Swap Meetの合間を縫って、4件のClinicに参加してみました。
まずはBill Brisko氏による”Creating Custom Casting Masters”。昨年紹介した三次元プリンタによる動輪輪芯のロストワックス製法の解説です。内容はBrisko氏のホームページに沿ったもので、私には目新しいものではなかったのですが、最後に触れられた「模型化のための設計」が印象に残りました。近年の機関車など、CADで設計していますので、仮にそのデータが使えたりすると、何もしなくても実物をそのまま縮尺して模型を作ることができると考えがちですが、そうすると、一部の寸法が細かくなりすぎ、プリントしたワックスの型が弱くなりすぎるとか、湯の流れが悪くなるといったことが起きます。
さて、この三次元プリンタに代表されるRapid Prototyping技術や、CNC制御での加工などを活用すれば、模型の作り方を大きく変えることができると考えているのですが、これらの機械の性能をフルに引き出して、満足すべき結果を得るには、段取りや機械の制約を良く考えた「設計」が決め手になると思います。特に、資金面、技術面の両面で、必要な設備を個人レベルで導入するのは困難な現状では、専門家に依頼することとなりますので、「何をどう作りたいか」をしっかりとイメージして言葉で伝えることができることが必要なのでは、といったことを感じました。
Dennis氏は、”Casting Your Custom Parts”と題し、ロストワックスの製造の全般プロセスの解説をされていました。プレゼンテーション資料無しで早口の説明をフォローするのは正直つらかったですが、マスターパターンを作る際に、プラスチックを使うことの利点を説明されていました。
dda40xさんは、ご自身が考案され、作られたLo-D車輪に関する講演を2回行われ、私もプレゼンテーションのお手伝い役も兼ねて参加させていただきました。RP25の問題点を指摘した上で、Lo-D車輪の設計思想を紹介され、論より証拠とばかりに披露されたUP9000が80両以上の客車を牽引するビデオは、聴衆にインパクトを与えたようです。
このほか行われたクリニックには、木の作り方、背景の描き方、コンピューターを使ったデカール作り、石垣削りだし、CMRI/JMRIを使ったレイアウトの配線と信号制御、プロトタイプに即した信号制御、Proto48、など、がありました。今改めてリストアップすると、もう少し聞いておけばよかった、と思います。
注:本記事の画像はBill Brisko氏の許可を頂いて転載したものです。
[2012/4/18追記: dda40xさんのビデオを埋め込んでおきます。]