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Chicago Museum of Science and Industry訪問 (1)

dda40xさんが、シカゴでのO-Scale Meetに参加されるということで、同行させていただきました。今回は堀江ご夫妻もご一緒で、大変楽しい、記憶に残る旅となりました。すでにdda40xさんのBlogで詳細な記事が掲載されていますが、私なりの視点で訪問した場所をご紹介したいと思います。

さて、シカゴ到着後、まず向かったのは、Chicago Museum of Science and Industry(以下CMSI)です。名前が示す通り、「科学と産業」に関する幅広い分野に関する展示を行っている博物館で、あちらこちらに実習室があったりして、子供向けの教育プログラムも充実しているのだと思われます。鉄道関係の展示ばかりではなく、ライト兄弟の飛行機のレプリカUボートなど、エポックメーキングな物が数多く展示されていて、シカゴに行った際には、訪問することをおすすめします。

まず、建物に入って最初に出迎えてくれるのは、Pioneer Zephyr号です。私が紹介するよりも詳しい方が数多くいらっしゃると思いますが、Wikipediaの記述をかいつまんで要約すると、Pioneer Zephyrは、CB&Q(Chicago Burlington and Quincy)が1934年に導入した、旅客用ディーゼル列車です。その性能を実証するために、1934年5月26日に、コロラド州デンバーから、シカゴまでの1015マイル(=1633km)を、ノンストップで13時間5分、つまり平均速度77mph(124km/h)で走破し、ある一区間では112.5mph(181km/h)を記録しました。1934年11月11日に定期運用に入り、1960年まで運行し、その後CMSIに寄贈されたものです。

1934年といえば、蒸気機関車もまだ発展途上にある時期で、1930年にTimken社が自社のベアリング製品をアピールするために、4-8-4であるFour Aces (その後NPが購入しA-1として運用)を建造してまもないころですので、ようやくローラーベアリングの効能が理解され始めた頃ではないかと想像します。1934年に建造された4-8-4としては、ノーザンパシフィックのA2があり(この後A3:1938年、A4:1941年、A5:1943年と続く)、その他有名どころの4-8-4で言えば、サザンパシフィックのデイライト牽引専用機として用意されたGS-2はこの後1936年まで(その後、GS3が1937年、GS4/5が1941年)、UPのFEF-1も1937年になるまで(その後、FEF2が1939年、FEF3が1944年)、待たなければなりませんので、この時点でディーゼル機関による高速列車を実現する、ということがとんでもなく先進的なチャレンジだった、ということが言えるかと思います。

技術的にも、必要な性能を満たすディーゼル機関の開発とか、ステンレスを用いた車体を作るためのShotweldingという溶接方式を製造に携わったバッド社が開発したりとか、歴史的意義のあるものが多く、アメリカ機会工学会(ASME: American Society of Mechanical Engineers)は、1980年に、”National Historic Mechanical Engineering Landmark”なる賞をPioneer Zephyrに授与しています。

この授賞を説明する文書がASMEのサイトに掲載されています。これを読むと、当時のCB&Qの社長であった、Ralph Budd氏(注:上記のバッド社とは無関係)は、当時の旅客実績の低下が、1929年の大恐慌の余波ではなく、そもそも人々の移動手段が車へシフトしているのが原因である、ということを見抜き、鉄道の復権を賭けて、新技術の適用、時代を感じさせるデザイン、圧倒的な性能、など、人々に訴えかける新しい列車の可能性を提案したのだ、ということを感じました。「Pioneer Zephyr」と呼ばれる、その名の通り、「新時代を切り拓いたパイオニア」と呼ぶにふさわしく、永く人々の記憶に列車であるということは間違いないでしょう。

少し長くなったので、続きは次回に。

UP844のValley Eagle Tour

すでにご存じの方も多いと思いますが、先日ご紹介したUPの2010年のSteam Pogramの第一弾のValley Eagle Tourが始まっています。UPのプレスリリースによれば、今回のツアーは、2010/4/2から2010/4/29の28日間、8つの州、3500マイルを走行する予定で、詳細なスケジュールは、こちらに記されています。これを書いている時点(米国時間2010/4/9夕方)では、テキサス州のフォートワースに到着しています。先日ご紹介したように、844の現在位置はこのページで確認することができるほか、走行中は、1時間に数回、UP844のTwitterで位置がレポートさています。このTwitterを見ているだけで、自分も844と一緒に動いているように錯覚してしまうのは、妙な感覚です。

