日別アーカイブ: 2009年10月5日

SPのマウンテンMT-4のレストア (1) – 機関車の選定 –

この記事は、Mark Schuzter氏Restoring Southern Pacific MT-4の1ページめのRestoring a Southern Pacific Mountain MT-4を訳したものです。訳にあたっては、Mark Schutzer氏の許可を得ており、元記事、写真については、特記ない限りMark Schutzer氏に著作権があります。誤訳、不適切な訳、その他気づいたことがあれば、遠慮なくご指摘ください。詳細は、こちらの目次をご覧になってください。

なお、元記事は2004年4月19日に作成されました。


このページは、古いブラスのサザン・パシフィックのマウンテン型機関車のレストアの進み具合をたどるものである。

プロジェクトに使う機関車

プロジェクトで使うことにしたブラスモデルは、古いHOスケールのバルボ(Balboa)/カツミの、スカイラインケーシングつきのMT-4である。このバージョンの模型は、アリゲータークロスヘッドと、ディスク輪心の主動輪を備えている。サザン・パシフィックのMT-4は、最初アリゲータクロスヘッドを装備していたが、後年、マルチ・ベアリングのクロスヘッドに換装されたものが多い。MT-4はもともとスポークの主動輪で落成したのであるが、ひび割れの問題によって、ディスク動輪に交換することとなった。

1940年代の終わりごろ、51番列車と52番列車であるサン・ホアキン・デイライト(San Joaquin Daylight)号に利用するために、5台のSPのマウンテンが、デイライトのペイントスキームに塗られた。これは、模型ではかなり稀な、とても魅力的なペイントスキームであると思う。デイライト塗りのGS-4は、ありふれているのだが、私は、デイライト塗りのマウンテンが商品として提供されたものを見たことがない。このような理由と、C-160-1テンダーをデイライト色に塗ることに挑戦するため、この模型を、5台あったデイライト塗りのマウンテンのうちの1台に仕上げることを計画した。

4353号機は、1946年から1951年まで、デイライト色のペイントスキームで塗られており、またアリゲータークロスヘッドを備えていた。これらの情報を元に、私は自分の模型を4353号機に塗ることとした。

以下は、4353号機がデイライト塗りされた状態の実物の写真である。


補足
・デイライトと言えば、GSシリーズ(4-8-4)が牽引したコースト・デイライトが有名です。これは、太平洋の海岸線に沿った路線でサンフランシスコ・ロサンゼルス間を結んでいたのに対し、カリフォルニアの内陸部の、サンホアキンバレー、有名なテハチャピのループを経由し、オークランド・ロサンゼルス間を結んでいたのがサン・ホアキン・デイライトです。
・上記に、デイライト塗りの模型が提供されたことがない、とありますが、今年(2009年)の初めに、Glacier Park Modelsがデイライト塗りを含めた各種のSPのマウンテンを出しました。さすが人気機種なので、あっという間に売り切れたようです。

SPのマウンテンMT-4のレストア - 目次

引き続き、Mark Schutzer氏のブラス機関車の作例を紹介してゆきます。今度は、クラスMT-4マウンテンです。

作業内容的には、前回ご紹介したP-8パシフィックに準じていますので、重複する部分も多いのですが、今回は機関車が落下した衝撃で損傷したスカイラインケーシングの修復とか、複雑なデイライト塗りをどうこなして行ったか、がポイントになるかと思います。

前の記事の目次でも書きましたが、日本では一般的ではない技法や材料が出てきたり、一部間違いがあったりしますが、参考になる部分も多いのではないかと思います。特に、前の記事にも書きましたが、カツミをはじめとした日本型の蒸気は、輸出した模型と同じ構造をとっている場合が多いので、日本型を楽しんでいる方にも参考になるかと思います。そこまで行かなくとも、米国にはこのような楽しみ方をしている人がいるということ、日本から輸出された模型がこのように愛されているということ、ということだけでも感じ取ってもらえれば、と考えています。

なお、訳を掲載する当たっては、Mark Schutzer氏の許可を得ています。元記事、写真の著作権は、Mark Schutzer氏に属しますが、他の人に著作権がある一部の写真については、その旨が明記されています。

訳にあたっては、日本語としての読みやすさを主眼に、原意を損なわない程度に意訳したつもりですが、私の実力不足により、原文の微妙なニュアンスが訳し切れていないところがあるなど、所期の目標が達成されているとは思えません。また、用語を中心とした専門的な知識の欠如により、誤訳、不適切な訳が含まれていると思います。何か気づいたことがあれば、遠慮なくご指摘ください。

このページは目次とし、以下、記事を追加する度にそのリンクを追加してゆく形を取りたいと思います。

サザン・パシフィックのクラスMT-4(マウンテン)のレストア
(1) 機関車の選定
(2) レストア前の状態
(3) 凹みの修正
(4) パイロットの修正
(5) 駆動系の改修
(6) ボイラーの塗装
(7) テンダーの塗装
(8) 線路上での試験とフレームの塗装
(9) 再組み立てとウェザリング
(10) 完成した模型の写真