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George Kanary氏のレイアウトを訪問 (2)

Kanary氏のレイアウトは、小ぶりな部類に属します。大規模なレイアウトを期待した私は、やや期待外れという第一印象だったのですが、仔細に見てゆくと、いろいろな所に手がかけられていることが伝わってきて、大変感銘を受けました。

何が素晴らしいかを適切な言葉にするのは難しいのですが、まずはKanary氏がレイアウトのテーマを明確に決めているということ、そしてテーマを実現するために、いろいろなアイディアを盛り込むとともに、手際の良い丁寧な工作でまとめている、ということでしょうか。

「テーマ」は、シカゴというの街の世界を作り出すことです。そうは言っても、小ぶりなレイアウトの中に、何をどう盛り込むかをよく考える必要があります。言い換えると、レイアウトに表現するものと、表現しないものとを明確にし、表現しないものは徹底的に切り捨てるという方針で、Kanary氏のこのあたりの割り切りのセンスが抜群と感じました。これまで見たレイアウトの中でも際立っていると思いました。

感銘を受けた私は、Kanary氏に、「このレイアウトを見ていると、あなたがいかにシカゴという街を愛しているかが伝わってくる」という感想を述べたのですが、大変喜んでいただきました。このようなこのレイアウトの雰囲気を的確に伝えられるかは疑問ですが、いくつか写真で紹介してみたいと思います。

氏のレイアウトは、複線のメインラインを主体とする外周部の中に、シカゴの市電を再現しています。今回は、その外周部の写真です。


背景にシカゴの摩天楼が見えます。下の方に、線路が置かれており、車両が留置されているのがわかります。この部分、当然車両を走らせることはできませんが、レイアウトを立体的に見せるとともに、車両置き場の機能を果たすことができるという点で、合理的なやり方だと感じました。

こちらはメインラインと交差する立体交差です。見ていただければわかるとおり、橋のこちら側はありません。ここも上の車両を留置している場所に通じますが、すべての空間を表現するのではなく、割り切ってバッサリと切り取ることで空間の広がりを表現するのが上手いと思いました。

このレイアウト、あまり複雑な線路配置にはなっていませんが、或る程度の入れ替えなどはできるようになっています。

ストラクチャーなども、適切に配置されています。ストラクチャーに限らず、このレイアウトは仕上げが大変丁寧で、完成度が高いのが印象的でした。これも、レイアウトを大規模にしなかったことで可能になったのではないか、と思いました。

George Kanary氏のレイアウトを訪問 (1)

ずいぶん間があいてしまいましたが、昨年の3月にシカゴで開催されたO Scale Meetで訪問したレイアウトから2つをご紹介します。今回ご紹介するのは、George Kanary氏のレイアウトです。例によって既にdda40xさんのサイトに紹介記事がありますので、ごらんになってください。

Kanary氏のGolden Twilight Line
続 Kanary氏のGolden Twilight Line
続々 Kanary氏のGolden Twilight Line
続々々 Kanary氏のGolden Twilight Line

地下のレイアウトルームに降りてゆき、まず目に入ってきたのは、壁に飾られたケースの機関車のコレクションです。ニューヨーク・セントラルや、ペンシルバニアの旅客牽引機を中心とした、米国の東部の鉄道の黄金時代の有名な蒸気機関車が多くを占め、DM&IRやNorthern Pacificの機関車も置かれていました。数としては、それほど多いとは言えないと思いますが、一本芯の通ったコレクションだと感じました。



レイアウトの本線の複線のループでは、Santa Feの蒸気機関車が牽く列車が走っており、また多くのSanta Feの機関車が置かれていました。これらのことから、Kanary氏は「シカゴ」という街にこだわりを持ってこのレイアウトを作ったのでは、ということが伝わってきました。


O-Scale Meet 2010に参加


なにかとばたばたしているうちに、もはや半年以上前の話になってしまいましたが、3月にシカゴで開催されたChicago O Scale Meetに参加した話を書いてみたいと思います。

