ユニバーサルジョイントの使い方(28)ーMPギアの左右の角速度の比を計算する

前回の記事で、モーターの左右に取り付けるユニバーサルジョイントに関し、その取り付け部分の位相\(\Delta\)を揃えておかないと、左右のユニバーサルジョイントの最終的な角速度に差が出ることを示しました。

実際にどれくらいの差が出るかを、以前解析に用いたモハ185を題材として計算してみます。まず、前回の計算結果のグラフを再掲します。半径600mmと500mmとで、ユニバーサルジョイントの位相が正しい(\(\delta=0\))場合と、間違っている(\(\delta=\frac{\pi}{2}\))場合の角速度の変動を示したものです。

\(\Delta=0\)の場合は、\(\delta=0\)、\(\delta=\frac{\pi}{2}\)にかかわらず、左右の角速度は同じという結論を前回の議論で得ましたので、以下では\(\Delta=\frac{\pi}{2}\)、つまりモーターに取り付けられたユニバーサルジョイントの位相が90度ずれている場合を考えます。

まず、R600で\(\delta=0\)の場合、左右の角速度の比がどうなるかを示したのが下図です。左側のユニバーサルジョイントの角速度比、右側のユニバーサルジョイントの角速度比も併せて示します。

このグラフを見てわかることは、左側のユニバーサルジョイントの角速度の変動、右側のユニバサールジョイントの角速度の変動は以前求めたものと全く同じもので、ユニバーサルジョイントに取り付ける側のジョイントの位相が\(\frac{\pi}{2}\)(90度)ずれていることで、グラフも\(\frac{\pi}{2}\)ずれています。その結果、左側の角速度比が最大(最小)になる時に、右側の角速度比が最小(最大)になります。ユニバーサルジョイント単体の角速度の変動は±3%弱に抑えられていますが、左右の角速度比は±6%程度になることがわかります。

次にR500で\(\delta=0\)の場合のグラフを示します。

カーブが急になったことで、ユニバーサルジョイント単体の角速度の変動は±4%程度になり、左右の角速度の比は±8%程度となっています。

\(\delta=\frac{\pi}{2}\)の時、ユニバーサルジョイント単体の位相が90度ずれている場合、ユニバーサルジョイント単体の角速度の変動が大きくなりますので、更に条件が悪くなることが考えられます。R600の場合、R500の場合のグラフを続けて示します。

R600の場合にユニバーサルジョイント単体の角速度比の変動が±4%程度のものが左右比で±9%程度までに拡大すること、R500の場合はユニバーサルジョイント単体の角速度比の変動が±6%程度のものが左右比で±13%程度までに拡大すること、がわかります。

ここまで、\(\Delta=\frac{\pi}{2}\)の場合を考えましたが、先ほど議論した通り\(\Delta\ne 0\)の時は、左右の角速度の変動が\(\Delta\)分ずれるので、左右のユニバーサルジョイントの角速度比の変動が必ず発生します

わざわざ示すまでもないかもしれませんが、\(\Delta=\frac{\pi}{6}\)(30°)、\(\Delta=\frac{\pi}{3}\)(60°)、\(\Delta=\frac{\pi}{2}\)(90°)、のそれぞれの場合に、左右のユニバーサルジョイントの角速度比がどう変わるかを、R600の場合とR500の場合とについて示します。

長くなったので、今回の結論は次回にまとめます。

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