荷重との戦い

仕事の関係で日経BP社のWebサイトを覗くことがあるのですが、ちょっと前にこんな記事がありましたので、ご紹介します。

「本当に“規格”が正しいの?規格外を狙ったら高性能の鉄道レールが生まれた」

概要を引用させてもらうと、

米国やカナダの貨物列車用レールの規格では、素材に含まれる炭素の含有量は約0.8%と厳密に定められている。一般的に、鉄に炭素を加えると摩耗に強くなるが、この比率を超えるともろくなって割れやすくなるとされてきたからだ。鉄鋼業界では20年以上もの間、不文律としてこの数字が守られてきた。しかし、新日鉄はこのタブーに挑戦した。鉄に炭素を加えると、鉄の中に非常に硬い炭化物ができ、耐摩耗性を上げるのに有効と考えられていたが、一方で炭素が多すぎると炭化物が固まりになり、それが割れの原因となる。そこで、固まりができないような圧延、熱処理の方法を実験の繰り返しで編み出したのである。この技術開発により、北米貨物鉄道用レールの摩耗性は以前より最大で50%も高まった。

とのこと。

この記事、北米向けのレールの技術開発の話がメインですが、米国の鉄道事情も垣間見ることができ、興味深い内容になっています。特に、動画の中(1分40秒あたり)に、レールの磨耗した断面を写したものがあるのですが、「磨耗」という言葉から想像されるような生易しいものではありません。むしろ、「レールの頭の部分の半分が消えてなくなっている」と形容するのが正確であり、かなり衝撃的でした。

インタビューの中にも、「車輪あたりの荷重は、新幹線だと5トンだが、北米では20トンになる」という言葉があります。北米向けレールの開発では「荷重との戦い」というのが大きな焦点になるということでしょうね。

その他、技術開発の進め方だとか、製鉄所でのレールの圧延の様子も少し映っていたりして、いろいろな楽しみかたのできるページかと思います。

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