現代の鉄道」カテゴリーアーカイブ

UPの特別列車 (1)

少し前になりますが、6月9日に、UPの15両の特別列車が、サンフランシスコの対岸のオークランドで一夜を明かしたとのことで、たまたまそばの公園に遊びに行っていたクラブのメンバーが写真を撮っていました。写真の転載の許可をもらいましたので3回に分けて紹介します。

実はこの列車のことはあまり情報がなく、件のメンバーによれば、「今回は(ロサンゼルスの近くの)ロングビーチからネバダに向かい」、「UPの幹部が乗っていた」というようなことらしいのですが、それ以上詳しいことはわかっていません。ちなみに、この客車はオマハを基地としていているとのことです。

まぁ、列車運行の目的は直接われわれに関係あるような話ではないので、とりあえず横においておくとして、撮影場所はオークランドのmiddle harbor shoreline parkという場所で、ちょうど7th Streetに沿った海岸線沿いの線路に停められたようで、いくつかの写真は右下の公園から狙ったようなものがあります。

この特別列車の先頭です。”Men at Work — occupied camp car”という標識がアクセントとなっていいですね。

Men at Work

牽引していたのは、最新型のC45ACCTE(ES44AC)であるUP7880です。もう一台UP7750と2両で牽引に当たっていたとのことです。

Lead locomotive

これは列車の全景です。左のほうに橋がくっきり見えますが、これはサンフランシスコとオークランド/バークレーをつなぐベイブリッジです。

UP passenger train with Bay Bridge in the distance

少し変わった角度からの全景。

IMG_9984.jpg

もう一枚。右側にオークランド港のクレーン(?)が見えます。

Union Pacific passenger cars along San Francisco Bay

少しクローズアップ。

Union Pacific - Lone Star

もう一枚。

Shiny UP passenger varnish

さらにクローズアップ。

IMG_9977.jpg

なお、写真の著作権は、撮影者のHenry Wagner氏に属しますので、更なる転載等はご遠慮ください。(All the photographs are copyrighted by Henry Wagner.)

サーカス・トレイン

数日前に、クラブのメーリングリストに、カリフォルニアのキャンベル(Campbell)市にRingling Bros. and Barnum & Bailey(以下、RBBB)サーカスのサーカストレインが止まっているとの情報が流れていました。

あまり気にも留めずいたのですが、読み返してみると、

It is in segments from 85 and winchester blvd with 3 UP engines there up to San Thomas Expwy and Flat cars.

とあり、待てよこれはよく車で走っていた近くだぞ、相当距離があるんじゃないかと思いつつ、Google Mapsで位置関係を調べると、果たしてこの2点間は1.1マイルほどあります。途中の踏み切りを避けるべく、何分割かされて留置されていることを差し引いても、列車の全長は1マイル近くあることになります。第一、UPの機関車が3両で牽引しているというだけで、相当の規模の列車になることがわかります。

サーカストレインといえば、私が米国型に手を染めたころ、ウォルサーズだったと思うのですが、昔のサーカストレインの製品を出したのが記憶に残っています。とれいん誌の製品紹介に出ていた記憶があるのですが、残念ながら見つけることができませんでした。それはともかく、この製品は過去のサーカストレインの「楽しさ」を押し出した製品だったとの印象があり、今でもサーカストレインというものが存在するということ、さらにそれが相当大規模であるということを知って、勉強不足であると痛感しました。

Wikipediaでサーカストレインを調べてみると、RBBBサーカスの前身の1つであるP.T. Barnumサーカスが、大規模興行を効率的に行うために1872年に列車で移動するようにしたのが始まりとあります。60両編成で、うち45両くらいがフラットカーであったとありますので、この当時からかなり大きな編成だったのですね。当初ペンシルバニア鉄道のフラットカーを使用したが、ボロかった(in poor shape)だったので、このサーカス会社が自分たちで専用のフラットカーを購入したともあります。

その後、サーカス会社の合併吸収で、RBBBという会社に集約され、現在Blue TrainとRed Trainという2つのサーカストレインが運行されていて、出演者、動物の飼育係の居住用の車両、猛獣など動物を運送するための特別なストックカー、その他サーカス用の各種の備品や車などをフラットカーから構成されていて、1マイル以上になるとあります。

実際に見てみるほうが早いと思って、Youtubeを検索してみましたが、数多くのビデオクリップがアップロードされています。60両くらいの長大編成が通過する様は壮観です。Pentexからもいくつかビデオが出ているようです。

