さて、NPが使っていた石炭に関し、前々回の記事で参照したThomas Dresslerの本には、ligniteと書かれており、前回の記事で参照したWikipediaでは、sub-bituminous coalと書かれているのが気になりました。なんとなくすっきりしないので、Googleを使っていろいろと調べてみたところ、米国エネルギー省のエネルギー情報機関(?)/Department of Energy, Energy Information Administrationのサイトに、石炭に関する用語の定義集を見つけました。
この分類が、蒸気機関車華やかなりし頃の分類と同一かどうかというのは確認していませんが、大幅に変わるとも考えにくいので、この分類を使って、Northern Pacificがどんな石炭を使っていたか、見てみたいと思います。
まず、石炭のランクには、高い品質の順番に、無煙炭(anthracite)、瀝青炭(bituminous coal)、亜瀝青炭(semi-bituminous coal)、褐炭(lignite)の4つがあり、それぞれの水分とBTU(British Thermal Unit)とは以下のようになっているとあります。但し、BTU値は、水分とミネラル分(灰のもとになる)を除いたあとの値で、平均BTUは、採掘直後?(as received:水分とミネラル分を含む)の値です。
Anthracite/無煙炭
水分: 15%
BTU値: 2200~2800万/ton、平均2500万/ton
Bituminous/瀝青炭
水分: 20%
BTU: 2100~3000万/ton、平均2400万/ton
SemiBituminous/亜瀝青炭
水分: 20~30%
BTU: 1700~2400万/ton、平均1700~1800万/ton
Lignite/褐炭
水分: ~45%
BTU: 900~1700万/ton、平均1300万/ton
Thomas Dresslerのデータを再度引用すると、NPの使っていたRosebudは、
水分:25%
BTU:8750/ポンド = 1750万/ton
とあります(但し、tonは、ShortTon = 2200ポンドと仮定)。まず第一に、石炭の品質としては決して高くないことがわかります。
このBTU値が、水分/ミネラル分を含んでいるかどうかはわかりませんが、数字だけで分類すると、Semi-Bituminousとなります。ただ、この分類そのものが厳密なものとは考えにくいので、RosebudはLigniteだ、といっても差し支えないということでしょうか。Ligniteとしては、最もまともなレベルであることがわかります。平均的なグレードのligniteだったら、さすがにNorthern Pacificも機関車の燃料として使うことはためらったのではないでしょうか。
限られたデータからの考察ではありますが、Northern Pacificがどんな石炭を燃料としていたのか、というのがおぼろげながらわかるデータだと思います。
日本語の説明が余り無いので……
私も石炭について検索してみたのですが、日本語では余りありませんね。Wikipediaの英語版は微に入り際に入りですが、微妙な言い回しが多くて、理解できません。
確かに少ないですね
私もあれこれ探しましたが、日本語の説明は確かに断片的なものがいくつかあるだけでした。日本では、石炭はエネルギーの主役の座を降りたということを反映しているのでしょうか。