喋っていて、言葉の端々が聞き取れないところが多いのですが、我々に興味のありそうなところだけピックアップしてみます。いつものように、間違いなどあれば、ご指摘ください。

(1) まずは、挨拶の後、式典会場にNS999を招き入れたところで、機関車が静かだということを強調しています。なるほど、鐘の音だけ聞こえて、エンジン音がしないのは不思議な気がします。日本では、ハイブリッド自動車が静か過ぎることに起因する安全問題が言われていますが、もしもNS999のようなバッテリー駆動の機関車が主流になったとすると、ヤードでの安全性が問題になったりするのでしょうか。

(2) この機関車が出来上がるまでの関係者として、ノーフォーク・サザン鉄道ペンシルベニア州立大学米国運輸省(Department of Transportation、以下DOT)連邦鉄道局(Federal Railroad Administration、以下FRA)米国エネルギー省、があげられています。

参考までに、ペンシルベニア州立大学が何を分担したかが、このページに述べられています。詳細には立ち入りませんが、バッテリーの充放電の管理、長寿命化などの技術開発を担当したとあります。

(3) 資金については、2008年、2009年に、それぞれ60万ドル(=5400万円)、70万ドル(=6300万円)を連邦政府から獲得し、2010年には100万ドル(=9000万円)を獲得見込み。連邦政府からは、このほかにもFRAが70万ドル(=6300万円)をこれまでに拠出。このほか、ノーフォーク・サザンが独自に200万ドル(1.8億円)を支出。(注:1ドル=90円で計算)

(4) このような機関車を作る意義として、外国から輸入する油への依存度を下げられること、化石燃料の依存からの脱却、排出ガスのクリーン化がはかれること、を言っています。「これらの技術は、他の鉄道や、世界に展開できる」点で意義があるということも強調しています。

(5) 更に、ジュニアタ工場で働く900人の人に対する感謝と今後への期待、そして今後の予定として、更に2台の試作機を作ることが述べられています。

このほか、私が面白いと思ったのは、以下2点です。議員さんとしては、これは大きな成果であり、社会的にも意義のあることである、ということを主張したいのだと思います。詳しくは、米国の予算獲得のメカニズムを理解しないと議論できないので、今回はここまでとしておきます。

(a) 来賓の紹介
この式典には、米国運輸省の長官、ペンシルベニア州の運輸委員長、アルトゥーナ市長が呼ばれています。大物を揃えたということでしょう。

(b) 税金の獲得と還元
歳出委員会を通じた連邦予算を獲得したこと、それが地元のために使われ、なおかつ、アメリカにとってそれが意味のあることである、ということを強調しています。

ツイッター(Twitter)を使った鉄道会社の情報発信

ここのところ、ツイッター(Twitter)というサービスの名前を聞く機会が多いのではないかと思います。どんなものかご存知の方も多いと思いますが、念のためWikipediaの定義を引用してみます。

Twitterはブログとチャットを足して2で割ったようなシステムを持つ。各ユーザーは自分専用のサイト(ホーム)を持ち、「What’s Happening?(いまどうしてる?)」の質問に対して140文字以内でつぶやきを投稿する。つぶやき一つ一つはブログのエントリに相当し、つぶやきごとに固有のURLが割り当てられる。

Blogだと、文章を練って書かなければならないのに対し、ツイッターの場合は、思ったままの「つぶやき」を発信するというところにミソがあります。たった140字で何ができるか、と思われるかもしれませんが、逆に字数を制限したことで、つぶやきをどんどん発信すればよい、という手軽さが逆に受けていると思われます。

とまぁ、Twitterがなぜ受けているかについては、その方面の識者の方々におまかせするとして、今回紹介したいのは、アメリカの鉄道会社がツイッターを使って情報発信している、ということです。主要4会社のアドレスは以下の通りです。但し、現時点では、Norfolk Southernは、準備中なのか、まだ何も中身がありません。

※追記: Norfolk Southernも、2010/2/17から情報発信を始めました。

Union Pacific
BNSF
CSX
Norfolk Southern

どんなことを発信しているかは、上記のリンクを辿ってもらうとして、流石に会社が公式に発信するものですから、プレスリリースを一言にまとめたもの、もしくはそれに準じたものがほとんどを占めているようです。例えば、この記事を書いている時点での最新のものは、次のようなものが記載されています。
1) UPは、今年(2010年)1月21日に開催される、投資家向けの第四四半期の業績発表会のアナウンス、
2) BNSFは、2月11日に、投資家が集まって、Berkshire HathawayによるBNSF買収の可否について決をとるいうお知らせ、
3) CSXは、沿線の地元のコミュニティにパソコンを寄付したという話。

さらに、4-8-4大好きな私にとっては、こちらのほうが重要なのですが、UPは、保存機である844の動向(居場所)を知らせるツイッターサイトを提供しています。現在、844は、GPSを搭載して、現在位置がリアルタイムに把握できているようにしていますが、その位置などをツイッターに流しています。ちなみに、この844の位置は、UPのこのページの地図上にも表示されています。

このほか、同じく4-8-4の、SPのデイライト牽引機であったGS-4、4449号機の動向もツイッターで発信されています。

もともとツイッターは、個人向けサービスを狙っていたと理解しているので、会社が公式に情報発信する手段としては、今後まだまだ工夫が必要なのかもしれませんが、このような新しいサービスを使ってみよう、という姿勢は、アメリカらしいなぁと思った次第です。

あけましておめでとうございます

皆様、あけましておめでとうございます。

昨年も、相変わらずの貧乏暇なし状態でしたが、趣味的には自分なりに納得できる楽しみ方ができたのではないかと思います。その原動力の一つが、このBlogを書くことだったと思います。いつも目を通していただいている皆様、また、わざわざコメントをいただく皆様に深く御礼申し上げます。

一方で、昨年は、個人的なものも含め、何かと訃報に接することが多い年でもありました。これまであまり意識してこなかった、このような形での人との別れの意味を深く考えさせられたように思います。やはり、人生は一度きりですから、悔いのないように生きて行かねばと感じました。

今年は、仕事の面で激動の1年になりそうなのですが、充実した仕事をするためにも、趣味を楽しんでゆきたいと思っています。

皆様にとりまして、2010年がすばらしい一年でありますように。