ちなみに、RBBBサーカスは8月24日までサンノゼで公演をやっており、それが終わるまで上記の場所に留置されているようです。その後、一旦北上してワシントン州に行き、一旦カリフォルニアに戻り、ユタ、コロラド、オクラホマと回ってゆくようです。

[2012/4/7追記:Google Mapsを埋め込みました]


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荷重との戦い

仕事の関係で日経BP社のWebサイトを覗くことがあるのですが、ちょっと前にこんな記事がありましたので、ご紹介します。

「本当に“規格”が正しいの?規格外を狙ったら高性能の鉄道レールが生まれた」

概要を引用させてもらうと、

米国やカナダの貨物列車用レールの規格では、素材に含まれる炭素の含有量は約0.8%と厳密に定められている。一般的に、鉄に炭素を加えると摩耗に強くなるが、この比率を超えるともろくなって割れやすくなるとされてきたからだ。鉄鋼業界では20年以上もの間、不文律としてこの数字が守られてきた。しかし、新日鉄はこのタブーに挑戦した。鉄に炭素を加えると、鉄の中に非常に硬い炭化物ができ、耐摩耗性を上げるのに有効と考えられていたが、一方で炭素が多すぎると炭化物が固まりになり、それが割れの原因となる。そこで、固まりができないような圧延、熱処理の方法を実験の繰り返しで編み出したのである。この技術開発により、北米貨物鉄道用レールの摩耗性は以前より最大で50%も高まった。

とのこと。

この記事、北米向けのレールの技術開発の話がメインですが、米国の鉄道事情も垣間見ることができ、興味深い内容になっています。特に、動画の中(1分40秒あたり)に、レールの磨耗した断面を写したものがあるのですが、「磨耗」という言葉から想像されるような生易しいものではありません。むしろ、「レールの頭の部分の半分が消えてなくなっている」と形容するのが正確であり、かなり衝撃的でした。

インタビューの中にも、「車輪あたりの荷重は、新幹線だと5トンだが、北米では20トンになる」という言葉があります。北米向けレールの開発では「荷重との戦い」というのが大きな焦点になるということでしょうね。

その他、技術開発の進め方だとか、製鉄所でのレールの圧延の様子も少し映っていたりして、いろいろな楽しみかたのできるページかと思います。

※尚、この記事の2ページ目を読むには、無料の読者登録が必要です。念のため。

UPの求人情報サイト

このような情報に興味のある人があるかどうか、疑問ではありますが、クラブのメーリングリストに流れてきた情報をご紹介します。

Union Pacific is Hiring 3000 to 5000 people to fill all jobs for people retiring this year. They will do all the training for 14 weeks. 35k to 40k per year salary to start… They’re looking for people to fill positions all over the United States. So, if you know anyone who needs work let them know, they can apply online or go to one of the job fairs in their area. It’s also online for locations and times…
http://www.unionpacificjobs.com/

ざっと訳すると、UPが今年退職する人を補充するために3000人から5000人の求人を行う。14週にわたって必要な訓練を行ない、年収は3万5千ドル~4万ドルからスタート。仕事場所は全米各地にわたる。オンラインやJob Fairでの応募が可能。

収入的には高いかと聞かれると疑問符がつきますが、こういう話題が流れてくるところを見ると、皆さん一種の憧れの対象としての興味はあるようですね。

さて、これは海の向こうの世界の話で、我々には直接関係ないのですが、件のサイト(http://www.unionpacificjobs.com/)の中に”Employee Videos”というページがあります。断片的な画像で、重複も多いのですが、UPで働く人の声だけでなく、機関車の映像、入れ替えの様子、整備の様子など、ちょっと楽しむことができます。

注)当然のことながら、コンテンツはすべて英語です。また、このサイトは期間限定の可能性があります。あしからず。

Union PacificのGreen Locomotive (3)

さて、前々回の記事の続きです。もうニュース的価値はないのですが、せっかくですのでUnion Pacificの「環境にやさしい機関車の導入の取り組み」ということで、投稿しておきます。

2007年1月31日のプレス・リリースに掲載されている「New Ultra-Low Emission Locomotive Goes to Work in Union Pacific’s Los Angeles Basin Rail Yard」から。

まず、「2007年7月までに、Gensetと呼ばれる入れ替え用機関車を60台配備し、Los Angeles Basin Yardで入れ替え作業に使う」とあります。