こちらの話もすでにdda40xさんのBlogに記されているので、まずは以下をご覧になってください。
Chicago O Scale Meet
続 Chicago O Scale Meet
続々 Chicago O Scale Meet

このChicago O Scale Meetへは初参加でしたが、毎年西海岸で開催されるO-Scale Westと同じく、Swap Meet、Clinic、Layout Tourを軸とした開催形態をとっています。会場の規模も同程度でしょうか。ただ、O-Scale WestではS-Scaleも合流していますので、その分を差し引く必要がありますが。

参加する顔ぶれも半分くらいは共通しているようで、Swap Meetでは、O-Scale West 2009でお会いしたLou Crossさん、Mashburnご夫妻などにもご挨拶することができました。

Kohsもブースを出しており、例によってOwnerに「Niagaraのプロジェクトはどうなったの」と聞きました。ショウの度に顔を出しては同じ質問をしているので、さすがに顔を覚えられていて、また来たかというような表情をされましたが、「ポペットバルブを備えた5500号機(S-2)の資料が不足していて慎重に進めている」と、丁寧に教えてくれえ、「ぜひ買ってくれよな」と言われました。

私は一足先に帰ることにして、3日間のうち2日しか参加できなかったので、あわただしく見て回っていたのですが、その中でとった写真を何枚か紹介したいと思います。
これはdda40xさんが、Lo-D車輪についてClinicで講演されている様子です。ちょうどRP25とLo-D車輪とのプロファイルの比較をされているところです。

この講演は、走行性能に興味のある人には特にインパクトがあったようで、講演終了後に何人もの人が熱心に質問をされていました。私も講演のお手伝いをさせていただいたので、dda40xさんの手の回らないところで、質問に答えていました。Lo-D車輪の設計思想は理解しているつもりですので、問題なく説明できたと思ってはいるのですが、さて、どうだったでしょうか。


これはSwap Meetで見つけたDan Pantera氏による客車です。室内もしっかり作りこまれているのを見て、その完成度の高さに驚きました。何よりも塗装の美しさが際立っています。


もう一枚Dan Pantera氏の客車の写真です。


Swap Meetに併設されていたコンテストの出品作品です。上は、ノーフォーク・アンド・ウェスタン鉄道のY-6bの全自作(?)モデルです。アメリカにもこんな工作をする人がいるのですね。

下はNYC Niagaraですが、古いUS Hobbiesのものをアップグレードしたものだと思われます。

機関車部分をアップしてみました。
さて、今回私が楽しみにしていたのはLayout Tourです。O-Scale West 2009では30件近くのレイアウトがリストアップされていたので、シカゴではどんなにすばらしいレイアウトに会えるのかと大いに期待していたのですが、渡されたパンフレットには、8件しか載っておらず、その時点では少々がっかりしました。

ただ冷静に考えると、シカゴは鉄道の要所だった街ですから、Model Railroadingを楽しんでいる人が多数いると考えても不思議ではなく、今回ツアーの対象となったものは、シカゴ近辺のレイアウトのごく一部のものにしか過ぎない、と思い直しました。実際、訪問したレイアウトは見応えのあるものが多く、カリフォルニアとはまた異なる、シカゴという街でのこの趣味の奥深さを垣間見るようでした。

Illinois Railway Museumを訪問 (14)

長らく続けてきたIllinois Railway Museum訪問記ですが、これが最終回となります。

博物館を出る前、メインの展示から少しだけ離れたところに、多くの機関車が置かれている場所を見つけ、そこをぐるっと一回りしてきました。これから整備を進めてゆこうということだと思うのですが、ここの一角のコレクションだけでも、ちょっとした博物館が成り立つくらいだ、と言っても過言ではないと思います。
まずはUPの6930号機(dda40x)です。

