By Laws and Constitutionの4回目です。2回か3回で終わるつもりでしたが、改めて読み返してみると、新しい発見があり、あと数回続きそうです。模型のBlogのはずなのに、お硬い話題に踏み込んでしまって、自分自身戸惑っていますが、こんなことを書いているBlogが一つくらいあってもいいだろう、ということで書き進めてゆきます。もう少しお付き合いください。
第3条 会員では、正会員、家族会員など5つのクラスの会員の定義、会費の決め方、退会の手続き、が決められています。以下、正会員を例にとって、会員になる方法、会員として持てる権利について紹介してゆきます。
会員になる方法は、以前簡単に触れました。入会意思のある人は、3ヶ月の慣れるための期間(familiarization period)を、仮会員という形でクラブに参加します。この後、定例会議で審査し、2/3の賛成で入会となります。
今振り返ると、かなり厳しい審査と思いますが、このシリーズの(3)で紹介したクラブの趣旨を共有しつつ、他のメンバーと協調ができるか、ということが問われていたのだと思います。
「協調」という言葉を補足すると、これは「自分の主張を持ちつつ、他人の主張に聞く耳を持ち、尊重する」ということです。このシリーズの(1)のコメントに書いた、
アメリカでは、「個人が対等」ということが強く意識されているので、「好きなように生きたい自分」を実現するには、「好きなように生きたい他人」を意識し、両者の折り合いをつける必要があります。
ということに相当します。なかなかニュアンスが伝えにくいのですが、日本語で連想する「協調」は、「同調」に近いと感じているので、一言補足してみました。
正会員の持つ権利として明記されているのは、クラブのレイアウトで運転をする権利、レイアウトの部屋の鍵を受け取る権利、レイアウトの建設を担当する権利、クラブの役員になる権利、などです。他のクラスの会員として持てる権利は、この一部となります。
意外なことに、正会員の権利として一番最初に書かれており、最も重要なものは、上のどれでもありません。「議決に参加する権利(right to vote)」です。これは正会員だけの特権で、他の会員が持つことのできない権利でもあります。
これが何を意味しているかということを考えてみましたが、クラブの方向性を決めるプロセスに参加し、自分の意見を反映することができる、そうして、自分たちのクラブは自分たちが動かしてゆくのだ、という意識と責任感とが持てる、ということだと思います。趣味のクラブとはいえ、運営してゆく中では、いろいろな課題が出てきます。それに対処するために、メンバーのひとりひとりが知恵を結集し、議論を尽くし、一番良い決断を下すというための権利だと思います。
こう考えると、right to voteというのは、単に多数決のときに賛成か反対かの票を投じるという権利だけではなく、それに至る議論のプロセスに参加できるという意味を含んだ、広い意味ととらえるべきなのでしょう。