今回のツアーの”Valley Eagle”という名前は、ミズーリ・パシフィックが、1948年から1962年まで、ヒューストンと今回のツアーの最終目的地であるテキサス州ブラウンズビルとの間を走らせていた列車に由来しているとのことです。これは牽引機の844がヒューストンの南を走るのは初めてだからだそうで、UPのホームページには、1948年8月のValley Eagleのパンフレットが掲載されています。

すでにいろいろな人がYoutubeにビデオを投稿していますが、今回のツアーではUP自身も数多くのビデオクリップをアップロードしています。いずれも数十秒の短いクリップですので、物足りない面もありますが、流石に品質が高く、また、普通の人は撮影できない、キャブの中から撮影したクリップも多くあり、一見の価値はあると思います。

例えば、Leaving Topeka after the service stopと題したこのビデオは、Topekaを出発する844のキャブの中の様子が捉えられています。1944年頃の844のキャブの中を撮影した貴重な映像もあります。また、「How do you clean the stack?」というビデオクリップがありますが、この中では「煙突を掃除する様子」が紹介されています。タイトルから思い浮かべるものとは全く異なる映像が出てきて、驚かされます。

Congratulations, National Model Railroad Association!というビデオクリップは、今回のツアーの編成の中の一両に貼られたステッカーについて解説しています。これは、NMRA(National Model Railroad Association)の75周年を祝ったもので、2010年の1年間、ずっと貼られているのだそうです。

さて、このステッカーを貼った車両には、Reed Jacksonという名前がつけられています。その由来がUPのこのページに紹介されているのですが、車掌として長年UPのエクスカージョンにはなくてはならなかったスタッフの一人で、その丁寧な仕事ぶりや性格から誰からも愛され、惜しくも2009年にお亡くなりになられたReed Jacksonさんに敬意を表したものとのことです。この名前に改名される前は、有名なUPの難所の一つである”シャーマン・ヒル(Sherman Hill)“を名乗っていて、その名所の名前を一個人の名前に変えたというのですから、如何にこの方が重要な存在だったか、ということを伺い知ることができます。

このステッカーの話とか、車両の名前の由来を知ると、米国の、鉄道会社や鉄道を愛する人たちの情熱や一体感を改めて強く感じます。

2010年4月20日追記: 上記でご紹介したビデオの、テキサス州フォートワース到着までのまとめたものがUPの公式Youtubeページに掲載されましたので、ご紹介します。

2010年5月1日追記: 4/29に無事にValley Eagle Tourが終わったとのことです。ビデオも続編が追加されました。

2010年5月15日追記: さらに続編が追加されました。

ユニオンパシフィックの2010年のSteam Program

先日ご紹介したツイッター経由で、ユニオンパシフィックの2010年のSteam Programが発表された、ということを知りました。すでにご存知の方も多いかと思いますが、簡単に紹介してみたいと思います。以下に、予定されている6つのイベントを下記に転記します。行き先をプロットした地図もつけてみましたが、かなりの距離を移動するようです。地図中、赤いピンがCheyenneとなります。

日付 名称 行き先 地図上の位置
4/2-4/29 The Valley Eagle Harlingen, Texas 緑色の風船
6/25-6/26 City of Milliken Centennial Special Milliken, Colorado 緑色のピン
7/22-7/26 Denver Post Cheyenne Frontier Days Special Denver, Colorado 黄色のピン
Lionel Collectors Club of America Excursion
9/8-9/24 Portland Rose Pendleton, Oregon 紫色の風船
Pendleton Roundup Centennial Special
9/30-10/15 Missouri River Eagle Sedalia, Missouri 青色の風船
Sedalia Sesquicentennial Special
11/10-11/14 UP Steam Program 50th Anniversary Council Bluffs, Iowa黄色の風船

詳細は、決まり次第別途お知らせする、とありますので、続報を待ちたいと思いますが、今年はこのSteam Programの50周年なのですね。ここまで来ると、文化的事業と言えるかと思います。

