引き続き、カルトレインのCEMOF (Centralized Equipment Maintenance and Operations Facility)のオープニングセレモニーの様子のご紹介です。今回は整備工場の中に入ります。なお、写真の著作権は、撮影者のEric Eggel氏に属します。転載はご遠慮ください。
まずは、整備工場の中に入ったところ。工場の広さは58800平方フィート(=5463平方メートル)とあります。
少し奥を覗く角度です。右手に客車、左手にMP36が見えます。
奥に入ってMP36です。925号機となっています。
完全には見えませんが、機関車に名前がついているのがおわかりいただけるでしょうか。英語版Wikipediaには、CALTRAINの機関車の名前がまとめられています。ほかの機関車の名前がCALTRAINの駅の名なのに対して、この925号機だけ人名となっています。
これは、下院議員のJackie Speier女史が、カリフォルニア州の上院議員だったときに、このCEMOFの建設も含め、カルトレインの改良の予算を獲得したということに対しての感謝の気持ちをこめて、彼女の名前をつけたようです。このセレモニーにこの番号の機関車を用意するあたりは心憎い配慮ですね。
続いて客車。
列車を下から検査するためのピットです。長さは、800フィート(=243.8 m)だそうです。
これは天井にあるクレーン。クーラーやエンジンの移動などに使うとのことです。
CEMOFのページによれば、車輪を交換するための設備があるとあります。おそらく、下の写真の黄色いものだと思いますが、ちょっと自信はありません。車輪を交換する間、垂直に立っているものが、車体を両側から支えているのでしょうか。
これは、交換する/交換した車輪を運ぶためのテーブルと思われます。
CEMOFのページには、自前で車輪を研削する設備を持っているとありますので、これがその機械だと思います。
ところで、カルトレインの説明文の中では、”Wheel Truing”という単語が使われていました。Truingではなく、Turningかなにかの間違いかと思ったのですが、明らかに動詞としてのTrueといいう言葉を使っています。この用法を調べると、自転車の車輪のスポークの張りを調整して振れをとる、という意味で使うことが多いようです。鉄道の車輪でもこの言葉を使うのだろうか、というのが疑問ではあります。
truing は 振れ取りの意味ですね
久しぶりにこの言葉を聞きました。
UPの機関士Tom Harveyの家に居候していた時、車の修理を手伝いました。後輪のブレーキドラムを外して奥さんの車に積み込むと、奥さんが「それじゃtruingに行ってくる」と出かけました。
次の日Tomとそのドラムを取りに行きました。行った先は普通の家で車庫に6尺旋盤が置いてありました。アルバイトでやっているのだそうです。
内側がつるつるに削ってありました。
参考になります。
dda40xさん:
“True”という言葉の原義を考えると、何を言おうとしているかはすぐわかったのですが、そういう使い方に接したことがなかったので、戸惑ったのでした。実体験に基づかれたコメントを頂くと、どのように使うのかのイメージが明確になって、勉強になります。ありがとうございます。
ただ、dda40xさんも「久しぶりに聞いた」とのことですので、使用する場面は限られる表現なのでしょうか。
旋盤仕事ではよく使います
直接聞いたり、口に出したりすことはないのですが、旋盤のチャックに何かをくわえる時はtruing
は大切なプロセスで、活字ではよく見ます。
私の旋盤にはTru-Setというブランドのチャックがつけてあります。
これは軸を微妙にずらすことができるうまい工夫があります。
http://blog.livedoor.jp/dda40x/archives/2006-09.html#20060913
納得です
> 直接聞いたり、口に出したりすことはないのですが、旋盤のチャックに何かをくわえる時はtruing
>は大切なプロセスで、活字ではよく見ます。
なるほど、そういう用語の使い方をするのだとは知りませんでした。日本語だと「芯を出す」という言葉が当てはまるでしょうか。
「振れを取る」という使い方も考え合わせると、Truingという言葉のココロは、回転するものが、正しく回転するようにする、ということだと理解しました。
ご紹介いただいたBlogの記事、読み返してみました。アイディアもさることながら、Tru-Setという名前が、何ができるかを簡単に言い表しているうえ、覚えやすくくて良いネーミングと感心しました。
ハイレベルなお話の中すみません。
こんばんは。
ちょっと、レベルが高すぎて、旋盤加工の話には入れませんが・・・アメリカって国は、ごく普通の人と思っている人が、とんでもない技術を持っていたりするんですね・・・すばらしいです・・・。
日本でも、6尺旋盤なんて、普通の金属加工屋さん、持っていないです。必要なら、持っている工場に持ち込んで加工依頼していました。
そのくらい、めったに動かない旋盤を操ってブレーキドラムのTruingしちゃうなんて、かっこいい・・・といったら安っぽくて嫌なんですが、憧れてしまいます。
すみません、横槍失礼いたしました。
コメントありがとうございます。
gallopinggooseさん:
いつもコメントありがとうございます。
> ちょっと、レベルが高すぎて、旋盤加工の話には入れませんが
うーん、正直、旋盤のことは私は頭で理解しているだけで、実際の知識は無いに等しいです。頂いたコメントを読むと、旋盤の実際の知識はgallopinggooseさんの方がお詳しいようです。
本当は小型でもいいので欲しいのですが、家庭争議が起きるのが必至なので。。。
PS: 頂いたコメントですが、明らかな変換ミスがあったので、勝手ながら修正させていただきました。
車輪旋盤には2種類があって……
多分、最後の写真は、車両をそのままの姿で車輪を切削できる”床下型”というタイプではないでしょうか。たとえ1輪だけフラットが出来ても、1両8輪の車輪直径を合わせる必要がありますから、輪軸をいちいち外すのは手間です。次の写真は日本製の例です。
http://www.khi.co.jp/corp/ke/product/lathe.html
ただし機関車は軸重が重すぎてこの旋盤の機構では支えきれず、輪軸だけ外して普通の車輪旋盤で削るのだと思います。
両方の旋盤はコンピューター制御になっていて、どんな車輪踏面の形にも自由に削れるはずです。
たとえばLo-Dも
ところで旋盤は焼きが入ったスチールを高速で削るわけですから、歯の立った高温の切粉が一本に繋がってビューっと飛び出してきます。よって危なくて部外者には見せられません。また、この切粉は嵩張るので、後始末が大変です。
昔ながらの車輪旋盤のイメージしかなかったので。。。
ワークスKさん:
保守する立場からは、どう考えてもこの床下旋盤が楽ですね。しかもコンピューター制御とは。技術の進歩を感じました。
他社のものも見つけました。
http://www.omltd.co.jp/products/machine/products_m_luf106.html
いずれもドイツの技術を導入したというのが興味深いです。
切粉の話は、なるほどなのですが、言われるまで意識していませんでした。現場の皆さんの苦労が伝わってくるようです。
いつもながら、実体験に基づかれた詳しいコメントを頂き、感謝いたします。
削っているのは内側軸受の付随軸でしたね
ここの北北西約2.2㎞のところにライトレールの車両基地があって、そこにある車輪旋盤について、講釈を垂れてみました。
http://b5.spline.tv/tprr4/?thread=66
技術は難しいものです。