Modestoへ

Lou Crossさんの家を訪問し、近くの宿に一泊した後は、いよいよO Scale Westの開催されるSan Jose方面に向かいます。でも、「面白い場所があるのでちょっと行ってみましょう」とdda40xさんにお願いし、再度CA-99に乗り、車を北に走らせます。目的地はModestoです。

“はて、Modestoってどこ?”というのが多くの人の反応かと思います。ひょっとしたら、ModestoがSan Joaquin Valleyルート沿いの農産物の集散地の拠点の一つであることをご存知の方もいらっしゃるかもしれません。”それにしても、そんな場所に何の用が?”というのが普通の反応でしょう。が、私は15年以上、この街のある場所を訪問したいと思い続けており、今回ようやくその目的を果たすことができました。

それは、ModestoのBeard Brook Parkという公園に静態保存されているAT&SFの2921(4-8-4)を見ることでした。この機関車は、カリフォルニア鉄道博物館に保存されているAT&SF2925AT&SFの2926動態復活プロジェクトのニュースで紹介した機関車と同形式のクラス2900の一両です。

クラス2900は、1943年から1944年にかけて30両がBaldwinで建造されたAT&SFの4-8-4の最終形式です。1941年に製造されたクラス3776を増備したものなので、基本的なスペックはそのまま受け継いでいますが、第二次世界大戦の真っ只中でしたので、使える材料や資材に制約があり、4-8-4としては最も重い機関車となりました。機関車の重量は510,150ポンド(231.4トン)。テンダーもまた巨大で、24,500ガロン(92,740リットル)の水と、7,000ガロン(26,500リットル)の燃料を飲み込んで、Santa Feの旅客や貨物に活躍していました。(注:数字は資料によって異なるので、HundmanのLocomotive Cyclopediaによりました)

まずは全景です。とにかく大きい。全長は37メートル近くあります。

これはテンダー。これだけで長さは17メートル以上となります。クローズアップを撮り忘れたのですが、台車は2つとも4軸なのに注目ください。

フロントに回ります。高さも5メートルはあります。

後ろに回って、巨大なテンダーを見上げたところです。

進行方向に向かって右側(Engineer’s side)に移ります。金網が邪魔ですが、ご容赦ください。まずは従台車。

続いて、第4動輪から第3動輪まで。動輪径は80インチ(2032ミリ)です。

続いて、第2動輪から第1動輪。

続いてシリンダー。

キャブ下に戻って、配管のクローズアップを撮ってみました。ちょうど金網の隙間から撮影することができました。

これはモーションプレートの後ろに設置されているオイルポンプです。模型だと奥行き方向が圧縮されがちなのでなかなか意識することがないのですが、実はこんなに立体的な構造をしているのだ、ということを認識した次第です。

今度は左側(Fireman’s Side)に移ります。こちら側は、金網の隙間から写真を撮っています。まず第1動輪から第2動輪にかけて、そしてモーションプレート。

レンズをもう少し第2動輪に向けてみました。

上と似たような写真ですが、第2動輪のメインロッドのローラーベアリングが写るような角度で撮影してみました。

続いて、第3動から第4動輪。、第2動輪から第3動輪をつないでいるタンデムロッドをはっきり認識できます。また、機関車の大きさの割に、ロッドが薄いのも印象的です。

第4動輪から火室の底部と続きます。従台車の厚みもよくわかります。

さて、上にも書きましたが、クラス2900は、戦時の制約により、箱型のBoxpox動輪、テーパー型のロッド型で落成しました。戦後、性能改善のため、ローラーベアリングつきのロッドに換装し、第4動輪もボールドウィンのディスク動輪に入れ替えました。というような予備知識でこの機関車を観察していたのですが、この2921号機は、第4動輪に加えて第2動輪もボールドウィンのディスク動輪であることを発見しました。この機関車だけ特別な理由で第4動輪に加えて第2動輪も交換したのでしょうか。あるいは、すべてボールドウィンのディスク動輪を備えていたクラス3776が廃車になったときに流用したのでしょうか。

左側のキャブ下の配管を狙ってみました。

最後に、フロントビューを拡大したところです。

カウキャッチャーは昔ながらのタイプです。

参考までに、以下に場所を記しておきます。Google Mapsにもしっかりとらえられています。クリックしていただいて、Street Viewに切り替えると、この2921号機のサイドビューをはっきりと確認することができます。

[2012/4/18追記: Google Mapsを埋め込みました。]


大きな地図で見る

[2018/5/6追記: 上記の場所からAmtrakのModesto Stationの近くに移設されたということです。GoogleのStreet Viewにはまだ登録されていませんが、こちらに写真が投稿されています。また、下記のYoutubeの35秒から40秒の間に登場します。]

Modestoへ」への2件のフィードバック

  1. northerns484

    まさしくこのサイトで存在を知ったのでした
    私がこのModestoの保存機を知ったのは、立ち上がって間もないWes Barris氏のサイトを見ていてでした。
    Santa Feは2900クラス以外にも、動態保存されている3751を含めて3台の4-8-4が、クラス3776/2900と共通部分の多いクラス5011(2-10-4)が4台保存されていて恵まれていますね。
    私の勝手な推測ですが、マネジメントサイドに機関車の保存に対する何らかの理解があったのではないか、などということを感じています。

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