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By Laws and Constitution (3)

少し間が空きましたが、By Laws & Constitutionの続きです。今回は、クラブの目的を中心にご紹介します。

第1条: 名称では、組織の名前(Silicon Valley Lines)が定義されているとともに、「カリフォルニア州の法律に基づいた、非営利団体である」、ということが明記されています。

第2条: 目的には、具体的なクラブの活動の目的が、7項に分けて記載されています。ざっくり意訳すると、次のようになります。

A. 啓発を目的としたレイアウトの建設、図書ライブラリの整備、そして(実物の)鉄道に関するものの修復、を通じ、アメリカの鉄道の伝統を保存すること。

B. 模型鉄道を趣味とする人、実物の鉄道のファン、鉄道の歴史研究家が集い、知識やアイディアやスキルを情報交換するための場所を提供すること。

C. 会員や一般の人々の間で、個々人の成長やスキルの向上を図るとともに、その手助けを行うこと。

D. NMRAとその下部組織、趣味の業界、同様の興味を持っている鉄道に関する組織と協力しあうこと。

E. (一般の人々に対する)サービスの機会、ワークショップ、(NMRAなどの)大会、公共メディアを通じた定期的なコミュニケーションを通じ、この趣味界を活性化し、良くしてゆくための、啓発の機会を提供すること。

F. この組織は、メンバーの金銭上の利益を目的とするものではない。

G. この組織の活動は、特定の主義主張を振りかざしたり、政治的な活動から成ってはならない。

日本的な感覚からすると、D.やE.のあたりが目新しく思われるかもしれません。これは、NMRAに相当する組織が存在していない、というのが大きいのでしょうか。

これ以外の条文は、当然のことが書かれているように思われるかもしれませんが、ここまでこまごまと書かれているというのはアメリカならではと思います。例えば、F.とかG.など、趣味で集まる組織なので、こんなことわざわざ書かなくても、と思うのですが、こういうことまで、抜かりなく書くのがアメリカなのでしょう。裏返すと、そういう良からぬことを画策する輩がいないとも限らない、ともいえるのですが。

このように、活動の目的が詳細に言葉になっているというのは、By Laws & Constitution (1)に、ワークスKさんから頂いた、アメリカ社会の特質は……というコメントの中の、
> また意志を伝える手段は、あうんの呼吸は不可能で、必ず言葉、さらには文字を使う……ということだった思います。
という一文を反映している一例と考えてよいかと思います。

By Laws and Constitution (2)

前回の記事に沢山のコメントを頂いたので、遅くなってしまいましたが、予告したとおり、私の在籍していたSilicon Valley Linesの”By Laws and Constitution”の概要を紹介します。念のため、前回記事にも書きましたが、By Laws and Constitutionは、クラブによって異なるものであり、私個人の限られた経験に基づいて以下議論を進める、という点はご了解ください。

これは全部で11条からなっていています。

第1条 名称
第2条 目的
第3条 会員
第4条 役員
第5条 会議
第6条 幹事会
第7条 委員会
第8条 議事の運営方法
第9条 (By Laws and Constitutionの)修正方法
第10条 収入と支出
第11条 解散時の手続き

こうやって書くと、構成自体は一般的と思われますが、改めて印刷して驚いたのは、13ページもあるということです。よく読み返してみると、こんなことまで決めてあったのか、ということまで条文化されています。一例を挙げると、クラブの運営上必要となる「決議」を、どの会議で、どれだけの賛成が必要か、ということが案件ごとに決められています。

こう書くと、規則でがんじがらめに運用しているように感じられるかもしれませんが、実際はそのようなことを感じたことはありませんし、決議に必要な賛成の数が決められているからといって、多数決万能主義が横行しているわけでもありません。

クラブの会議では、皆が自分の思うことを堂々と主張していますし、意見がまとまらず、急ぎでない案件については、無理に採決に持ち込むこともありません。

このあたりの雰囲気は、以前こちらのエントリに書いたことがあります。

今振り返ってみると、ここまでしっかり決めてあると、組織の運営という観点では、透明性が確保されていて、誰が役員をやっても同じ運営ができるため、逆に議論に集中できるのかもしれない、というようなことを感じています。

いくつかの条文については、次回もう少し掘り下げてみたいと思います。

By Laws and Constitution (1)

文才が豊かとはいえない私は、Blogのネタをひねり出すのに苦労しているだけではなく、そのネタに至る書き出しをどうするかでいつも悩んでいます。ネタを見つけても、書き出しが思い浮かばずにしばらく記事にできないことも多々あります。

先日ご紹介したクラブのイベントという記事も、その一例です。このときは、苦し紛れに、ワークスKさんの掲示板で触れた、アレクシス・ド・トクヴィルの主張を引っ張り出して書き始めました。本題よりこちらに反応があったのには予想外で、ワークスKさんには、次のようなコメントをいただきました。

この中で、northerns484さんの発言にあった「米国では『人々が集まるためのルール作り』がしっかりしている」というところがポイントか、と私も思い始めました。
逆に日本では、ここのところがアヤフヤだということです。

ここの私の発言というのは、ワークスKさんの掲示板のAlco Historical Societyのスレッドに書いた以下の文です。

(トクヴィルの主張のうち)「人々が集まろうとする」という観点に注目すると、米国では「人々が集まるためのルール作り」がしっかりしていると考えています。
ご紹介したAlco Historical Societyのトップページの活動の現状の一行目には、
We have our By-Laws and Consitution written.
とあります。一般的に、By-Laws and Constitutionには、組織の目的や運営の仕組みが、事細かに定義されています。トクヴィルの主張を頭に入れてこのページを見返すと、この一行が先頭にあるというのは、大きな意味があるのでは、と感じています。

この中に書いた”By Laws and Constitution”、定款というのが一番近いと思うのですが、一体どんなことが書かれているのか、具体的なイメージが湧きにくいと思います。組織ごとに異なるものですから、どれだけ参考になるかはわかりませんが、私の在籍していたクラブのBy Laws and Constitutionで何が決められているのかを次回ご紹介したいと思います。