4回前の記事でまとめをしてこのシリーズは完結するはずでしたが、考慮すべき事ができ、3回ほど記事を続けました。今回がたぶん本当のまとめになると思います。前回のまとめと重複する部分がほとんどですが、このシリーズで考察してきた事を、改めて以下にまとめます。
(1)まずはユニバーサルジョイントの使い方一般について。
- ユニバーサルジョイントが折れ曲がって回転する場合、角速度の変動が発生するので、必ず2つ組み合わせること。その際に、2つのユニバーサルジョイントをつなぐ軸のピンの向き(位相)を同じにそろえること。
- ピンの向きを揃えた場合、最初のユニバーサルジョイントで発生した角速度の変動を、2つ目のユニバーサルジョイントが打ち消す方向に働く(2つのジョイントの角度が同じであれば完全に打ち消される)。
- ピンの向きを揃えない場合(90度ずれている場合)、1つ目のユニバーサルジョイントで発生した角速度の変動を、2つ目のユニバーサルジョイントが増幅する方向に働く。
(2)模型では、簡易型のユニバーサルジョイントがよく使われます。こちらについても解析を行い、次の結果を得ました。
- 簡易ユニバーサルジョイントは、正規型ユニバーサルジョイントと等価である。
- 従って、正規型ユニバーサルジョイントの場合と同様、2つのユニバーサルジョイントをつなぐ軸のピンの向き(位相)をそろえることが必要。
(3)日本型の電車を中心に、MPギア(もしくはそれに類似する形態の駆動系、以下MPギアで代表)がよく用いられています。こちらの考察を進め、次のような結論や仮説を得ました。
- 2つのジョイントの曲がる角度は一致しないので、MPギアでは角速度の変動は必ず発生する。
- 角速度の変動を低減するには、次のようなことが有効。
1)モーターは必ず中央に置きジョイントの位置が左右対称になるようにする。
2)可能な限り短いモーターを選ぶとともに、モーター側のユニバーサルジョイントは、可能な限り中央に寄せる。 (仮説)角速度の変動が5%に近づくあたりから、車両の挙動に影響を与える可能性が高い。← この仮説は一旦取り下げます。- モーターの軸に装着するユニバーサルジョイントの位相を必ずそろえること。さもなくが、モーターの左右のユニバーサルジョイントの角速度差が発生する。
(4)ユニバーサルジョイントを構成する3つの軸が同一平面にない場合の解析も行いました。その結果次の結論を得ました。
- ユニバーサルジョイントの軸が3つの軸が同一平面にない場合は、3つの軸が同一平面上にある場合に比べ、角速度の変動を大きくする方向に働く。
- 従って、ユニバーサルジョイントを構成する3つの軸は同一平面上に置く。
最初に述べた、ピンの向きを揃える、を念のため下に図示します。
下は誤った使い方の図です。
ユニバーサルジョイントのモータへの正しい取り付け方も図示します。
誤った取り付け方を下に示します。
それでは、長々と続いてきたシリーズを終わりにしたいと思います。
このシリーズを続けるに当たって、示唆をいただいた方、貴重な情報をいただいた方に改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。