バージニア交通博物館(Virginia Museum of Transportation、以下VMT)が2013年2月22日に発表したところによれば、VTMに保存されているノーフォーク・アンド・ウェスタン鉄道の611号機(クラスJ、4-8-4)を動態に復活させるための検討を始める委員会が設立されたとのことです。
Fireup 611!というプログラムと称し、60日から90日をかけて、機関車を動態に復活するための技術的な課題、安全を含めた運行上の課題、そしてもっとも大事なビジネスプラン、を検討するとあります。
1994年に突然excursionが打ちきられた後20年近くになりますので、技術的な観点からは、動態に復することのできる状態にあるか、法律で求められるボイラーに関する要件が大きく変わっていることへの対応、といった検討がなされるものと思います。
また、運行の観点では、蒸気機関車の運行に不可欠な給水施設をどう用意するか、本業の貨物輸送のスケジュールに著しい影響を与えないか、ということが検討必要なのでしょう。
一番大変と思われるのがビジネスプランの立案です。ファンの心理からは、ぜひ復活してもらいたいという思いはありますが、これだけの機関車を復活するには相応の初期投資が必要となりますし、さらにそれを運行し続けるには、継続的にお金が入ってくるようにしなければなりません。このような、お金の回る仕組みが説得力のある形で描けなければ、動態復活も絵に描いた餅にしかなりません。
ということで、このFireup!611の活動も、「動態に復活する」ではなく、「動態に復活できるかどうかの可能性を検討する」としか言っていません。とはいえ、記者会見が大々的に行われたこともあり、動態に復活することを前提にこの活動を開始したのであろうということを期待しています。
以下のリンクは、Jの生誕地であるRoanokeの地方紙、”The Roanoke Times”に記載された記事です。
Transportation museum launches study to get 611 steam engine rolling again
また、当日の 記者会見の模様が以下のYoutubeに掲載されています。
さて、どんな結論が出るでしょうか。今から楽しみです。
この流線型蒸機は、そんなに流麗と思えないのですけれど、モデルの方は各ゲージで、また各メーカーで競って?発売する風があります。そしてまた、実物が復活に向けた動きというのですから、彼の地では人気があるのでしょうね。あるいは、動輪径が小さいのでモーターが入れやすいとか、維持運行が容易とか‥‥(笑)
ワークスKさん、コメントありがとうございます。
まぁ、デザインについては、それだけの素養を私が持ち合わせていないのでここでは触れませんが、クラスJを含めてノーフォーク・アンド・ウェスタン(N&W)自体が全米でも人気が高い鉄道だと思っています。アメリカのクラスI鉄道の中で、最後まで蒸気機関車を主力としていたこと、ほぼすべての蒸気機関車を自力で設計し、製造するだけの技術力を持っていたこと、などが理由かと思います。このあたり、まとめて書きたいのですが、それだけの情報の整理ができておらず、文章力もなく。。。
また、1980年代前半から1990年代前半まで、この611号機と1218号機(クラスA 2-6-6-4、これもVMTに保存)の2両を使ったexcursionを行っていたので、この時の記憶をとどめている人も数多くいるはずです。
さらに加えると、O. Winston Linkという写真家が、いろいろな技法を駆使してN&Wの夜の活躍を記録に残していることもこの鉄道の人気に寄与していると思います。Linkは鉄道の写真を撮りつつ、同時に1950年代の米国の生活を記録しており、鉄道ファン以外にもアピールしているのだと思います。Hotshot Eastboundと題した次の写真をどこかで見たという方は多いのではないでしょうか。(画像はWikipediaのものをリンクしています)。
この写真は見たことがあります。今ならデジタルカメラが高感度ですから素人でも撮れますけれど、これは実際、大変だったことでしょう。
で、保存蒸機復活の話は、思い直してみると、機関車が新しいという点が大きな選択肢ですよね。
使ってあるベアリングなどの材料の品質が安定していますし、特に潤滑の信頼性を高めてあることが、現代の慣れないメンバーでも、そこそこ扱える機械ということになるのでしょうか。
どこかの電鉄の連節車復活も、こういうところが肝要だとサジェスチョンしたつもりだったのですが‥‥(笑)