現物を見るのは初めてでしたが、やはり迫力満点でした。

この機関車、キャブのレタリングが読み取れないのですが、なんとなくイリノイ・セントラルに見えます。ただ、イリノイセントラルの3039でネットを検索してもそれらしい情報が出てこないのが謎です。

[2010年9月11日追記]
railtruckさんからの情報で、この機関車は、3719号機に間違いなさそうです。ただし、テンダーの番号が3039となっている理由は謎のままです。

http://www.vistadome.com/trains/steamtown/icrr3719.html

これは、サザン・パシフィックの2-10-2である、975号機です。

これは、バークシャー(2-8-4)の代名詞とでもいうべき、チェサピーク・アンド・オハイオ鉄道のK-4です。C&Oでは、Kanawhaと呼んでいました。

Grand Trunk Westernの8380号機(0-8-0)です。
以下、十分な情報がないものが多いのですが、写真を掲載しておきます。後日、情報がわかり次第、追記したいと思っています。

Illinois Railway Museumを訪問 (13)

客車を見たあとは、更にインターアーバンとか、トロリーバスとか、いろいろな建物を見たのですが、私の興味とは距離があるのと、さすがに歩き疲れたのとで、写真を撮っていません。ガイド付きツアーが一通り終わり、集合場所に戻ってきた時に、各種の信号機が建てられているのに気付きました。

こんなものまで保存しているのか、と写真を撮ってみました。説明文も添えられていたのですが、こちらもちゃんと写真に撮っておくべきだったかと少々反省しています。

Illinois Railway Museumを訪問 (12)

次に向かったのは、Display Barn 3、Railroad Passenger Carsの建物です。この建物の中には、現役でExcursionに使われている車両を始め、数多くの客車が保存されています。一部の客車の中で写真を撮ったので、いくつかご紹介します。往時のアメリカの客車の旅をわずかではありますが偲ぶことができるかと思います。
この展望車のデッキは、凝った作りとサインとが印象的で写真に撮ったものです。調べてみると、Chicago North Shore and Milwaukee Railroadが1917年から運航していたGold Coast Limitedとのことのようです。

これは食堂車(Diner)の車内です。

テーブルの上の食器類を写してみました。フルコースの立派な食器ですね。

これは寝台の写真。

これは、ラウンジカーの車内です。

ラウンジカーのバーのカウンターでしょうか。
いつもの地図を掲載します。Display Barn 3は、水平向きの建物のうちで、一番上にあるものです。

Illinois Railway Museumを訪問 (11)

Diesel Restoration Shopでは、何台かの機関車が整備中もしくはレストア中です。


Green Bay and Westernの2407号機(RSD15)です。この機関車は、模型を初めて見たときに、その特徴的な低いノーズが強く印象に残ったのですが、実物で見ても似たような感覚を覚えました。

上記RSD15のエンジンフードが開いていたので、エンジンを撮影してみました。

これは、シカゴ・アンド・ノース・ウェスタン鉄道の1518号機(GP7)です。

これはミルウォーキーの機関車ですが、形式などは失念してしまいました。

[追記: 2010年8月29日]

ワークスKさんからの情報により、この機関車は、5056号機(U25B)と判明しました。
レストア中の大物は、このミルウォーキーの33C号機(E9)です。今回訪問した時も、何人もボランティアの人が作業を行っていました。

E9のエンジンです。

これは発電機です。

再び外に出ると、これまた多くの機関車に出会うことができました。
まずは、サザン・パシフィック鉄道の1518号機(SD7)です。
前回の記事で、ミルウォーキーのF7をご紹介しましたが、そのほかにも何台ものFシリーズが保存されていました。
これはMetraの308号機(F7A)です。

バーリントン・ノーザンのBN-1です(F9A)。

これはシカゴ・アンド・ノース・ウェスタン鉄道の411号機(F7A)です。塗装して間がないのか、大変美しい状態にありました。

Illinois Railway Museumを訪問 (10)