この中で、7/24にエクスカージョンが予定されている、Denver Post Cheyenne Frontier Days Specialは、Denver Postという新聞社が主催する毎年恒例のイベントです。詳細はこちらのサイトに記されており、5月中頃からチケットを販売するとあります。編成も発表されており、現時点の予定では、以下の通りとあります。

Union Pacific Northern #844 Steam Locomotive
UP Water Car
UP Helper Diesel Locomotive
UP Tool Car
Car 1 – City of Los Angeles (Diner / Premier)
Car 2 – Missouri River Eagle (Dome/ Premier)
Car 3 – Colorado Eagle (Dome/ Premier)
Car 4 – City of Salina (Premier)
Car 5 – Portland Rose (Premier)
Car 6 – Sunshine Special (Premier)
Car 7 – Challenger (Dome/ Premier)
Car 8 – Council Bluffs (Dance Car)
Car 9 – Reed Jackson (UP Souvenir Car)
Car 10 – Katy Flyer (Premier)
Car 11 – Texas Eagle (Premier)
Car 12 – Columbine (Dome/ Premier)
Car 13 – City of Denver (Diner / Premier)
Car 14 – City of Portland (Dome/ Lounge)
Car 15 – UP Power Car
Car 16 – Walter Dean (Dome / Lounge) Private Party
Car 17 – City of San Francisco (Dome / Lounge) Private Party
Car 18 – Cheyenne (Business Observation Car) Private Party

また、7/26には、Lionel Collectors Club of Americaエクスカージョンを予定しています。今のところは、チャレンジャー3985号機が牽引する、ということ以外は具体的な情報が書かれていません。

Denver Post Cheyenne Frontier Days Specialは、毎年恒例のイベントということで、Youtubeにもいくつか記録されています。

まず、これは、上で紹介したサイトに載せられているもの。

このビデオは、2008年のエクスカージョンを撮影したものです。16分を超えるrunbyの大作です(埋込み不可とあるので、クリックしてください)。

さて、2008年の方をよく見ると、補機に6936号機(dda40x)が入っていることがわかります。改めて2006年のビデオを見直してみると、補機にはE-9が入っています。このあたりも心憎い配慮だなぁ、と感じました。

ぜひ一度乗ってみたいと思いますが、いつのことやら。。。

ツイッター(Twitter)を使った鉄道会社の情報発信

ここのところ、ツイッター(Twitter)というサービスの名前を聞く機会が多いのではないかと思います。どんなものかご存知の方も多いと思いますが、念のためWikipediaの定義を引用してみます。

Twitterはブログとチャットを足して2で割ったようなシステムを持つ。各ユーザーは自分専用のサイト(ホーム)を持ち、「What’s Happening?(いまどうしてる?)」の質問に対して140文字以内でつぶやきを投稿する。つぶやき一つ一つはブログのエントリに相当し、つぶやきごとに固有のURLが割り当てられる。

Blogだと、文章を練って書かなければならないのに対し、ツイッターの場合は、思ったままの「つぶやき」を発信するというところにミソがあります。たった140字で何ができるか、と思われるかもしれませんが、逆に字数を制限したことで、つぶやきをどんどん発信すればよい、という手軽さが逆に受けていると思われます。

とまぁ、Twitterがなぜ受けているかについては、その方面の識者の方々におまかせするとして、今回紹介したいのは、アメリカの鉄道会社がツイッターを使って情報発信している、ということです。主要4会社のアドレスは以下の通りです。但し、現時点では、Norfolk Southernは、準備中なのか、まだ何も中身がありません。

※追記: Norfolk Southernも、2010/2/17から情報発信を始めました。

Union Pacific
BNSF
CSX
Norfolk Southern

どんなことを発信しているかは、上記のリンクを辿ってもらうとして、流石に会社が公式に発信するものですから、プレスリリースを一言にまとめたもの、もしくはそれに準じたものがほとんどを占めているようです。例えば、この記事を書いている時点での最新のものは、次のようなものが記載されています。
1) UPは、今年(2010年)1月21日に開催される、投資家向けの第四四半期の業績発表会のアナウンス、
2) BNSFは、2月11日に、投資家が集まって、Berkshire HathawayによるBNSF買収の可否について決をとるいうお知らせ、
3) CSXは、沿線の地元のコミュニティにパソコンを寄付したという話。

