ユニバーサルジョイントの使い方(26) – まとめ

この投稿は、加筆修正いたしましたので、こちらをご覧になってください。

長々と続けてきたシリーズ、書き足りないこともあるとは思っていますが、本質的に書くべきことはすべて網羅したと考えていますので、今回でいったん区切りをつけることとします。

ここまで考察してきたことを以下にまとめます。

(1)まずはユニバーサルジョイントの使い方一般について。

  • ユニバーサルジョイントが折れ曲がって回転する場合、角速度の変動が発生するので、必ず2つ組み合わせること。その際に、2つのユニバーサルジョイントをつなぐ軸のピンの向き(位相)を同じにそろえること
  • ピンの向きを揃えた場合、最初のユニバーサルジョイントで発生した角速度の変動を、2つ目のユニバーサルジョイントが打ち消す方向に働く(2つのジョイントの角度が同じであれば完全に打ち消される)。
  • ピンの向きを揃えない場合(90度ずれている場合)、1つ目のユニバーサルジョイントで発生した角速度の変動を、2つ目のユニバーサルジョイントが増幅する方向に働く

(2)模型では、簡易型のユニバーサルジョイントがよく使われます。こちらについても解析を行い、次の結果を得ました。

  • 簡易ユニバーサルジョイントは、正規型ユニバーサルジョイントと等価である
  • 従って、正規型ユニバーサルジョイントの場合と同様、2つのユニバーサルジョイントをつなぐ軸のピンの向き(位相)をそろえることが必要

(3)日本型の電車を中心に、MPギア(もしくはそれに類似する形態の駆動系、以下MPギアで代表)がよく用いられています。こちらの考察を進め、次のような結論や仮説を得ました。

  • 2つのジョイントの曲がる角度は一致しないので、MPギアでは角速度の変動は必ず発生する
  • 角速度の変動を低減するには、次のようなことが有効。
    1)モーターは必ず中央に置きジョイントの位置が左右対称になるようにする
    2)可能な限り短いモーターを選ぶとともに、モーター側のユニバーサルジョイントは、可能な限り中央に寄せる
  • (仮説)角速度の変動が5%に近づくあたりから、車両の挙動に影響を与える可能性が高い。

(4)ユニバーサルジョイントを構成する3つの軸が同一平面にない場合の解析も行いました。その結果次の結論を得ました。

  • ユニバーサルジョイントの軸が3つの軸が同一平面にない場合は、3つの軸が同一平面上にある場合に比べ、角速度の変動を大きくする方向に働く
  • 従って、ユニバーサルジョイントを構成する3つの軸は同一平面上に置く

最初に述べた、ピンの向きを揃える、を念のため下に図示します。

下は誤った使い方の図です。

このシリーズは、7回目を書いた時点で終わる予定でしたが、次々と考えるべきことが出てきて、私自身の興味もつきず、なんと25回も続けてしまいました。数式ばかりの記事に辟易した人が多かったのではないかと思いますが、これは厳密な議論をすることを目的としたものですので、ご了解ください。さび付いた頭で三角関数やら微分やらベクトルやらと格闘するのは大変でしたが、久しぶりに数学の奥深さを感じたように思います。何度か検証したので誤りはないのではないかと思っていますが、もしもお気づきの点があれば、ご指摘頂ければ幸いです。

ここまで、いろいろな方に示唆をいただき、また貴重な情報をいただきました。個別にお名前を挙げることはしませんが、深く御礼申し上げます。

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