次に向かったのは、Diesel Locomotive Restoration Shopです。何度も書いていますが、私はディーゼルに関しては、多くの知識はありませんので、写真を掲載するのみでご容赦ください。

まずは、Shopの外に数多くの機関車が置かれているのが目に入りました。
これは、ミルウォーキー鉄道の118-C号機(F7A)です。

シカゴ・アンド・ノース・ウェスタン鉄道の6847号機(SD40-2)です。

これは珍しいのではないかと思いますが、Minneapolis Northfield & Southern Railwayの21号機です。ボールドウィンDT6-6-2000で、現存する唯一のものです。かなり大柄な機関車ですが、ディーゼルの発展の初期のころのもので、上記Wikipediaの記述によれば、8シリンダのエンジンを2機積んで、出力は2000馬力だったということです。ボールドウィンは結局ディーゼルのビジネスをうまく軌道に乗せることができず、機関車の製造から撤退するわけですが、この機関車を見ながら、ふと、ボールドウィンの人たちがどういう思いでこの機関車を作ったのだろうか、などということを感じました。
ここから、建物の中に入ってゆきました。ツアーのガイドの方に、各々の機種が、ディーゼル機関車の発展の歴史の中で、どのような意義があるか、ということを解説をして頂いたことで、この博物館の収集ポリシーがしっかりしている、ということを感じました。その時はふんふんと納得して理解したつもりですが、しっかりとメモをしておくべきだった、と反省しています。


バーリントンの504号機(SD24)です。

同じくバーリントンの9255号機(SW7)です。

バーリントン・ノーザンの5388号機(U30C)です。
Diesel Locomotive Restoration Shopは、地図で言うと、左上から右下に伸びている線路のすぐ下あたりとなります。

Illinois Railway Museumを訪問 (9)

Steam Engine Shopを後にして向かったのは、信号所です。この博物館は、ExcursionでInterurbanなどを運行しており、この信号所は現役の建物として、列車の運行制御や監視を行っています。
これが信号所の建物です。

中に入って、信号制御盤(?)を見たところです。

このほかにも、UPやSPの制御盤が多数置かれていました。

信号所から外を見たところです。

1954年7月のバーリントンのカレンダーが貼られているのを見つけました。ここだけ時間が止まっているかのようです。

 

信号所の見学の後、駅の中を少しだけ見せていただきました。
これは、駅の執務室の中から、プラットフォームを見たものです。

同じく、執務室ですが、反対側で、お客さんに切符を売ったりする側です。
駅の待合室には、何枚かポスターがありました。これも、昔のものがそのまま残っているものだと思われます。
これは、cornfield meet(正面衝突)の写真です。ちょっと調べてみると、このページの中に、1989年にMarlboroという場所で起きたものだ、ということが記されています。信号のミスと悪天候とで起きた事故のようですが、驚くべきことに、けが人はなかったそうです。

ペンシルバニアのTrail Blazerを牽引するディーゼル機関車です。

同じく、ペンシルバニアの蒸気の最後に花開いたデュプレックス、Q2(4-4-6-4)です。
以下の地図では、信号所は、一番左上に小さく見えるTowerとある場所です。駅はその右下にDepotとある場所です。

Illinois Railway Museumを訪問 (8)

Steam Locomotive Shopでレストア中の大物の一つが、J. Neils Lumber Co.の5号機、3トラックのシェイです。

博物館のホームページによれば、このシェイは、法律で定められたメインテナンスを行なっているとのことです。


まずは全景。

キャブ周りに注目しました。

下回りに移ります。まずは先頭の台車です。

エンジンまわりです。

ユニバーサルジョイントです。

2番目の台車です。

3番目の台車です。

これは修復中のボイラーです。
さて、以前RAILTRUCKさんにshaylocomotives.comなるサイトをご紹介いただきました。このShayのデータは、このページにあります。