さらに、4-8-4大好きな私にとっては、こちらのほうが重要なのですが、UPは、保存機である844の動向(居場所)を知らせるツイッターサイトを提供しています。現在、844は、GPSを搭載して、現在位置がリアルタイムに把握できているようにしていますが、その位置などをツイッターに流しています。ちなみに、この844の位置は、UPのこのページの地図上にも表示されています。

このほか、同じく4-8-4の、SPのデイライト牽引機であったGS-4、4449号機の動向もツイッターで発信されています。

もともとツイッターは、個人向けサービスを狙っていたと理解しているので、会社が公式に情報発信する手段としては、今後まだまだ工夫が必要なのかもしれませんが、このような新しいサービスを使ってみよう、という姿勢は、アメリカらしいなぁと思った次第です。

Western Pacific 668 Caboose


私がまだアメリカにいるときに、知人がカブースを買ったということを書きました。

これは、Golden Gate Railroad Museumが借りていた土地の契約が満了し、そこに置かれていたコレクションの一部がやむなく売り出された時に、その中のWestern Pacificのカブース668を、私が属していたクラブのメンバーのJohn Plocherご夫妻が購入したものです。現在、カブースはお二人の家の庭に永住の場所を得て、オフィスとして活用されています。

たかがカブースといえども、メインライン用のものですので、重量は30トン近くになり、勝手に自宅の庭に置くことはできません。当然お役所の許可が必要となるため、サンノゼの市役所との折衝でかなり苦労したようです。ただ、John Plocher氏と話をしていて印象に残っているのが、役所の人も、前例がないながらも、門前払いにすることなく、「法令を守りつつ、どうしたら設置の許可を出せるか」という観点で考えてくれた、ということです。

一番問題となったのはやはり安全性のようで、サンノゼ市の役所にこのような鉄道車両の設置に関して詳しいことがわかる人がいるはずもなく、鉄道車両の保存に関して技術や知識を持っている専門のコンサルタントに依頼して、設置方法を指導していただき、安全だというお墨付きをもらって解決したとのことです。

これは当然(?)、地元でも話題になりました。アメリカには、コミュニティーペーパーと呼ばれる、ごく狭い地域の単位に配布される新聞があります。カブースがご夫妻の自宅の庭に運び込まれた直後、Willow Glen Residentというコミュニティーペーパーの2007年5月25日号の表紙をかざりました。今回の記事のタイトル写真はこの新聞をJohn Plocher氏に頂いたものを撮影したです。記事そのものはWeb化されていてこちらから読むことが可能です。

このカブースの歴史や、設置にいたるプロセス、現状については、ご夫妻が立ち上げたサイトwp668.orgに詳しく掲載されていますので、ごらんになってください。

以前私が撮影していた写真を引っ張り出してきましたので、紹介します。

これは、2006年4月のとある休日に、クラブのメンバーが皆で集まって、線路を敷設したときにとった写真です。私も微力ながらハンマーを振り上げ、お手伝いをしたのですが、体格の良い他のメンバーに比べると非力なのは明らかで、情けない思いをしたのをよく覚えています。

この日、別の場所に保管されていたカブースを見に行ったときにとった写真が2枚続きます。ベイウィンドウに板が打ち付けられ、屋根にビニールシートがかぶせてあるのは、状態がこれ以上悪くなるのを防ぐためでした。

つぎの5枚は、2007年8月ごろ、カブースが庭に運び込まれてしばらくした後の写真です。この後、塗り替えられ、きれいな姿となっています。上記で紹介したwp668.orgをごらんになってください。

[2012年3月22日追記: Blog引越しに伴い、画像を2枚追加しました。]

 

最後に、Youtubeに掲載されている、ご夫妻の自宅に庭にカブースが運び込まれるときのビデオを2本紹介します。

これは、氏の自宅からWebカメラで撮影した早送り画像です。

これは、作業の様子を詳細に撮影したものです。

カリフォルニア州鉄道博物館のAT&SF F-7

F’TrackさんのBlogの黄色い車掌車という記事の中に、「カリフォルニア州鉄道博物館に、ウォーボンネットのF7を見に行ったのだけれど、残念ながら叶わなかった」というくだりがあります。

