SPのキャブフォワードAC11のレストア (4) – 駆動系の改修 –

この記事は、Mark Schuzter氏Espee’s Cab Forwardsの4ページめのRebuilding the drive trainを訳したものです。訳にあたっては、Mark Schutzer氏の許可を得ており、元記事、写真については、特記ない限りMark Schutzer氏に著作権があります。誤訳、不適切な訳、その他気づいたことがあれば、遠慮なくご指摘ください。詳細は、こちらの目次をご覧になってください。

なお、元記事は2009年4月19日に作成されました。


駆動系の改修

元の状態では、2台の模型のいずれもが、古い棒型モーターと、密閉されていないギアボックスを使った駆動軸を備えていた。機関車の連接部で駆動軸を繋いでいたのは、プラスチックのチューブであった。やかましい金属製ユニバーサルジョイントがモーターと駆動軸とを繋いでいた。下の写真は、当初の機関車の駆動系の状態を示すものである。

金属製のユニバーサルジョイントとオープン型のギアボックスとが原因で、元の状態の機関車は非常にやかましかった。機関車の性能を改善するには、駆動軸全体を取り換える必要があった。

この機関車は、私の経験したギアの入れ替えのプロジェクトの中で、最も難度の高いものとなった。ほとんどの機関車の模型とは異なり、アカネの主台枠は、単純な真鍮のU型のチャネルから作られていた。フレームには、ギヤの軸が飛び出す分だけの狭い溝が切られていた。ウォームギヤの両端に固定されたブラスのベアリングが、ウォームギヤと駆動系を正しい位置に保持していた。もとの動輪のギアは、歯の数が37で、モジュールは0.4であった。

新しく置き換え用に使うNWSL製のギアボックスは、モジュールが0.4でギア比が28:1である。低いギア比は、置き換え用の20mm径の低速の缶モーターとよく適合する。28枚の歯のギアは、もともとの37枚の歯のギアよりも小さいので、駆動軸の新しい位置は[訳注:前の駆動軸よりも低い位置になるので]主台枠に近くなる。新しい位置では、主台枠と駆動軸の底との間には25ミル(0.64ミリ)しかのクリアランスしかない。この低い位置のため、新しいユニバーサルジョイントをクリアするために、フレームを削る必要があった。ギアボックスのクリアランスを供給するために、フレームと底の押さえ板の両方をミリングする必要があった。

以下の写真は、新しい駆動軸の部品に必要な修正を示すものである。

上の写真の青い矢印は、修正を施した主台枠の位置を示すものである。主台枠上に固定されるバルブギアのハンガーとのクリアランスを設けるために、ギアボックスの片側を欠き取る必要があった。このギアボックスを、少し後ろに落とし込んでから前に動かしバルブギアハンガーの下に[訳注: 所定位置に]動かすことができるように、主台枠の開口部を大きくする必要があった。

もとの設計の可動しない固定されたベアリングの代わりに、各々のギアボックスに、可動するベアリングを1つずつ作った。これらのベアリングは駆動軸を適切な位置に保持するためのトルクアームとしても機能する。小さなワッシャーと1.4ミリのねじとでベアリングを主台枠に固定したが、ベアリングが固定する穴を中心に自由に回転できるようにクリアランスを設定した。機関車がカーブを曲がるときには、車輪が主台枠の中で左右に移動しがちである。車輪の動きにあわせてギアボックスが前後に自由に動くように、ベアリングが回転するように作ったものである。車輪が左右に動くのにあわせて、ユニバーサルジョイントが、長手方向の駆動軸のわずかな回転を打ち消すようになっている。

取り付け用のワッシャーを組み付けた状態のベアリングの一方の拡大写真を載せる。

上の写真は、主台枠と駆動軸とがどれだけ近いかを良く示している。シャフトの材料は、直径2.4ミリつまり94.5ミルである。写真から、主台枠が来る位置までのクリアランスが、シャフトの太さの1/4程度しかないことがわかる。左側にあるユニバーサルジョイントが、主台枠の上面の位置まで伸びていることにも注目してほしい。この写真から、ユニバーサルジョイントをクリアするために、なぜフレームをエンドミルで削らなければならなかったかが明らかである。

以下は、駆動軸の位置が下がったことでそのほかに必要となった修正を示すものである。

左側の赤い矢印の部分は、ドライブシャフトのクリアランスを稼ぐために、0.01インチ(0.254ミリ)のミリングを行ったバルブギアハンガーを示すものである。ギアボックスの欠き取りが、ハンガーの後ろにぴったりとあうことにも注目してほしい。右側の矢印の部分でも、シリンダーブロックの後ろ側をクリアするように削らなければならなかった。

この写真は、新しいモーターとフライホイールとを示すものである。

モーターを固定する台は、1/2インチ(12.7mm)×3/8インチ(9.25mm)の真鍮の棒から作成した。台の上には、3/4インチ(19.05mm)のボールエンドミルでモーターの受けを削りだした。モーターを正しい角度で設置するように、台を斜めにカットした。マウントの底には、2mm×0.4のネジ穴を2つタップした。これらの2本のネジで、モーターの台を主台枠へ固定するとともに、簡単に取り外しできるようにしている。モーターは粘性のあるシリコンゴムで固定している。この状態で、空いた空間に適合するような、テーパーつきのフライホイールも作成した。

この写真は、古い駆動系と新しい駆動系とをよく比べることができる。

写真を見ればわかるとおり、駆動軸の前後のセクションを繋ぐために、NWSLのユニバーサルジョイントを使った。

これは、新しい駆動系を備えた2台の機関車を示す写真である。

参照のために、各々の駆動系に使われたパーツのリストを掲載しておく。

* NWSL 20324-9 20mm x 32mm のモーター
* NWSL 241-6 モジュール0.4の、28:1のギヤボックス(2ヶ)
* NWSL 482-6 ユニバーサルジョイント
* NWSL 484-6 ユニバーサルジョイント
* NWSL 21142-5 1.4mm x 2mm x .3 のネジ (2ヶ、ベアリングをとめるネジ)
* NWSL 1203-5 2.0mm x 3mm x .4 のネジ (2ヶ、モーター台をとめるネジ)
* NWSL 2020-4 2.0mm の線材 (駆動軸)
* NWSL 2024-4 2.4mm の線材 (駆動軸)
* 3/8” x 1/2″ (9.25mm×12.7mm)の真鍮角材 (モーター台)
* 3/4” (19.05mm)の真鍮丸棒 (フライホィール)


補足

・ユニバーサルジョイントの正しい使い方については、こちらの記事に書きましたので、ご覧になってください。

・今回の作例では、ユニバーサルジョイントを使って駆動軸を折り曲げていますが、この場合、2つの角度は同じであることが必要です。

・ベアリングのところの説明がわかりにくいかと思ったので、横からみた断面図を描いてみました。

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