Kanary氏のレイアウトは、小ぶりな部類に属します。大規模なレイアウトを期待した私は、やや期待外れという第一印象だったのですが、仔細に見てゆくと、いろいろな所に手がかけられていることが伝わってきて、大変感銘を受けました。
何が素晴らしいかを適切な言葉にするのは難しいのですが、まずはKanary氏がレイアウトのテーマを明確に決めているということ、そしてテーマを実現するために、いろいろなアイディアを盛り込むとともに、手際の良い丁寧な工作でまとめている、ということでしょうか。
「テーマ」は、シカゴというの街の世界を作り出すことです。そうは言っても、小ぶりなレイアウトの中に、何をどう盛り込むかをよく考える必要があります。言い換えると、レイアウトに表現するものと、表現しないものとを明確にし、表現しないものは徹底的に切り捨てるという方針で、Kanary氏のこのあたりの割り切りのセンスが抜群と感じました。これまで見たレイアウトの中でも際立っていると思いました。
感銘を受けた私は、Kanary氏に、「このレイアウトを見ていると、あなたがいかにシカゴという街を愛しているかが伝わってくる」という感想を述べたのですが、大変喜んでいただきました。このようなこのレイアウトの雰囲気を的確に伝えられるかは疑問ですが、いくつか写真で紹介してみたいと思います。
氏のレイアウトは、複線のメインラインを主体とする外周部の中に、シカゴの市電を再現しています。今回は、その外周部の写真です。
背景にシカゴの摩天楼が見えます。下の方に、線路が置かれており、車両が留置されているのがわかります。この部分、当然車両を走らせることはできませんが、レイアウトを立体的に見せるとともに、車両置き場の機能を果たすことができるという点で、合理的なやり方だと感じました。
こちらはメインラインと交差する立体交差です。見ていただければわかるとおり、橋のこちら側はありません。ここも上の車両を留置している場所に通じますが、すべての空間を表現するのではなく、割り切ってバッサリと切り取ることで空間の広がりを表現するのが上手いと思いました。
このレイアウト、あまり複雑な線路配置にはなっていませんが、或る程度の入れ替えなどはできるようになっています。
ストラクチャーなども、適切に配置されています。ストラクチャーに限らず、このレイアウトは仕上げが大変丁寧で、完成度が高いのが印象的でした。これも、レイアウトを大規模にしなかったことで可能になったのではないか、と思いました。