これを読んで、つい先日、昔の写真を整理していた時に、それらしい写真があったような気がしたのを思い出しました。早速整理した写真を引っ張り出し、見つけたのが、今日ご紹介する写真です。これは、ずいぶん昔、1995年の2月に、家族でカリフォルニア州鉄道博物館に行った時に記念写真として撮ったものです。こんなスナップ写真程度のものを載せるのもどうかと思うのですが、F’Trackさんの記事のタイミングと、私が写真を整理したのタイミングとが近かったというのも何かのめぐり合わせかと思い、紹介させていただきます。

時折このBlogに書いている通り、ディーゼルは私の不得意科目なのですが、この写真を撮った当時は、不得意を通り越して「ほとんど何も知らない」状態でした。ですので、これがF-7だ、ということなどわからず、不謹慎ながら、旅行の記念に手ごろな被写体、ということで写したものだったように思います。なにしろ、先日写真を整理するまで、この写真を撮ったことなど、完全に忘れていたくらいですから。

都合の良いように解釈すると、そんな私が被写体に選んだくらい、存在感のある機関車だった、ということなのでしょう。この写真で見ても、塗装の光沢など、状態はよく、大事に保存されていたのだろう、ということが伺えます。

もっとたくさん写真を撮っておけばよかったと思うのですが、今となっては後の祭りです。

UP 844 at Niles Canyon

ワークスKさんの掲示板に、UP844のWestern Heritage Tourのことを紹介させていただきました。その後掲示板にも書き込みましたが、現地でも注目度合いは高かったようで、至る所に写真やビデオが投稿されています

このツアーの最中の2009年4月22日、UP844は、オークランドからストックトンに移動する途中、Niles CanyonのHearst Sidingと呼ばれる場所に一時停車しました。その際、Golden Gate Railroad Museumが保有しているサザン・パシフィクのパシフィック(4-6-2) 2472と、Pacific Locomotive Association/Niles Canyon Railwayが保有しているRobert Dollar Lumber Company No. 3とが出迎えるという、豪華なイベントになりました。

心憎いと思ったのは、この一時停車は、もともと計画されたものではなく、ツアー開始後に、上記のGolden Gate Railroad MuseumとPacific Locomotive WorksとUPとが、協議を行い、実現したものだそうです。事前のアナウンスがどれくらいされたのかはわかりませんが、それでも200人近くが集まったとのことです。

さて、知人の一人が、この時の写真を送ってくれました。掲載許可をもらいましたので、ご紹介します(写真は、クリックしていただければ拡大します)。

一番左に見えるのが、UP844です。その隣に、SPの2472、Robert Dollar Lumber Company No. 3、と並んでいます。

上記のクローズアップです。

UP844が少し前に出て停車したアングルです。1944年製ですから、65年を経ています。数年前に大改装を行ったというのもありますが、とてもそのような古さを感じさせないですね。

※ 上記3枚の写真の著作権は、David Griffy氏に帰属します。

このほか、Golden Gate Railroad Museumのホームページには、写真が掲載されており、このときのビデオも掲載されています。このビデオは高解像度で記録されていますので、インターネット回線に余裕のある方は「HD」と表示されている箇所をクリックしてみてください。

ご参考までに、停車した場所は以下のあたりになります。クリックするとGoogle Mapsが開きます。


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Santa Cruzにて

StocktonまでCA-99を北上してきましたが、ここから車を西に向け、O-Scale Westが開催されるSan Jose方面に向かいます。San Joseでは、買い物やら、私の旧友への挨拶など、あわただしい時間を過ごし、その夜はSanta Cruzまで足を伸ばして宿を探すことに。O-Scale Westが始まるまでは少しでも安い宿に泊まりたいということもありますが、近くのRoaring Camp Railroadを訪ねてみようということになったからです。