このGensetは、「700馬力の、EPAのTier3に適合した超低排出ディーゼルエンジンを3基搭載している。このエンジンは、窒素酸化物および粒状物質を80%まで削減することができ、現在の低馬力の機関車に比べて16%低燃費である」とのこと。

この他、Diesel Hybrid機関車Green Goatの開発も紹介されています。これは「これまでの入れ替え用のディーゼル機関車に比べ、排出物を80%削減でき、燃費も16%改善可能」とのことで、「大容量電池で駆動され、電池の容量が減ってきたら、低排出のディーゼルエンジンが発電をはじめ、充電を行う」とあります。

これらのGensetやGreen Goatは、「EPAの Tier 2を高いレベルで満たしているだけでなく、California Air Resources Board (CARB)から、超低排出機関車(Ultra-Low Emitting Locomovites: ULEL)に認定された」とのことで、「これは、Los Angelse近辺のSouth Coastでの大気汚染改善区域での、UPの機関車からの窒素酸化物を2010年までに減らすというCARBとの約束を実現するための取り組みの一環である」とのことです。

UP全体としては、「8500両を超えるUPの機関車のうち、約半分がEPAのTier 0、Tier 1、Tier 2の規制のいずれかに適合している。UPは米国内でもっとも環境にやさしい機関車を配備している。」とアピールしています。

さて、この後、6月に「Majority of Locomotives Assigned to Union Pacific Commerce Yard Will Be Ultra-Low Emission By July」というプレスリリースがあり、順調に導入していることをアピールしていたり、他にもいろんな賞や認定を受けたとか、テキサスでも似たような取り組みをしているというようなプレスリリースもあります。

もともとは私は「新しい機関車とその技術」という興味で見てきたのですが、うがった見方をすると、「俺たちはまじめにやっているんだ、時代を先取りしている優良企業だ」と大げさに主張しているように見えなくもありません。

その観点でUPのプレスリリースのページを見直してみると、プレスリリースの分類の3番目がEnvironmentという項目となっており、きわめて高い位置づけであることがわかります。ということで、UPをはじめとする鉄道会社にとって、この環境問題は実は避けて通れない経営上の大きな課題なのではないでしょうか、などというようなことを考えています。

Union PacificのGreen Locomotive (2)

さて、前回ご紹介したUPのGreen Locomotiveの展示ツアーですが、「Union Pacific and GE Transportation Host Green Locomotive Technology Tour」と題したUPのプレス・リリースに詳しく記述されています。

かいつまんで紹介すると、” UPとGE Transportationとは、機関車からの排出物を減らすための最新および実験中の技術を展示するために、Green Locomotive Technology Tourを実施し、2月20日から28日にかけて、7つの都市をまわる。連邦政府、カリフォルニア州、地方政府の高官や、地元の高校生に、排出物を削減するためのUPの最新技術を紹介する。さらに、燃料の節約への取り組みや鉄道の安全に関する紹介や、機関車の内部の見学を実施する“、とあります。

さらにUPの環境に対する取り組みとして、“UPは、2007年末までに、総額6000億円($1=120円)以上を環境にやさしい機関車の新規購入に費やし、古い機関車からの排出物を減らす技術の試験に数億円を投じることになる。”ともあります。

今回のTourでは、以下の4つの機関車(技術)が展示されるそうです。
(1) GE Evolution:
GEが360億円以上と8年以上の歳月をかけて研究開発を行い、実証された技術の最高のものと、最新の技術とを組み合わせた革命的なディーゼル機関車である。すでに24の特許が成立し、13の特許が特許審査中、18の特許を公開中である。

(2) Genset Switcher:
UPは、新しい低排出のGensetと呼ばれる入れ替え機関車の利用の先鞭をつけている。Gensetは、Tier3という(最も厳しい)規制に適合するディーゼルエンジンを使っており、NOxや粒子状物質を80~90%削減する一方で、16%の燃費向上も達成している。UPは、2006年から、Long Beachで、Gensetのプロトタイプを試験してきた。最初の量産機が2007年1月にLos Angeles Basin 操車場に配備され、UPは、2007年の終りまでに、160以上のGensetを運用する予定。

