Chicago Museum of Science and Industry訪問後、450キロほど東、デトロイトの近くのDearbornという街に移動しました。聞き慣れない名前かもしれませんが、ここはビッグスリーの一角のフォード社のお膝元で、その街中にヘンリー・フォード博物館があります。名前だけを聞くと、「フォード社の歴史」を記録する博物館という印象があり、実際そのような側面もありますが、この博物館は独立した財団法人として運営されています。私自身が見学して感じたのは、この博物館は「車を一つの軸として、広くアメリカの歴史を記録する」ことを目的としているということです。
「車でアメリカの歴史を語る」という観点で、最も象徴的なコレクションは歴代の大統領専用車でしょう。以下の写真は、1963年11月23日、ケネディ大統領がダラスで暗殺された時に乗車していた、まさにその車です。この展示の前に立った瞬間、見覚えのある、「その瞬間」のビデオ画像が今までにない現実感を伴って頭の中に蘇り、まるで自分がその瞬間に居合わせたような錯覚を覚えました。良い展示物は、歴史の雄弁な証言者になる、ということでしょうか。
この他印象に残ったのは、車にまつわる「小道具」とでも言うべきものです。アメリカでは、単調な道を延々と長時間ドライブすることが多々あり、見知らぬ途中の街で、給油をしたり、簡単な食事や宿泊をすることがつきものです。これらはドライブの一部と言ってもよいと思うのですが、この博物館には、旧式のガソリンの給油ポンプだとか、マクドナルドのネオンサインとか、モーテルの部屋を再現したもの、などがさりげなく置かれています。単に車を紹介するだけでなく、人々の暮らしを記録しようとしているのだと感じました。
一角には、古いホンダ・アコードが展示されていました。なぜ?と思ったのですが、「1982年に日本の自動車会社が米国で最初に現地生産した自動車である」、という解説を読み、納得しました。当時は日米自動車摩擦などと言われていた難しい時代だったはずですが、その中でもこの事実に歴史的意義を認めた人がいたから、収蔵されたということでしょう。
この博物館に行く前に、dda40xさんが「博物館としてあるべき姿を具現している」と言われていたのですが、なるほど、コレクションのポリシーがしっかりしていると感じました。この他、ここではとても紹介しきれませんが、農機具だとか、工業用のスチームエンジンとか、飛行機だとか、色々なものが所蔵されています。これらの収蔵品が良い状態で保存されているのも印象的でした。例えばスチームエンジンなどは「鋳物の芸術」とでも呼ぶようなものが多くあり、実際に稼働する状態にあるものもあります。
さて、前置きが長くなりました。数は限られていますが、鉄道関係で見逃せないものもあります。その話は次回に。
[2010年6月27日追記]
この博物館のマップを以下に掲載しました。クリックすると拡大します(大きなファイルなので、少し時間がかかると思います)。
はじめまして。
実は今日「ケネディ大統領」をテーマにブログを書きまして、
他の皆さん、どうかなと思い、覗かせていただけました。
おもしろいですね。
ありがとうございました。