ということで、翌日朝、寄ってきました。まず目をひいたのはぴかぴかの3トラックShay。整備が終わって、ボイラーの水圧試験?らしきものを行っていたようです。このほかにも、クライマックスやハイスラーが保管されていたり、一部は整備されていたり、貴重なものを見ることができました。機関庫内で作業されていたスタッフの方からは、経営の方針、整備に必要な費用など、これまた貴重なお話を伺うことができました。

と書くと、非常に有意義な訪問であるはずだったのですが、いかんせんこの方面のバックグランドが皆無の私とっては、「豚に真珠」だったかもしれません。おまけに、写真を数枚とったところで、デジカメの電池が切れてしまいました。何たるお粗末。次回行くことがあれば、準備をしっかりして行こうと反省することしきりでした。

さて、ここはよく知られた場所で、すでに色々な方がすばらしい写真を撮影されているので、いまさらという気もしますが、上記の3トラックShayの写真を3枚掲載しておきます。クリックしていただければ、拡大します。

[2012/4/18追記: Shayを見た機関庫のあたりのGoogle Mapsを埋め込んでおきます。]


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Modestoへ

Lou Crossさんの家を訪問し、近くの宿に一泊した後は、いよいよO Scale Westの開催されるSan Jose方面に向かいます。でも、「面白い場所があるのでちょっと行ってみましょう」とdda40xさんにお願いし、再度CA-99に乗り、車を北に走らせます。目的地はModestoです。

“はて、Modestoってどこ?”というのが多くの人の反応かと思います。ひょっとしたら、ModestoがSan Joaquin Valleyルート沿いの農産物の集散地の拠点の一つであることをご存知の方もいらっしゃるかもしれません。”それにしても、そんな場所に何の用が?”というのが普通の反応でしょう。が、私は15年以上、この街のある場所を訪問したいと思い続けており、今回ようやくその目的を果たすことができました。

それは、ModestoのBeard Brook Parkという公園に静態保存されているAT&SFの2921(4-8-4)を見ることでした。この機関車は、カリフォルニア鉄道博物館に保存されているAT&SF2925AT&SFの2926動態復活プロジェクトのニュースで紹介した機関車と同形式のクラス2900の一両です。

クラス2900は、1943年から1944年にかけて30両がBaldwinで建造されたAT&SFの4-8-4の最終形式です。1941年に製造されたクラス3776を増備したものなので、基本的なスペックはそのまま受け継いでいますが、第二次世界大戦の真っ只中でしたので、使える材料や資材に制約があり、4-8-4としては最も重い機関車となりました。機関車の重量は510,150ポンド(231.4トン)。テンダーもまた巨大で、24,500ガロン(92,740リットル)の水と、7,000ガロン(26,500リットル)の燃料を飲み込んで、Santa Feの旅客や貨物に活躍していました。(注:数字は資料によって異なるので、HundmanのLocomotive Cyclopediaによりました)

まずは全景です。とにかく大きい。全長は37メートル近くあります。

これはテンダー。これだけで長さは17メートル以上となります。クローズアップを撮り忘れたのですが、台車は2つとも4軸なのに注目ください。

フロントに回ります。高さも5メートルはあります。

後ろに回って、巨大なテンダーを見上げたところです。

進行方向に向かって右側(Engineer’s side)に移ります。金網が邪魔ですが、ご容赦ください。まずは従台車。

続いて、第4動輪から第3動輪まで。動輪径は80インチ(2032ミリ)です。

続いて、第2動輪から第1動輪。

続いてシリンダー。

キャブ下に戻って、配管のクローズアップを撮ってみました。ちょうど金網の隙間から撮影することができました。

これはモーションプレートの後ろに設置されているオイルポンプです。模型だと奥行き方向が圧縮されがちなのでなかなか意識することがないのですが、実はこんなに立体的な構造をしているのだ、ということを認識した次第です。

