祖父江欣平氏の訃報に接して

すでにdda40xさんのBlogに書かれているとおり、祖父江欣平氏がお亡くなりになられたこと。

祖父江欣平氏の死去
続 祖父江欣平氏の死去
続々 祖父江欣平氏の死去

祖父江氏の功績などについては、お付き合いの長いdda40xさんの上記の文書をお読みいただきたいのですが、ここでは私なりに追悼の意を表したいと思います。

私が米国型に興味を持つようになって、気がつくと30年近くになります。この間、数多くのHOスケールの模型を見たのですが、ここ数年、O-Scaleの模型に目が行くようになりました。初めて覗いたO-Scale Westのあちこちで”Sofue Drive”と書かれた三条ウォームに改造された機関車があるのを見て、米国での祖父江氏の存在の大きさを認識するに至りました。

そのうち、祖父江氏作のOスケールのMax GrayやUS Hobbiesの模型をよく見る様になって感じたのは、特にカツミを中心とする、日本から輸出されたHOスケールの模型の多くが、機関車の構造、プロポーションなど、祖父江氏のOスケールの模型を範にとっているのではないか、ということです。

プロポーションといえば、祖父江氏の実物の印象の捉え方に対するセンスには抜群のものがあります。50年以上前の模型で、限られた資料で作られたにもかかわらず、ぱっと見たときの説得力の高さは何故なのだろうと感じます。

つい先日まで訳を連載していたMark Schutzer氏がレストアしたカツミのSPのマウンテンも、Oスケールのものを参考にしたのだろう、と推測しています。

私見ですが、このような祖父江氏のOスケールの模型が米国で評判を獲得したことは当然のことであり、結果として米国の模型界を活性化させ、HOスケールも含めた日本からの模型の輸出を盛んにしたこと考えています。そのことは、日本の模型産業を活発化させ、日本の16番の模型が発展する礎になったのではないでしょうか。祖父江氏は世界の鉄道模型趣味界にとって、大変な恩人であったと言っても過言ではないと思います。

一度お伺いしてじっくりお話をさせていただいたことがあります。祖父江氏は、機関車作りの職人というイメージをお持ちの方が多いと思いますが、私が驚いたのは、一級の鉄道模型趣味人でもあった、ということです。どこそこのプロトタイプが良いとか悪いとか、祖父江氏なりの価値観をご披露いただきました。

圧巻だったのは、UPのパイロットのロストワックスの部品を持ち出されて、「ほらね、このステップの滑り止め、網目板だと思うでしょ。でも違うんですよ、実物はピラミッド状のとがったもが細かく並んでいるんで、ちゃんとそういう型を起こしたんですよ」と言われたことです。このこだわりは、実物や模型に対する深い理解があってこそ、だと思っています。

今度はあれを作るんだ、と熱っぽく語られた様が今でも印象に残っています。

心よりご冥福をお祈り致します。

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