(3) Oxicatを装備した長距離機関車:
1989年6月に建造された高出力・長距離機関車に酸化触媒(Oxicat)を搭載し、1年間の実験をLos Angelesで進めている。Oxicatは、車やトラックに搭載されている酸化触媒と同様の働きをするものであり、ディーゼルエンジンの排気管の中に装着した。超低硫黄ディーゼル燃料を使った静止試験では、粒状物質の50%の削減が確認された。

(4) DPFを装備した低出力入れ替え機関車:
1982年11月に建造された入れ替え用機関車に、ディーゼル粒状物質フィルター(DPF)を搭載し、1年間の実験をOaklandで進めている。このフィルタは、高温シリコンカーバイドのブロックを利用し、排気中の粒状物質をとらえる。静止試験では、DPFを装着した場合、80%の粒状物質を減らす事ができた。

今回のイベントは、上記のGensetの配備が始まった事をアピールするために行なっているようです。この配備の記事もプレス・リリースの中見つけましたので、次回ご紹介したいと思います。

Union PacificのGreen Locomotive (1)

先日Clubのメーリングリスト流れてきたメールの1つのタイトルに “Union Pacific のGreen Locomotive”というフレーズを見つけて、一瞬うろたえてしまいました。

「え、まさか、UPがあのPainting Schemeを変えるの???」と驚いてしまった私はアホです、はい。冷静な皆さんはお分かりかと思いますが、このGreenとは、Environmentally Friendly(環境にやさしい)の意味です。

メールの内容は、”2007年2月20日から2月28日にかけて、Union Pacificが環境にやさしい最新型機関車の展示ツアーを行い、カリフォルニア内の7都市をまわる。政府関係者やメディア等の招待者のみのイベントだが、限られた数の趣味関係者も特別招待したい”とのことでした。Silicon Valley近辺では、Oaklandが一番近いところで、少し足を伸ばして、Stockton、Roseville、Fresnoくらいだったら行けるでしょうか。

向こうに住みつづけていたら、間違いなく名乗りを上げるところでしたが、そうもいかないので、「誰か行ったら、写真とってきてよ」と返信をしておきました。

ところがその後、続報が入ってきて、実はこの招待メールは、UPがNMRAのPCR(Pacific Coast Region)に宛てて出したものが、あちこちのクラブにばら撒かれたものであるということが判明。更に、いろんな人がUPの窓口に個別に連絡をして、UP側が混乱をしているとも。私も反射的に返信しましたから、向こうのファンもちょっとした興奮状態なんでしょうね。

このままUP側に迷惑を掛けて関係を悪くしてはいけない、ということで、NMRA/PCRとしては、行き先の都市毎に、取りまとめ役のボランティアが窓口となって、UPに連絡する、ということに落ち着いたようです。

我々のクラブからも、誰か参加するかもしれません。各都市とも25人とのことで、競争率は高そうですが。

ちなみに、このイベントのアナウンスは、UPのPress Releaseからも読むことができます。別記事で紹介してみたいと思います。

Philadelphia Station (その2)

昨日は、Philadelphia Stationの写真を掲載しましたが、車両にもご興味のある方もいらっしゃるかもしれません。ということで、昨日の写真をもう少し進んで、機関車が真横に見えるあたりの写真を載せて起きます。

お見せするのが恥ずかしいような写真ですが、参考になれば幸いです。

Philadelphia Station

いつも、質の高い情報を提供してくださっているメルマガ/Blogに、ワークスKさんの、アメリカ型鉄道模型情報があります。現在、「50年前の国鉄技師訪米記」という力作に取り組んでいらっしゃいます。詳しくはその第1回めの記事をごらんいただくとして、最新号の第19回目:フィラデルフィアの記事に、

「秋葉原構造の「フィラデルフィア駅」は形と規模からして次の30番通ステーションでしょうか?」

と書いていらっしゃいますが、これで間違いないと思います。Philadelphiaは、NewYorkとWashington D.C.との間の要所です。

さて、先日(正確には、2005年10月15日)、出張の機会があり、Trentonという駅からWashington D.C.まで、Amtrakを使いました。その途中、Philadelphia Stationに入る直前にとった写真をご紹介します。ちょうど、カーブを曲がって、駅に入ってゆくところで撮影したものです。ちょっとわかりにくいですが、右手奥に、交差する線路を確認することができると思います。

なにせ、写真の腕がさっぱりなので、人様にお見せするような写真ではないのですが、何かのご参考になるかと思い、恥ずかしながらトラックバックでご紹介させていただくこととしました。