今度は左側(Fireman’s Side)に移ります。こちら側は、金網の隙間から写真を撮っています。まず第1動輪から第2動輪にかけて、そしてモーションプレート。

レンズをもう少し第2動輪に向けてみました。

上と似たような写真ですが、第2動輪のメインロッドのローラーベアリングが写るような角度で撮影してみました。

続いて、第3動から第4動輪。、第2動輪から第3動輪をつないでいるタンデムロッドをはっきり認識できます。また、機関車の大きさの割に、ロッドが薄いのも印象的です。

第4動輪から火室の底部と続きます。従台車の厚みもよくわかります。

さて、上にも書きましたが、クラス2900は、戦時の制約により、箱型のBoxpox動輪、テーパー型のロッド型で落成しました。戦後、性能改善のため、ローラーベアリングつきのロッドに換装し、第4動輪もボールドウィンのディスク動輪に入れ替えました。というような予備知識でこの機関車を観察していたのですが、この2921号機は、第4動輪に加えて第2動輪もボールドウィンのディスク動輪であることを発見しました。この機関車だけ特別な理由で第4動輪に加えて第2動輪も交換したのでしょうか。あるいは、すべてボールドウィンのディスク動輪を備えていたクラス3776が廃車になったときに流用したのでしょうか。

左側のキャブ下の配管を狙ってみました。

最後に、フロントビューを拡大したところです。

カウキャッチャーは昔ながらのタイプです。

参考までに、以下に場所を記しておきます。Google Mapsにもしっかりとらえられています。クリックしていただいて、Street Viewに切り替えると、この2921号機のサイドビューをはっきりと確認することができます。

[2012/4/18追記: Google Mapsを埋め込みました。]


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[2018/5/6追記: 上記の場所からAmtrakのModesto Stationの近くに移設されたということです。GoogleのStreet Viewにはまだ登録されていませんが、こちらに写真が投稿されています。また、下記のYoutubeの35秒から40秒の間に登場します。]

Pomonaへ

Cajon Passを後にした後、Pomonaに保存されているUP9000(4-12-2)を見に行こうか、ということとなり、保存場所のPomonaのFairplexに向かいました。心躍らせて、公園の事務所で確認したところ、現在は特定の日のみ公開されているということで、残念ながら対面はかないませんでした。まぁ、長生きしていれば、またチャンスはあるでしょう。

ここには、UP 4014 (Bigboy 4-8-8-4)、AT&SF 3450 (4-6-4)、UP 9000 (4-12-2)、SP 5021(4-10-2)、UP 6915(DDA40X)など、すばらしい機関車が保存されており、Southern California Chapter, Railway and Locomotive Historical Societyが管理しています。これら保存機関車の詳細は、上記のサイトの中の、Our Collectionというページに説明されています。

dda40xさんによれば、以前は自由に入れたとのことでしたが、現在は上記の協会の方針で「保存状態を良好に保つため、特定の日しか公開していない」ということです。公開日は同じく上記サイトのCalenderというページに書かれています。訪問を考えている方は、このページを参考にスケジュールされることをお勧めします。

古い記事ですが、お亡くなりになった魚田真一郎さんがここを訪問されたときの記録が、とれいん誌53号(1979年5月号)の40ページから43ページまでに掲載されています。すばらしい写真ですので、お持ちの方は書棚を探ってみてはいかがでしょうか。

ご参考までに、Google Mapsでの位置を以下に示しておきます。クリックすると、Google Mapsの画面が開きます。左上から右下に走っている二本の線路の上に機関車などが置かれていますが、
1) 上の線路は、左上からUP9000、UP6915、客車(?)を2両おいて、AT&SF 3450
2) 下の線路は、左上の小さな機関車の隣にUP4014、貨車(?)を2両おいて、SP 5021
と配置されていると思います。どなたか詳細なことをご存知の方はご教授ください。


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[2009/2/8追記]
RAILTRUCKさんから、クライマックスが保存されているとの情報を頂きましたので、もう一度確認してみました。上記以外にクライマックスを含めて3台の機関車が保存されています。
3トラッククライマックス: Fruit Growers Supply Co. No. 3
0-6-0: Outer Harbor Terminal Railway Co. No. 2
2-8-0(?): United States Potash Co. No. 3
保存協会のWebサイトの写真を見る限りでは、Bigboy(UP4014)のすぐ左上がOuter Harbor Terminal Railway Co. No. 2、そのすぐ左上がクライマックスで、United States Potash Co. No.3は、SP5021の右下に配置されているように見えます。

[2012年4月8日追記: Blogを移転して、Google Mapsを直接埋め込めるようになりましたので、2つの方向から機関車が見えるように地図を変更、追加しました。]