アメリカに行ってきました – サウスウエスト航空を使う

グランドキャニオン・ノースリムを後にし、ラスベガスまで半日ほどでドライブし、そこからサンノゼまで飛行機で移動したということを書きましした。日本往復便に併せて飛行機のチケットを手配すればよかったのですが、この移動は発券後に決めたため、ネットで探して一番料金が安かったサウスウエスト航空を使うことに。

この会社、日本では知名度は高くないように思いますが、ずっと好業績を続けている航空会社です。近年はやりのLCC(Low Cost Carrier)のビジネスモデルを確立したともいわれており、その方面の教科書で成功事例として取り上げられることもあります。その特徴的なところを体験しましたので紹介してみます。ご存じの方にはいまさらですが、ご容赦ください。

(1)座席指定という概念がない。

通常の航空会社に慣れた人にとっては、これが一番の違いだと思います。チェックインすると搭乗番号が割り当てられるので、その番号順に搭乗して好きな席を選んで座ります。ネットを使えば24時間前からチェックイン可能なので、良い場所に座りたければ早くチェックインするしかありません。空港のカウンターまでチェックインできなかった私には、ほぼ最後の番号が割り当てられ、家族がバラバラに座ることとなりました。

実際の搭乗では、まずA-1からA-25、A-26からA-50という二つの列ができ、A-1からA-25の人が順に搭乗し、その次にA-26からA-50の人が搭乗し同時にA-1からA-25の列にB-1からB-25の人が並ぶ、ということを繰り返してゆきます。

極端なことを言えば定員になったかどうかだけ管理すればよいので、航空会社は予約システムを簡素化し、開発費を抑えることができます。搭乗ゲートで乗客の座席の変更リクエストに時間を費やしている航空会社の職員を見ることがありますが、このような窓口対応も最低限にできます。

(2)メジャーな空港にはなるべく乗り入れない。

サウスウエストは、多くの場合主要都市の表玄関の空港ではなく少し外れた空港を使っています。本社のあるダラスでは、ダラス・フォートワース空港ではなくダラス・ラブフィールド空港に乗り入れています。ニューヨーク、シカゴでもそれぞれ、ジョン・F・ケネディ空港シカゴ・オヘア空港を避けています。表玄関の空港は利便性が高いのではありますが、着陸料も高いので、経営コストや運賃に跳ね返ることになります。

(3)飛行機は1機種のみ。

サウスウエストが保有・運行しているのはボーイング737のみです。機種を統一することによって保守の部品を共通化することができるので、部品をまとめて大量に購入することができ、調達費用を下げることができると思います。管理すべき部品の点数も絞られますし、保管のためのスペースも減らせる、といったことによって間接的なコストも削減できると思います。

複数の機種を保有すると、その機種ごとにパイロットをそろえ、それぞれの機種ごとにパイロットの管理をする必要がでてきます。保有する機種を一種類にすることで、管理体系を一本に単純することができますし、いざという時の人員のやりくりも柔軟に対応できるはずです。同様のことが整備のスタッフに言えると思います。単一の機種に集中して会社のリソースを投入できるというのは、航空会社に最も求められる安全の確保という観点でも有利だと思います。

 

さて、搭乗しての感想は、特にないというのが正直なところです。とはいっても、もともと短かめの距離を移動することに主眼を置いてサービスしている会社ですので、対価として求めるものは安全かつ時間通りの運航ということだと割り切るのが妥当だろうと思います。その観点からは満足のできるサービスでした。

上で書いたようなことは、言われてみればコロンブスの卵的な発想かとは思うのですが、誰に対してどういうサービスを提供するかを絞り込み、それまでとは異なる新たなビジネスで儲かる仕組みとして形にしてここまで会社を発展させてきたというところは賞賛されるべきことなのだろうと思います。

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