少し間が空きましたが、By Laws & Constitutionの続きです。今回は、クラブの目的を中心にご紹介します。
第１条： 名称では、組織の名前（Silicon Valley Lines)が定義されているとともに、「カリフォルニア州の法律に基づいた、非営利団体である」、ということが明記されています。
第２条： 目的には、具体的なクラブの活動の目的が、7項に分けて記載されています。ざっくり意訳すると、次のようになります。
A. 啓発を目的としたレイアウトの建設、図書ライブラリの整備、そして（実物の）鉄道に関するものの修復、を通じ、アメリカの鉄道の伝統を保存すること。
B. 模型鉄道を趣味とする人、実物の鉄道のファン、鉄道の歴史研究家が集い、知識やアイディアやスキルを情報交換するための場所を提供すること。
C. 会員や一般の人々の間で、個々人の成長やスキルの向上を図るとともに、その手助けを行うこと。
D. NMRAとその下部組織、趣味の業界、同様の興味を持っている鉄道に関する組織と協力しあうこと。
E. （一般の人々に対する）サービスの機会、ワークショップ、（NMRAなどの）大会、公共メディアを通じた定期的なコミュニケーションを通じ、この趣味界を活性化し、良くしてゆくための、啓発の機会を提供すること。
F. この組織は、メンバーの金銭上の利益を目的とするものではない。
G. この組織の活動は、特定の主義主張を振りかざしたり、政治的な活動から成ってはならない。
日本的な感覚からすると、D.やE.のあたりが目新しく思われるかもしれません。これは、NMRAに相当する組織が存在していない、というのが大きいのでしょうか。
これ以外の条文は、当然のことが書かれているように思われるかもしれませんが、ここまでこまごまと書かれているというのはアメリカならではと思います。例えば、F.とかG.など、趣味で集まる組織なので、こんなことわざわざ書かなくても、と思うのですが、こういうことまで、抜かりなく書くのがアメリカなのでしょう。裏返すと、そういう良からぬことを画策する輩がいないとも限らない、ともいえるのですが。
このように、活動の目的が詳細に言葉になっているというのは、By Laws & Constitution (1)に、ワークスKさんから頂いた、アメリカ社会の特質は……というコメントの中の、
> また意志を伝える手段は、あうんの呼吸は不可能で、必ず言葉、さらには文字を使う……ということだった思います。
という一文を反映している一例と考えてよいかと思います。
今、日本の会社で大きな変化が……
今のところごく一部の会社の、ホンの一部の部署だと思いますが、組織のあり方を根本から変える動きが起こりつつあります。それが「内部統制」という仕組みです。ウィキペディアにも項目が立てられていますが、ややこしいので、ここの「成立の経緯」以下を読んでみてください。”統制”という言葉だけで判断されると困りますが……。
http://ja.wikipedia.org/wiki/内部統制
要は、経営の暴走リスクを排除し、合理的で社会に受け入れられる企業活動に徹するためには、手順を定め、それに則って行動するということです。活力を削ぐということではありません。
今、ここで披露されているクラブの決め事と軌を一にしている話だと思います。
内部統制
ワークスKさん：
ご紹介いただいたWikipediaのページにも触れられていますが、ここ数年でよく耳のするようになったJ-SOX法は、まさしくこの内部統制の実現を目的としたものです。
日本では、法律が先行した形で導入されたので、少なくとも私の周りでは、「重要性はわかるけど、面倒なことが増えたなぁ」という段階を抜け出せていません。本来は、プロセスが重要だというのが私の考えですが、結果として出すことの求められる報告書をまとめるようにすることばかりに注意が払われているように感じています。
ただ、本家の米国のSOX法も、某巨大粉飾事件に関連して破綻した会計事務所で働いていた人たちの失業対策だ、という説を披露してくださった方がいらっしゃいました。真偽の程は全く不明ですが、この内部統制は、一筋縄では行かないようで。。。