しばらくお堅い話題が続いたので、また模型の話に戻ります。
もうずいぶん前になりますが、ある日のクラブに行った時のことです。見慣れぬ来訪者の脇を、あざやかなデイライト塗装のサザン・パシフィックのマウンテン(4-8-2)が走り抜けてゆくのを見てびっくり。ぱっと見てカツミ(KTM)製に間違いないことを確認しました。日本人の私としてはこれを見逃すわけにはいきません。さっそくつかまえていろいろ聞いてみました。
彼はマーク・シュッツァー(Mark Schutzer)と言い、サザン・パシフィックの大ファンで、カツミやAkaneの日本の旧いBrassの機関車を安価で手に入れては、動力系を換装し、DCC化し、ディテールアップをして楽しんでいるとのこと。私としてはどうしてカツミなのか、興味があり、聞いてみたところ、こんな答えが返ってきました。
「まず、走りの性能がいいことだ。車軸やロッドのねじの垂直がしっかり出ている。昔の韓国製のものはこの精度が十分とは言えなかった。」
「走らせるという観点に立てば、先台車の車輪径がアンダースケールになっているのも妥当な設計だと思う。スケールどおりの径にした模型を手に入れたことがあったけど、カーブでショートしてまともに走らなくて困った。結局カツミと同じ径の車輪にしたけれどね。」
「それと、何よりも値段だね。一台$300くらいだからね。安上がりだし、こういう値段で買って自分で手を加えて現代風によみがえらせるのも面白いだろ。」
なかなか粋なことをするなぁ、と感心しました。彼はNMRAのPCR(Pacific Coast Region:太平洋支部)のコンテストの常連入賞者です。私がくどくど説明するよりは、彼自身のサイトを見ていただいたほうがいいと思いますので、こちらをご覧ください。私の見たMT-4の他、カツミのP-8パシフィック、Akaneのキャブフォワードなどの作例があります。
また彼は、PRCの大会他で、Brassの模型のメンテナンスの仕方を何回も講義しており、そのプレゼンテーションの資料も掲載されています。全部英語ですが、写真が豊富なので見ていただければすぐにわかっていただけると思います。
カツミの模型は、日本型もほぼ類似の構造となっていますので、日本型の模型を楽しんでいらっしゃる方にも役に立つ場面があるかもしれません。
それにしても、こういった形で現代によみがえることのできる模型は幸せですね。また、30年近くたっても、こうして手を入れることで現代風に蘇るという模型もすばらしいと言えるでしょうか。
なお、許可をもらいましたので、いくつかの作例の訳を掲載してゆきます。
[2013年10月19日追記: 上記のプレゼンテーションの資料の訳をこちらに掲載しました。]